これからのプロカメラマンにオススメのしがらみ無きカメラ選び

D5

これまでプロカメラマンのスタンダードなカメラと言えば、キヤノン・ニコンの一眼レフという時代が長く続きました。

しかし近年ミラーレスカメラの大幅な進化によって、今やプロカメラマンのカメラの選択肢も多様化してきたと言えるでしょう。

もちろん既に所有している多数のレンズやアクセサリー、慣れた操作性などの理由から、これまで使っていたメーカーを使い続けるという場合もあります。

撮影に十分な性能を持つ機材を所有しているにも関わらず、無駄なコストを使って不慣れなカメラをチョイスするカメラマンは少ないでしょう。

しかし、逆にそうした所有機材や慣れの問題が少ない、「これから」カメラマンになろうという人は、「保有しているレンズがどうこう」「先輩カメラマンが使っているからどうこう」「学校で勧めらたからどうこう」といった消極的な理由ではなく、純粋に最も撮影に適したカメラを選びたいもの。

目次

  • 選考の基準
  • ポートレートカメラマン
  • 商品撮影(物撮り)カメラマン
  • スポーツカメラマン
  • ブライダルカメラマン
  • 建築カメラマン
  • 風景カメラマン
  • 野生動物カメラマン

そこで今回は、これからプロカメラマンになりたいとう方向けの、しがらみの無いカメラ選びを、ボディ性能やレンズラインナップなどから総合的に考えてみたいと思います。



■選考の基準


選考の基準

選考の基準は以下の通り。

  • シェアや実績といったものは考慮せず性能面などから判定
  • ボディだけでなく、ジャンル毎に必要なレンズやアクセサリーも含めて判定
  • 現時点で実際に発売されている製品で判断
  • 将来性や未発売のボディ・レンズなど、不確かな要素は考慮しない

 

■ポートレートカメラマン


α7R III

ポートレート撮影向きの機材とは?

ポートレート撮影で重要になるのは、広角から中望遠程度までのレンズが充実していること、大型ストロボなど幅広いライティング機材への対応力などになります。

順位
  • 1位:α7R III
  • 2位:D850
  • 3位:EOS 5D Mark IV
α7R III

1位は高い画質性能、瞳AFなどからソニーのα7R IIIとなりました。

従来弱点であったストロボへの対応も充実し、ライティング機材などもかなり充実度してきたことで、プロの現場でも十分な性能を発揮してくれる事でしょう。

D850

2位はニコンのD850となりました。高い画質性能、ポートレート撮影に必要なレンズも含めた膨大なレンズラインアップ、スタジオ撮影から屋外撮影まで対応力の高いボディなど、ボディ・レンズ・アクセサリーが非常に高いレベルでバランスされています。

EOS 5D Mark IV

3位はこれまでポートレート撮影の定番であったキヤノンのEOS 5Dシリーズの最新機種、EOS 5D Mark IVとなりました。

使いやすいボディ、充実したレンズラインアップやライティングアクセサリーなど、最高画質ではないとしても、現在でもポートレート撮影に使い勝手の良いシステムを実現しています。

 

■商品撮影(物撮り)カメラマン


PHASE ONE XF

商品撮影向きの機材とは?

商品撮影で必要になるのは、マクロレンズ、アオリレンズなどの特殊レンズの充実度、対応するスタジオライティング機材使い勝手、またカメラそのものの解像力なども求められます。

順位
  • 1位:PHASEONE XF + IQ3 100MP トリクロマティック
  • 2位:D850
  • 3位:EOS 5Ds
PHASEONE XF + IQ3 100MP トリクロマティック

商品撮影部門の1位となったのはデジタル中判カメラのPHASEONE XFとデジタルパックIQ3 100MP トリクロマティックの組合せでした。

商品撮影向けの焦点距離のマクロレンズ、アオリレンズのラインアップに加えて、1億画素の超高解像とフィルター各色が取り込む色の波長や感度を見直し、RGBそれぞれを均一に取り込めるように設計されたデジタルバックです。

またPHASEONE XFにはProfotoの無線ストロボトリガーProfoto Airも内蔵されており、Profoto Airに対応したストロボであれば、シンクロコードや別アクセサリーを使うことなく、ボディのみで無線でストロボをコントロールすることが可能です。

まさにプロ向けに特化されたカメラシステムと言えるでしょう。ただし非常に高価であるため、かなりの資金力が必要という欠点もあります。

D850

商品撮影部門の2位となったのはD850でした。高い解像力、豊富なマクロレンズ、アオリ(パースペクティブコントロール)レンズのラインアップ、純正・サードパーティー製のライティング機材・アクセサリーの充実度などがその理由となっています。

EOS 5Ds

3位になったのはEOS 5Dsでした。マクロレンズ・アオリ(ティルトシフト)レンズも充実しており、加えてスタジオライティングへの対応力も高いEOS 5Dsは商品撮影にこそ威力を発揮するカメラと言えます。

高解像を必要としない場合はEOS 5D Mark IVというのも有力な選択肢となることでしょう。

EOS 5Dsよりもさらに高い解像感を誇るEOS 5Ds Rという選択肢もありますが、商品の下に布を敷いて撮影したり、そもそも商品そのものがモアレが発生しやすい衣類のような被写体である事も多く、プロカメラマンとして使いやすいのはEOS 5Dsの方でしょう。

 

■スポーツカメラマン


D5

スポーツ撮影向きの機材とは?

