ピント合わせの極意!過焦点距離ってなーに?

ブリリアントです。こんにちは。

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今日は聞きなれない言葉かも知れませんが「過焦点距離」というものについてご説明したいと思います。これを知っておくとピント合わせのテクニックが変わってきますので、ぜひ覚えていってくださいね!



■過焦点距離ってそもそもなに?


ご存知のように、ピント合わせを行った時、ピント位置から前後にある、「ピントが合っていると見える範囲」を被写界深度と呼びます。そのままピント位置を徐々に遠くに合わせていきます。するとピントが合っていると見える範囲が無限遠まで続くようになります。

いきなり無限遠で合わせてはいけません。手前のものから少しずつ遠くのものにピントを合わせて行くのです。すると、確かにピント位置は合わせた所にあるのに無限遠の被写体にもピントが合っているように見える位置があります。

このときの距離、つまり被写界深度の後端が無限遠にかかるカメラから一番近いピント位置を過焦点距離と呼びます。後端が無限遠に入らなければいけないので、単純にピントを合わせられる一番近い位置ののことではありません。それは最短撮影距離です。また無限遠のピント合わせのこととも違いますのでご注意ください。

 

■無限遠に合わすのと何が違うの?


いきなり遠く(無限遠)に合わせた場合はどうでしょう。確かに無限遠にはピントはきますが、手前側には被写界深度が短くなってしまいます。ということは、例えば手前の道や花畑から奥の山並みまでパンフォーカスではなくなってしまいます。それは遠くのものにだけピントが合っている状態ということです。

 

■絞ったら良いでは?


では絞れば被写界深度が広がってパンフォーカスになるのではないかと考えるのですが、絞れば確かに被写界深度は広がっていくのですが、絞りすぎると回折現象、いわゆる小絞りボケが発生してしまい解像感が落ちてしまいます。そこで、絞りすぎずに被写界深度をなるべく広げてパンフォーカスにするために過焦点距離を利用するわけです。

 

■過焦点距離の求め方


覚えなくてかまいませんが、過焦点距離は次の式によって求められます。

過焦点距離(mm) = 焦点距離(mm) × 焦点距離(mm) ÷ F値 ÷ 許容錯乱円(mm)

このうち焦点距離やF値は有名ですが、許容錯乱円が難解で、許容錯乱円とは簡潔に言うとピンボケの判断に使われる数字なのですが、これはフィルム時代には感光物質の粒子の大きさやA4サイズくらいのプリントでの鑑賞を前提に決められたもので、伝統的に0.026mm〜0.03mm程度で定義されていました。

ところが現在のデジタルカメラでは高画素化が進み、また鑑賞方法も等倍鑑賞が簡単に行えるために、実際にはフィルム時代の許容錯乱円の0.026mmは甘すぎると言われることが増えてきました。

例えばEOS 5DSの画素ピッチは4.14μmであり、mmに換算すると0.0041mmとなっています。画素ピッチ=許容錯乱円ではないので、画素ピッチが4.14μm=許容錯乱円が0.0041mmとまでは言えませんが、それでも35mmフィルムより現在の高画素機は分解能が遥かに高くなっており、しかも等倍で鑑賞する事も珍しくなくなっているのですから、0.026mmという35mmフィルムの許容錯乱円の基準ではかなり甘いということになってしまうわけです。

話が逸れてしまいましたが、仮に従来から使われていた計算式を元に従来の許容錯乱円(0.026mm)で計算した場合、焦点距離50mmで絞りF8.0で撮影したとします。

・焦点距離 → 50mm
・絞り値 → F8.0
・許容錯乱円 → 0.026mm

焦点距離(50mm)× 焦点距離(50mm)÷ F値(8.0)÷ 許容錯乱円(0.026mm)≒ 12,019mm ≒ 12m

となります。過焦点距離にピントを合わせておくと、過焦点距離の約1/2の距離から無限遠まですべて被写界深度に入るので、50mmのレンズで絞りをF8に設定した場合、12m先にピントを合わせればピント位置から手前に6mまでは被写界深度に入り、カメラ位置から6m以上先は無限遠まで全てパンフォーカスで撮影することが可能になります。

仮にこれをいきなり無限遠でピント合わせをした場合、ピントが合うのは12mから先になります。同じF値でも過焦点距離にピントを持っていくことで、さらに6m分手前に被写界深度を広げることが出来るというわけです。

ちなみに無限遠にピントを合わせて絞り込んだ場合、過焦点距離を利用した場合と同じ被写界深度を得るにはF16まで絞り込む必要があります。するとピントの合っている範囲は同じでも、絞りすぎによる回折現象が発生し解像感が落ちてしまいます。過焦点距離を利用することで、パンフォーカスにしつつ不必要に絞り込まなくて済むため、画質的にもベストな状態で撮影できるというわけです。

ゆっくりした撮影にしか使えないため、実際に手持ちでサクサク撮りたい場合は風景撮影なら無限遠に合わせて絞っても良いですし、勘である程度の距離にピントを合わせて絞っても良いでしょう。しかしもし最高の画質を求めるなら、過焦点距離を計算しそこにピント位置をもっていけば適切な絞り値でパンフォーカス撮影が可能になるのでお時間があれば試してみてください。

 

■まとめ 〜もっともっと知りたいのです〜


実際のところ私は風景撮影をする際に厳密に過焦点距離を計算したりはしません。撮影は他にも気にするべきポイントが沢山ありますし、画質を上げるという意味でも過焦点距離よりも優先するべきことがあるからです。

けれども知識としてあれば、経験則的になんとなく感じていたことが明確に意識できるようになります。言い換えればなんとなく失敗することが減るわけです。ほとんど使わない知識だったとしても、いつか役に立つかも知れません。そのための勉強です。

 

Reported by 山崎將方