フォーカシングスクリーンが明るくなるとピント合わせはどうなる?

フォーカシングスクリーン Ec-CV

フォトマスター検定の予想問題です。フォトマスター検定勉強法も掲載していますので、参考にして頂ければと思います。

過去の各級の予想問題のまとめ

合格目指してさっそく問題です!

難易度:準1級レベル

問:マットタイプの一眼レフのフォーカシングスクリーンを、同じくマットタイプのより明るいフォーカシングスクリーンに変えた。そうした場合、ピント合わせに関してどのようなことが起こりやすくなるか?最も正しいと思われるものを次の中から選べ。

※撮影環境は十分な明るさがあり、被写体は十分に見やすいものとする。

① ピントの合う範囲が狭く見え、ピントの山が分かりやすくなる
② ピントの合う範囲が広く見え、ピントの山が分かりにくくなる
③ フォーカシングスクリーンの明るさは、ピント合わせやすさに直接影響しない

正解はこのあとすぐ!

■正解は②(ピントが合っているように見える範囲が広がり、ピントの山が分かりにくくなる)


ピントの山が分かりやすいとはどういうことか?

フォーカシングスクリーンは、すり面によってアウトフォーカス部(ピントが合っていない部分)をボカす役割をもっています。これによって「ピントが合っている」、あるいは「ピントが合っていない」ということを撮影者はファインダー像から判別できるというわけです。

このフォーカシングスクリーンは、すり面が粗くなるとボケているということが明確になり、逆にすり面が細かくなるとボケているということが分かりにくくなります。

言い換えれば、すり面が粗いほどピントが合っているかどうかのメリハリが付きやすくなるため、ピントの山が分かりやすくなります。

フォーカシングスクリーンはなぜ必要?

そもそもフォーカシングスクリーンとは何のためにあるのでしょうか?フォーカシングスクリーンの役割いついてご説明します。

もしもフォーカシングスクリーンが無いと、レンズを通してきた映像はそのままミラーからプリズムを通ってくるため、ファインダーから見える像は、レンズのイメージサークルと同じように円形になってしまいます。

また単に鏡を覗いているのと同じ状態ですから、どこでも人間の目がピントを合わせてしまうため、ピントがあっているかどうかの判別が出来なくなります。

試しに部屋の中にある鏡の中の映像を見てみましょう。近く写っている自分の顔にも、その後ろにある部屋の背景にも、注視した方に目が自動でピントを合わせてくれると思います。つまりフォーカシングスクリーンがない場合、被写体にカメラのピントが合っているかどうかの判別が出来ません。

もしフォーカシングスクリーンを外せるタイプの一眼レフをお持ちであれば、フォーカシングスクリーンを外して(※自己責任でお願いします)ファインダーから映像を見てみましょう。

ファインダーの映像はイメージサークルのように円形で映し出されてしまい、ピントはどこにでも合っているように見えてしまうと思います。

フォーカシングスクリーンがないと、ファインダーはその機能を正常に果たせなくなってしまうというわけです。

明るいフォーカシングスクリーンってどんなもの?

先ほどフォーカシングスクリーンの役割についてご説明しました。

しかしファインダー自体は明るい方が良いというのが一般的な感覚だと思います。そこで次に「明るいフォーカシングスクリーン」とはどういったものか?という事をご説明します。

レンズやプリズムや接眼レンズといった他の要素が同じであれば、フォーカシングスクリーンをどれだけ多くの光が透過してくるかがファインダーから見た時の像の明るさに影響します。

そのためフォーカシングスクリーンは極論ただのガラス板に近い透明なものほど光量のロスが少なく、ファインダーが明るくなります。つまりすり面が細かいただのガラス板に近いものほど「明るいフォーカシングスクリーン」というわけです。

しかしすり面を細かくすると、アウトフォーカス部分のボケ方が弱くなるために、ピントが合っている部分と合っていない部分の差が出にくく、ピントの山が分かりにくくなるというわけです。

逆に言えば、アウトフォーカス部がしっかりとボケるフォーカシングスクリーンはすり面での光の拡散を大きくしていますから、光量をそれだけロスしているという事になり、「ピントの山は分かりやすいがファインダー像は暗くなる」というわけです。

どちらを選ぶかはあなた次第

これまでご説明してきたように、他の条件が同じであれば、フォーカシングスクリーンの明るさとピントの山のつかみやすさは基本的に相反する要素です。そのため、

  • ピントの山が掴みにくい明るいファインダー
  • ピントの山が掴みやすい暗いファインダー

以上のどちらを選択するかは悩ましい部分です。

オートフォーカスが基本で、単焦点レンズよりも暗いズームレンズの使用が多い現代にあっては、マニュアルフォーカス時のピント合わせのしやすさよりも明るいファインダーを優先するという方もおられるでしょう。

逆にマニュアルフォーカスを頻繁に使われる方などは、フォーカシングスクリーンの明るさよりもを、ピントの山の掴みやすさを優先したいという方も多いでしょう。

どちらを選ぶかは皆さんが個人個人でお選び頂ければ良いと思いますが、現在のデジタル一眼レフはコストダウンなどの理由から、ハイエンド機以外ではフォーカシングスクリーンの交換に公式には対応していないというケースが増えています。

フォーカシングスクリーンを交換するというカスタマイズが難しくなっているのは、光学ファインダー好きにとってはやや残念な部分と言えるでしょう。

画像:Amazon

Reported by 正隆