世界一大きいカメラと写真ってどんなもの?

The Great Picture

世界最大のカメラとはどのようなものでしょうか?

世界最大の写真「The Great Picture」は、縦9.4メートル、横33.8メートル、重さ544キロもあり、この写真は飛行機の格納庫を使って撮影されました。

飛行機の格納庫の中でカメラで撮影したのではありません。飛行機の格納庫を巨大なピンホールカメラのように見立て、原始的かつとびきり巨大なカメラオブスキュラとしたのです。

そこで今回はこの約11年前に打ち立てられた伝説の記録、世界最大の写真撮影プロジェクト「The Great Picture」をご紹介します。

■世界最大の写真とカメラ


世界最大の写真は縦9.62m×横33.83mで重量は544kg

世界最大の写真は2006年に撮影され、縦9.62m×横33.83mという巨大さで、なんと重量は544kg。

この写真は感光乳剤を80リットルも塗布した木綿の布で、現像液は2,300リットル、定着液は4,600リットルを使用して現像されました。

The Great Picture

現代ではデジタルカメラのステッチ撮影(分割して撮影した画像を繋ぎあわせることで巨大な画像を作成する方法)によって、巨大な画像データを製作することも珍しくなくなりましたが、この「The Great Picture」は一枚の写真でありながら長辺33.83mという巨大な写真な写真を作り上げています。

世界最大の写真は飛行機の格納庫をピンホールカメラに

この巨大写真は、カリフォルニア州のエルトロ海兵隊航空基地にある廃棄された巨大な飛行機の格納庫をピンホールカメラとして撮影されました。

この巨大なピンホールカメラと化した格納庫の大きさは、幅48.76m×高さ13.71m×奥行24.38mという巨大さ。

しかしこの格納庫は光が漏れてそのままではカメラとして使えないため、約2,230平方メートルの黒いプラスチックシートと、約4,914リットルの発泡剤、さらに約2.45kmのパーマセルテープ、40缶の黒スプレー塗料を使い遮光され、巨大なカメラオブスキュラ(暗い部屋)と化したのです。

カメラオブスキュラとは?

このカメラオブスキュラの原理はピンホールカメラと同じで、被写体の各位置から乱反射している光線をピンホールで制限し、ピンホールの一点を通る光線のみを平面の壁に投射することで像を作るというものです。

露光時間は約35分間、被写体は格納庫の外の風景

その後、格納庫の壁に床から約4.6mの高さに約6.4mmの穴を開けてピンホールカメラとしています。

The Great Picture

そこから約17m離れた位置に感光剤を塗布した巨大な布を吊り下げ、約35分間光を当てて巨大な布に格納庫の外の景色が写し込まれました。

現像は巨大プールを利用、水洗作業はなんと消火用ホース

撮影したは良いものの、縦9.62m×横33.83mの布を現像するのは至難の技、「The Great Picture」は大型プールを約2,300リットルの現像液を満たし、そこにこの布を浸して現像されました。

その後約4,600リットルの定着液を使って画像の定着が行われ、乾燥前の水洗作業は2本の消火用ホースを使って毎分約2,800リットルもの水を使って行われました。

The Great Picture

工程そのものは一般的なモノクロ現像とほとんど同じなのですが、その桁外れのスケールにただただ驚かされるばかりです。

この世界最大の写真の撮影は、400人のスタッフが約2ヶ月間かけて実現したとのこと。

参考:THE LEGACY PROJECT
画像:THE LEGACY PROJECT,Wikipedia

Reported by 正隆