グーグルの10億画素カメラが凄すぎて、引き篭もりになってしまう件

Google Cultural Instituteが、美術品撮影に特化された「Art Camera」とそれによって撮影された1,000点以上の絵画のコレクションをインターネット上で発表しました。

ギガピクセル単位で撮影されたこれらの画像は、マウスホイール操作やピンチアウトでズームすると、まるで絵画に数cmの距離まで近づいたよう…いえ、ときには肉眼で見る以上に高精細で臨場感のある美術鑑賞を楽しむことができます。

この感動的なテクノロジーは今すぐ体感してみて!!



■Google Cultural Institute、Art Cameraとは?


Art Cameraはギガピクセル単位での記録を可能とするカメラで、一度に数百枚の画像を撮影して合成します。

撮影された1,000点以上の絵画はGoogle Cultural Instituteで公開されており、自由に閲覧可能。なかでもコレクションのうち約200作品は10億画素もの超高解像度を誇るとのこと。

レンブラント、フェルメール、ゴッホ、モネという西洋画家の作品はもちろん、中国や日本の水墨画まで幅広くコレクションされています。

絵筆の細やかなタッチ、キャンバス地の目まで拡大して確認できるアートギャラリーは感動モノです。もう美術館に行かなくていいかも!?

■さっそく見てみよう!


こちらはゴッホの代表作、「星月夜」。ゴーギャンとの共同生活が破綻して病んでしまったゴッホが、病室から眺められる景色を描いたと言われています。

ゴッホ 星月夜

ゴッホといえば厚塗りが特徴的。糸杉の近くにある星をアップにしてみました。

ゴッホ 星月夜

星の中心に向かってさらにズームアップ!こちらの絵は最大ここまで拡大できました。

ゴッホ 星月夜

勢いよく、リズミカルに星を描いているのがよくわかります。自宅でちょっとした美術研究家気取りができちゃうほどに、素晴らしい高解像度です。もちろん、好きな場所をズームすることで絵画の隅々まで鑑賞できます。

■若冲展が見られなかった人にも朗報!


2016年5月現在、上野の東京都美術館で開催されている「若冲展」。

美術ファンなら一度は見ておきたい若冲の傑作が展示されていますが、テレビ番組の影響なのか人気が爆発し、未曽有の大混雑。平日の開館前から行列が並ぶと聞いて、諦めてしまった方も多いのではないでしょうか?

そんな若冲の作品も、Google Cultural Instituteなら20点ほどの作品が超高解像度で鑑賞できるんです!

伊藤若冲_樹花鳥獣図屏風(右隻)

こちらの屏風をクローズアップしてみましょう。

伊藤若冲_樹花鳥獣図屏風(右隻)_子犬アップ

ゾウの足元にいる、二匹の子犬を拡大してみました。

升目描きされているこの有名な屏風ですが、よく見ると動物の目は升目を無視して上から描かれているのですね。

動物の体など柔らかなカーブは升目を無視し、背景や模様の一部などはドット絵のように升目を塗りつぶして描写されているのですが、その書き分けもばっちり確認できます。

また、さらに拡大することもできるので、升目の中の独特のグラデーションを付けた塗り方さえ、手に取るようにわかるんです…!恐ろしや!

■Art Cameraの技術と理念


Google Cultural Instituteは、世界の近代美術及び歴史的な資料・文化をデジタル・アーカイブし、人々がいつでもどこからでも美術作品に親しめるようにすることを目的としています。

通常、絵画をこれほどまでの超高解像度に起こするには、高価な機材やとてつもない手間暇がかかりました。そこでGoogleが新たに開発したのが、この超高解像度画像をより手軽に撮影するための専用カメラ「Art Camera」です。

Art Cameraは完璧なピント合わせのためにレーザー光とソナーを併用し、作品をエリアに分け何百ものクローズアップ撮影を自動的に繰り返します。それらを自動的に組み立てなおし、一枚の絵画を再構築します。

Google Cultural Instituteによれば、このArt Cameraによって以前は一日がかりだった超高解像度の撮影が、ものの半時間程度で完了するようになったとのこと。

絵画は光、特に紫外線や湿気によって劣化が進行するため、気軽にどこでも展示できるというものではありません。これは、広く一般に美術に親しんでもらいたい美術館にとっては大きな課題でもあります。

Googleは、こうした美術館の収蔵品カタログ制作を手助けするために、世界中にArt Cameraシステムを無料貸し出しするとしています。

■まとめ ~新しい美術鑑賞の形~


いかがでしたでしょうか?私はGoogleEarthを初めて見た時に匹敵する驚きを感じました。美術好きなら休日家にいても、Google Cultural Instituteを見ているだけで楽しい時間が過ごせそうですね。

あなたの好きな画家の名前も検索してみては?

画像:Google Cultural Institute

Reported by ひらはらあい