雲台の種類と特長を徹底解説!雲台選びはこれでバッチリ!

ARCASWISS C1 Cube

今日は雲台のお話です。雲台と一口に言っても山ほどあり、詳しく書いていくと本が一冊書けるほどなのですが、今回は広く浅く、様々な雲台を取り上げていきたいと思いますので、この機会に雲台に興味を持って頂ければと思います。

三脚に関しては「決定版!三脚の種類・選び方と使い方、とことん解説します!」の記事をご参考にして頂ければと思います。



■日本のスタンダード、3ウェイ雲台


SLIK SH-806 N

日本でもっとも一般的に普及している雲台が3ウェイ雲台です。撮影地などでも良く見かけるかと思います。風景やスタジオ撮影など動きの少ない被写体を撮影するのに向いています。

3ウェイ雲台の見た目上の特徴は、パンハンドルとサイドティルトハンドルと呼ばれるレバーが2本出ていることです。

この2つのハンドルを操作することで構図調整を行うのですが、下側に付いているパンハンドルは上下方向を、上側に付いているティルトハンドルは水平方向を操作することに使用します。

パンハンドルという名称なのにティルト方向、ティルトハンドルという名称なのにレベラー方向というヘンテコな呼び方ですが、そう呼ばれています。

3ウェイ雲台には割り締め方式とコマ締め方式の2種類があり、割り締め方式は雲台本体を変形させながら固定するため、構図を調整した後固定する為に締め込むと構図が少しズレてしまいます。

コマ締め方式は締め込んだ際に内部の金属のコマが移動し固定しますが、本体そのものは変形しない為、構図のズレが少なく多くの高級3ウェイ雲台に採用されています。

オススメの3ウェイ雲台としては、下記のものがあります。

3ウェイ雲台のメリット

垂直方向と水平方向を別々に操作出来る為、水平を撮った後上下を調整しても水平が崩れない。

3ウェイ雲台のデメリット

自由雲台と比較した場合、仰角に制限があり真上に向けるにはカメラの取り付け方向を変える必要がある。また同クラスの自由雲台よりも重く嵩張る場合が多い。

 

■世界のスタンダード、自由雲台


世界的には自由雲台(ボールヘッド)が最も一般的な雲台と云えるでしょう。他の雲台と比較して重量あたりに固定力が高く、小型であるため、その携帯性などから特に屋外での様々な被写体に使用されます。

3ウェイ雲台と比較した場合、より素早い構図移動が出来、同程度の耐荷重の雲台同士だと本体自体も3ウェイ雲台よりも小型・軽量に作れるというメリットがあります。

自由雲台はボールを本体で締め付ける、もしくは下から金属の受け皿を押し上げる方法で固定されます。一般的に前者を割り締め方式、後者を押上げ方式と呼ばれています。

割り締め方式は3ウェイ雲台と同じく締め付け時に構図がズレやすいのが欠点で、押上げ方式は3ウェイ雲台のコマ締め方式と同じような構造になっており、締め付け時の構図のズレが少ないのが特徴です。

オススメの自由雲台としては、下記のものがあります。

自由雲台のメリット

コンパクトで軽量な携帯性、大きさの割に高い固定力。

自由雲台のデメリット

多くのモデルはロックを緩めるとレベル(水平)・ティルト(前後)の両方にロックが解除されてしまうため、前後ティルト方向だけ構図を動かすといったことが難しい。

 

■風景・ブツ撮りにオススメのギア雲台


ARCASWISS D4

ギア雲台そのものは以前からありましたが、近年になって一般のフォトグラファーにも人気が出てきた雲台です。特に風景・建築・商品撮影など厳密なフレーミングを求められる撮影に適しています。

3ウェイ雲台のように前後ティルト(前後方向)とサイドティルト(水平方向)を独立して動かせる雲台ですが、3ウェイ雲台と違うのは、3ウェイ雲台がパン棒を緩めてロック解除→構図調整→再ロックという手順を踏むのに対して、ギア雲台は、ノブを回すことでロック状態からでもギアの動きで構図を調整し、ノブを回すのをやめた時点で自動的にロックされるという点です。

