雲台やクイックシューの「背当て」は何のためにある?

QRA-635LⅡ

フォトマスター検定の予想問題です。フォトマスター検定勉強法も掲載していますので、参考にして頂ければと思います。合格目指してさっそく問題です!

難易度:2級レベル

問:雲台やクイックシューには、「背当て」といった名称で呼ばれる引き出し式の突起が設けられている場合があるが、この「背当て」はどのような目的で使用されるものか?次の中から選べ。

① クイックシューのロックを忘れた際にカメラの滑落を防ぐ
② 縦位置撮影時にカメラが傾ぐのを防ぐ
③ カメラを取り付ける際の位置決めの基準

正解はこのあとすぐ!



■正解は②(縦位置撮影時にカメラが傾ぐのを防ぐ)


縦位置撮影時にカメラが傾ぐ問題

縦位置撮影はシャッターボタンを上にする派と下にする派の方がおられると思いますが、三脚撮影の際、縦位置で撮影しようとすると、雲台の固定力は足りているはずなのにカメラネジが緩んでカメラが前に傾いてしまい構図がズレたという経験はありませんか?

カメラ台やクイックシューの「背当て」は、この縦位置撮影時にカメラがお辞儀してしまう問題を防ぐためのものです。

なぜレンズは前に傾いでしまうのか?

そもそもなぜ縦位置撮影では、固定力が高い雲台でもカメラが前に傾いてしまうのかということですが、これはカメラを左側に倒した時に起きる現象で、原因はカメラと雲台をつなぐネジにあります。

一眼レフやミラーレスの場合、多くのレンズがある程度の長さがあるために、レンズの重さがテコの原理で前に倒れるように強い力が働きます。

そのため撮影者から見てカメラを左に傾けて縦位置にしてしまうと、この力が反時計回り、つまりカメラネジを緩める方向に働いてしまいカメラが傾いてしまうというわけです。

「背当て」は縦位置撮影時にレンズの重みで傾ぐのを防ぐ

アイキャッチ画像はベルボンのクイックシューQRA-635LIIの付属プレート、QRA-35Lシューの図です。

この「背当て」と呼ばれる緩み防止機構は、背当てを起こした状態でカメラにシューを取り付けることで、縦位置撮影時にレンズの重みでカメラがシュープレート上で回転することを防ぎ、カメラがお辞儀してしまうことを防ぐ効果があります。

左側に雲台のカメラ台を倒しても、カメラの背面に背当てがぶつかってカメラを支えているため、カメラネジが緩まず縦位置撮影でも安定した構図で撮影することが出来るというわけです。

というわけで、選択肢②の「縦位置撮影時にカメラが傾ぐのを防ぐ」が正解となります。

 

■緩み防止機構が無い場合はカメラを右側に倒す


カメラを右側に傾ければネジが締まり傾き難い

背当て無いカメラ台の場合、手っ取り早い解決策として縦位置撮影の時はカメラを右側に傾けるという方法があります。

背面から見てカメラを右側に傾けると、カメラネジにはネジを締め付ける時計回りの方向に力がかかるため、そこで止まりレンズがお辞儀しにくくなります。

これは以前ご紹介した、PLフィルターの回転枠をネジが締め付けられる方向に回すのと似た発想のテクニックです。

但しこのカメラを右側に倒すという方法は、シャッターボタンが下になるため操作性は好き嫌いが分かれるところでしょう。

自由雲台はメインノブを左に、3ウェイ雲台ではパンハンドルを前に

この右側に傾けるという方法は、自由雲台の場合はメインノブを左側にすれば、右側に傾けたカメラとメインノブが干渉することを避けることが出来ます。

しかし、3ウェイ雲台では多くの雲台が通常の状態ではサイドティルトハンドル(左右の水平出しをするための横側に出ているハンドル)が右側に出る構造であるため、カメラ台を右側に傾けようとしてもハンドルが干渉して右側は90°まで傾けられず上手くいきません。

3ウェイ雲台で天体撮影などを撮影する際、仰角をとりたい時に使うテクニックとして、一旦レンズが自分に向くように通常と逆の向きでカメラを雲台に取り付け、パンハンドル(通常では自分の側に飛び出ている前後の角度を動かすためのハンドル)を前側にぐるっと回す方法があります。

このパンハンドルを撮影者から見て向こう側回すテクニックを使うことで、通常通りカメラは自分と反対の側に向き、サイドティルトハンドルは左側になります。

そうすると、カメラ台を右側に90°倒すことが可能になり、かつカメラネジは締め付けられる方向に力が働くため、レンズの重さでカメラがお辞儀してしまう現象を軽減することが出来ます。

 

■Lブラケットの活用と脱落防止ピンの意味


Lブラケットの活用

縦位置撮影を安定して行う方法として有名なのがLブラケットを利用する方法です。

L字型のカメラプレートを利用することで、雲台を傾けることなく、縦位置撮影に移行することが出来るため、構図のズレも少なく、重心が安定した状態で横位置撮影と縦位置撮影を切り替えることが可能です。

LブラケットRC4

近年では互換性やカメラボディへのフィット感の高さなどから、アルカスイス互換のLブラケットがかなり普及してきていますが、Lブラケットにはアルカスイス互換以外にも国内・国外メーカーからいくつも発売されています。

それぞれに特徴がありますから、ご自身の好みにあったものを選ばれると良いでしょう。

脱落(滑落)防止ピンとは?

選択肢①の「クイックシューのロックを忘れた際にカメラの滑落を防ぐ」は、「背当て」とは異なる機構として存在しています。

良く見かけるものとしては、アルカスイス互換のクランプなどに設けられている、「滑落防止ピン」や「脱落防止ピン」といった名称で呼ばれるものです。

DS-30

上の写真はスリックのクイックシュー、DS-30のクランプですが、左下の部分の金属の突起が「脱落防止ピン」です。

またアルカスイス互換のカメラプレートやレンズプレートには、「セーフティースクリュー」や「セーフティーボルト」といった後付けのネジを取り付けることで、クランプの溝にネジが引っかかることでプレートの滑落を防ぐことが出来るようになっている物も数多く存在します。

 

画像:Velbon,SLIK,Manfrotto

Reported by 山﨑将方