ファインダー視野率とファインダー倍率の意味を解説

ファインダー

ファインダー内蔵カメラでは、ファインダーの性能を表すのに「ファインダー視野率」と「ファインダー倍率」というものがあります。

多くの方がなんとなくは分かっているこの「視野率」と「倍率」ですが、今回はこの視野率と倍率をもう少し詳しく解説していきたいと思います。



■ファインダー視野率とは?


ファインダー視野率とは?

ファインダー視野率は、「実際に撮影される画面の範囲」と「ファインダーで見える範囲」の比率をパーセントで表した数値で、この2つの範囲が完全に一致している場合が「視野率100%」という状態になります。

視野率100%の価値

仮に視野率が100%であれば、ファインダーで見える範囲と実際に撮影される範囲が一致しているわけですから、「このようにフレーミングしたつもり」という撮影者のイメージと実際に撮影される画像の範囲にズレがない理想的なファインダーとなります。

視野率は100%を超えてはいけない

ファインダー視野率は100%に近いほど理想的なファインダーと言えますが、だからと言って視野率98%よりも101%の方が100%に近いので良いかというと、そうではありません。

視野率が100%を超えて広い範囲が見えるようにしてしまうと、ファインダーで見えている範囲よりも撮影される範囲の方が狭いのですから、「撮影したつもりの被写体が実際には画面内に入っていなかった」ということが起こり得ます。

  • 100%以上:フレームに入れたはずの被写体が撮れていない
  • 100%以下:フレームから外したはずの不要物が入り込んでいる

どちらも問題なのですが、余分なものが撮影範囲に入っていたとしてもトリミングで対応できますが、撮ったつもりの被写体が撮影フレーム内に入っていないとどうしようもありません。

そのため、ファインダー視野率は100%に近いほど理想的ですが、100%を超えてしまうのは問題があるため、視野率が100%を超えない範囲で100%に近づけるように努力するわけです。

「視野率100%」の正確な意味

仮に視野率が完全に100%であったとすると、光学ファインダーを採用する一眼レフの場合では、撮像素子に当たる像とファインダーへと導かれる像をわずかのズレもないように各部品を組み上げなければなりません。

しかしこれは現実には不可能であるため、視野率100%を謳っているカメラであっても、仕様をよく見てみると「約100%」という表記になっています。

この「約」をどこまで許容範囲とするか?に関してはメーカーによって規定が異なります。

視野率は面積比?それとも長さ比?

仮に視野率約100%とされる機種の場合、この100%とは何に対して100%なのか?ということなのですが、この視野率というのは、上下および左右方向の撮影画面との比率、つまり「上下左右それぞれの長さに対する比率」であり、撮影画面との「面積比率」や「対角長比」ではありません。

そのため、カメラの仕様には、

  • 上下左右とも約100%(対実画面)

といったように、ファインダー視野率の数値が「約」であることと共に、「上下左右の長さに対する比率」であるという記載があります。

視野率100%はコストがかかる

一眼レフではファインダーと撮影画面で光路を分岐させるという複雑な構造になっているため、視野率を100%に近づけるためには、イメージセンサーやフィルムの撮影範囲とファインダーで見える範囲にズレが生じないようにするためには、高い組み付け精度が必要になります。

そのためそれを実現するためには、ファインダー位置決めを正確に行うための調整部品と、手作業による調整のための人件費がかかってしまいます。

一部のメーカーではボディ内手ぶれ補正機構を利用して、ファインダーを調整するのではなく、ファインダーに合わせてイメージセンサーを動かすことで、視野率100%を実現するためのコストを抑え、入門機クラスから視野率約100%を実現しているメーカーもあります。

しかし、通常一眼レフで視野率約100%を実現できるのは、そうした調整を行うためのコストがかけられる中級機以上のモデルとなります。

対してミラーレス機などEVF(電子ビューファインダー)を搭載するカメラの場合、ファインダーの接眼レンズの奥に置かれているEVFの表示デバイスには、撮像素子が受け取っている映像をダイレクトに表示させることが可能です。

ですから、一眼レフの光学ファインダーのような撮影用のイメージセンサーに届く像と、ファインダーに導く像のズレを極小化させるための調整といった手作業のコストがほとんどかからないため、ミラーレスカメラのEVFでは普及価格帯のモデルも含めてほとんどの機種でファインダー視野率100%を実現することが可能となっています。

 

■ファインダー倍率とは?


ファインダー倍率とは?

ファインダー視野率と並んでファインダーの性能を示す指標として、「ファインダー倍率」があります。

このファインダー倍率とは、「撮像面上での像の大きさと、ファインダーで見ることのできる像の大きさの比率」を示す数値です。

例えばファインダー倍率が、

  • 約0.76倍(50mmレンズ・∞・-1m-1

と表記されている場合、「焦点距離50mmのレンズを取り付けて、無限遠にピントを合わせた時、-1ディオプター(視度調整を行っていない初期状態)で、撮像面上の像と比較して約0.76倍の大きさで見えるファインダー」という意味になります。

ファインダー倍率を見る時の注意点

ファインダー倍率を見る際の注意点として、「撮像素子の大きさが異なると直接比較できない」という点があります。

ファインダー視野率とファインダー倍率をシンプルに表現すると、

  • 視野率→「写る範囲」と「見えるの範囲」の範囲の比率
  • 倍率→「撮像面の像」と「ファインダー像」の大きさの比率

であるため、撮像素子(イメージセンサー)が小さければ、ファインダーが小さくてもファインダー倍率は上がる傾向にあり、そのため、イメージセンサーのサイズが異なるとファインダー倍率の数値を直接比較することはできません。

例えば、

  • APS-C機:約1.00倍(50mmレンズ・∞・-1m–1 )
  • フルサイズ機:約0.76倍(50mmレンズ・∞・-1m-1

という撮像素子の大きさが異なる2つのカメラがあった場合、数値だけを見ると、上のAPS-C機の方がファインダー倍率が大きいためにファインダー像も大きいかのように見えます。

しかし、APS-C機のファインダー倍率ををフルサイズ機のファインダー倍率に換算すると多くのAPS-C機では、約0.67倍となるため、実際のファインダー像は下のフルサイズ約0.76倍の方が大きくなります。

撮像素子サイズが異なるカメラのファインダー倍率の比較

センサーサイズは機種により微妙に異なるものの、ざっくり言うと、

  • フルサイズ:倍率そのまま
  • APS-C(キヤノン以外):倍率÷1.5
  • APS-C(キヤノン):倍率÷1.6
  • マイクロフォーサーズ:倍率÷2.0

このように計算すると、センサーサイズの異なるカメラ同士でもファインダー倍率を比較することが可能です。

 

画像:Nikon

Reported by 山﨑将方