緩める動作を必要としない、ロックする動作を必要としない、また手を離してもそこで止まるため、うっかりロックを緩めてしまい機材が傾ぐことなくフレーミングを行えるという便利さがあります。

また、微妙な構図調整も行いやすく、ブツ撮りや建築写真のような厳密なフレーミングを求められる被写体を撮影するフォトグラファーにも人気があります。

また素早く動かしたい場合はギアのロックを解除して大きく動かすことも可能であるため、3ウェイ雲台のような操作を行うことも可能です。

良いことだらけのように見えるギア雲台にも欠点はあり、3ウェイ雲台と比較して構造上重くなってしまうこと、転倒時などの衝撃に弱いこと、価格が高くなってしまうことなどが挙げられます。

オススメのギア雲台としては、下記のものがあります。

ギア雲台のメリット

微妙な構図調整が行いやすい、うっかり手を離しても倒れない、ロック時の構図のズレが少ないなどがメリットです。

ギア雲台のデメリット

同クラスの自由雲台や3ウェイ雲台と比較して高価になりがちであること、衝撃に弱いこと、重くなることがギア雲台のデメリットと云えるでしょう。

 

■超望遠レンズにおすすめのジンバル雲台


Wimberley WH-200

大口径の超望遠レンズをなど、非常に重いレンズを使用する際に使われるのがジンバル雲台です。

ジンバル雲台はやじろべえのように前後でレンズ+ボディの重量バランスを取ることが出来る雲台で、構図を動かす際に機材の重量を撮影者が支える力を非常に少なくすることが出来るため、重い超望遠レンズでの撮影などに使用されます。

主に野鳥撮影などの使用されるジンバル雲台ですが、後述のビデオ雲台との違いは、素早くレンズを動かす際にトルクがかかるのがビデオ雲台、緩めれば完全にフリーになるのがジンバル雲台で、動き回る野鳥を素早く追うような撮影ではジンバル雲台の方が良いでしょう。

逆にじっくり腰を据えて撮影するような場合はビデオ雲台の方が向いています。

オススメのジンバル雲台としては、下記のものがあります。

ジンバル雲台のメリット

大口径超望遠レンズを少ない力で振り回すことが出来る。分解して持ち運ぶことで出来る。

ジンバル雲台のデメリット

重いこと、視覚的に邪魔になりやすいこと、トルク調節は出来るがビデオ雲台のようにカウンターバランスを効かせることが出来ないことなどです。

 

■動画だけじゃない、超望遠にも使いたいビデオ雲台


Sachtler FSB8

ビデオ雲台はその名の通りムービーカメラ用に生まれた雲台で、ビデオカメラにには縦位置撮影がほとんど使われないために前後方向のティルトと左右のパン方向の2軸の動きとなります。

しかし三脚足の長さを調整したり、本格的なビデオ雲台であれば、雲台下部の水平出し用のボールを動かすことで水平を取ることが出来るようになっています。

ビデオ雲台をスチール用に使用する場合の多くは大口径超望遠レンズを使用する際で、もともとはジンバル雲台がしようされていましたが、トルク調節だけでなくカウンターバランスが効くために、より滑らかな操作が可能とあって野鳥撮影などを中心に近年では大口径超望遠レンズを使用しての撮影では主流の雲台となっています。

何と言ってもその滑らかな動作感がビデオ雲台の魅力で、適切なセッティングさえ行えば、600mm/F4.0や800mm/F5.6といった非常に大きく重い大口径超望遠レンズを指一本で軽々と振り回すことが可能です。

またカウンターバランスが効くため、レンズを前方や後方に倒して仰角や俯角で撮影した場合も、手を話せば水平状態に自動で戻ってきます。

但し、積載する機材の重量に見合ったものを選ぶ必要があるため、超望遠大口径レンズなどでは十分な大きさのビデオ雲台を選ぶ必要があります。またそれにともなって三脚側もビデオ雲台に対応したものである必要があります。

オススメのビデオ雲台としては、下記のものがあります。

  • リーベック:RH25
  • マンフロット:SKU 504HD
  • ザハトラー:FSB 8

ビデオ雲台のメリット

トルク調整とカウンターバランスが効くため、重量のある機材でも非常に小さな力で動かすことが出来き、滑らかな動作感を得られます。

ビデオ雲台のデメリット

大きく重く、また価格的にも効果であり、適切なセッティングを行う必要があります。加えて三脚側もビデオ雲台に対応したものを選ぶ必要があります。

 

■そろそろ日本でもスタンダードになって欲しいアルカスイス規格


KIRK BL-D4

長くなるので簡潔に書かせて頂くと、アルカスイス規格というのは雲台で有名なアルカスイス社のクイックシュー規格のことで、厳密な定義が定められている訳ではありませんが、一般的にアルカスイス規格と呼ばれるクイックシューシステムは互換性が高く世界中で広く採用されています。

アルカスイスプレートと呼ばれるアルカスイス規格のクイックシュープレートを流行らせたのはアメリカのReally Right Stuff(以下:RRS)で、縦位置撮影と横位置撮影時で構図のズレが少なく、縦位置撮影時でもカメラの重心が雲台の直上に収まるために安定感が高いのが特徴です。

このアルカスイスプレートには非常に多くのタイプが存在しますが、最も主流と呼べるのはカメラボディの下部と側面でアルカスイスクイックシューに固定出来るようになっているLプレート(Lブラケット)と呼ばれるタイプです。

アルカスイス規格を世界中に流行らせるきっかけとなったRRSですが、RRSのLプレートは非常に精度が良く、また機種専用に作られているものが主流で、カメラボディにピッタリと沿うように作られているため、クイックシュープレートを付けた状態で手持ち撮影を行っても異物感が少ないために非常に人気があります。

RRS以外にも数多くのメーカーがアルカスイス規格のクイックシュープレートを制作していますが、RRSやKIRKのLブラケットはその緻密な作りから非常に人気があります。

アルカスイスプレートを固定するには、ネジを回すようなノブ式のタイプと、レバーでロック・アンロックを切り替えるレバーロックのタイプがありますが、開閉の動作の手間という意味ではレバーロックが素早く行えますが、アルカスイス規格は厳密な定義がある訳ではないため、開閉時の幅がメーカー間で完全に統一されている訳ではありません。

そのために、レバーロックでは例えばRRSのプレートが他のメーカーのクランプ(クイックシューベース)では使用できないといったケースが起こります。

対してノブ式で回すことで締め付けていくタイプのクランプは、締め付ける量を変えることが出来るため、完全ではありませんが、メーカー間の互換性が高く、カメラボディ側に取り付けるアルカスイスプレートと雲台側のアルカスイスクランプが別々のメーカーであったとしても多くの場合問題なく取り付けることが可能なため、ノブ式のクランプが主流となっています。

このアルカスイス規格の自由雲台は、フリクションコントロール機能(ノブを緩めた際にカメラが傾ぎにくいようにトルクを付けることが出来る機能)機種が多く、またLプレートと組み合わせることで高い固定力・縦位置撮影での安定性や構図のズレの少なさ、重量のある機材でもカメラが倒れにくいなど多くのメリットがあるため、海外では主流となっています。

しかしながら日本では三脚メーカーがそれぞれ独自のクイックシューを販売していた結果、アルカスイス規格の普及が遅れてしまっているのが現状です。

Gitzo、Manfrotto、BENROなど、様々な大手三脚メーカーでアルカスイス規格は主流となっており、最近では国内大手三脚メーカーも少しずつアルカスイス規格のクランプなどを販売し始めましたが、雲台にデフォルトで使われているのは未だメーカー独自のクイックシューが主流で、日本のみがいわゆるガラパゴス化してしまっているのが実情です。

世界的なが流れを考えると、その機能性や汎用性、拡張性などを考えて、国内メーカーにもなるべく早くアルカスイス規格へとその軸足を移して欲しいものです。

 

■雲台沼にはまらない心得


カメラ沼、レンズ沼、三脚沼、そして雲台沼です。世界中に面白雲台は溢れており、雲台は非常に奥の深いアクセサリーであるため、雲台沼にハマってしまうマニアが後を絶ちません。

雲台沼にハマらないコツは、最初から機材別に最高峰のものを選ぶことです。レンズと同じですね。結局一番いいやつが欲しくなるのですから…。

 

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Reported by 山﨑将方