スポーツ撮影に求められるのは、オートフォーカス性能、高速連写、大口径超望遠レンズのラインアップ、強靭なボディ、長いバッテリーライフ、大規模会場でのプロサポートの体制などになります。

順位
  • 1位:D5
  • 2位:EOS-1D X Mark II
  • 3位:α9
D5

スポーツカメラマン向けの1位となったのはニコンのフラッグシップ機であるD5でした。

高いAF性能と、いかなる環境でも信頼のできる作り、さらに超望遠レンズのラインアップの充実度、プロサポートの体制など、まさにスポーツカメラマンにとって盤石の体制を整えていることがその理由です。

EOS-1D X Mark II

2位にはEOS-1D X Mark IIがランクインしました。信頼性の高いボディとフルラインアップされている超望遠レンズ、現時点では実際に最もプロスポーツカメラマンに使われているカメラでもあります。

α9

3位にランクインしたのα9でした。驚異的なAF性能や高感度性能など多くの魅力を持つα9は、ミラーレスカメラのスポーツカメラマン市場参入の可能性を感じさせる機種となっています。

ただし現時点では超望遠レンズの不足などの課題もあり、今後のさらなる進化が期待されるところです。

α9のこの大きさと重さでありながら高い性能というのは、ソニーの技術力の高さの証明でもありますが、本来のこのカメラの用途を考えれば、バッテリーグリップ一体型で設計したほうが制約が少なく、より高い機能性・堅牢性を実現することが出来ただろうと思います。

用途によるので当然小型軽量を重視したミラーレスもあるべきですが、α9後継機に関しては、「小さく作れるところを敢えて大きく作る」というプロ機らしい割り切りが出来るようになれば、よりスポーツのプロカメラマンからの評価が高まることでしょう。

 

■ブライダルカメラマン


α7S II

ブライダル撮影向きの機材とは?

ブライダル撮影では、挙式だけでなく披露宴も撮影することがままあり、薄暗い披露宴会場内でクリップオンストロボを使用してのバウンス撮影を行うケースが多い撮影ジャンルです。

ブライダル撮影ではブーケトス以外ではほとんど連写はしませんが、反面高感度性能が求められ、逆に解像力に関してはそれほど必要ありません。

高感度性能とともにブライダル撮影は撮影枚数が多いため、バッテリーライフやシャッター耐久の理由から、実はEOS-1D X Mark IIやD5といった一般的にはスポーツ撮影向けというイメージが強いカメラが適しており、実際にそうしたカメラを使用しているカメラマンも多いのですが、次々と進行していく式の最中はレンズ交換が行いにくく、そうした都合から、2台のカメラを両肩にかけて撮影するというスタイルのカメラマンも多く、重量の問題からフルサイズのエントリー機から中級機が使われることが一般的です。

またレンズに関しては集合写真には超広角、多くのシーンでは標準ズームレンズ、挙式場や披露宴会場では200mm程度までの望遠ズームレンズも使われます。

順位
  • 1位:α7S II
  • 2位:EOS 5D Mark IV
  • 3位:D850
α7S II

ブライダル撮影部門の1位はα7S IIとなりました。高い高感度性能と共にその携帯性は、2台を同時に持ち歩くことの多いブライダルカメラマンにとって大きな魅力となるでしょう。

α7S IIIが発売された際にはさらに有力な候補となりそうですが、現時点ではα7S II、バッテリーライフや前撮り・後撮り時の大型ストロボのとの親和性の観点から、予算と価格が許せば連写機のイメージがあるα9も実は適性の高いカメラです。

EOS 5D Mark IV

2位にはキヤノンが誇るオールラウンダーEOS 5D Mark IVが選ばれました。

どれかに非常に適しているというというカメラではないものの、EOS 5D Mark IVとF2.8やF4.0通しのの広角・標準・望遠ズームレンズのセットがあれば、ブライダルの前撮りや後撮り、挙式から披露宴まで幅広いシチュエーションに対応することが可能です。

D850

3位にはニコンのD850がランクインしました。

ブライダルでは大伸ばしはまず行わないためここまでの画素数は必要ありませんが、その高い画質性能や暗所でのオートフォーカス性能など、その使い勝手はブライダル撮影でも遺憾なく発揮されることでしょう。

D750も有力な選択肢となりますから、予算や体力に応じて選ぶのが良いでしょう。

 

■建築カメラマン


EOS 5D Mark IV 24-70mm F4L IS USM

建築撮影向きの機材とは?

建築写真の場合、超広角レンズとアオリレンズなどが必要になります。

実際の建築カメラマンは外観だけでなく内観の撮影が非常に多く、「どれだけ部屋を広く見せることが出来るか」という点が非常に重要になります。

順位
  • 1位:EOS 5D Mark IV
  • 2位:D850
  • 3位:α7R III
EOS 5Ds

1位に選ばれたのはEOS 5D Mark IVでした。非常に幅広いアオリ(ティルトシフト)レンズのラインアップに加えて、TS-E17mm F4LやEF11-24mm F4L USMといった他社にはない超広角レンズのラインアップは、室内を広く見せたい建築カメラマンにとって非常に大きな武器となります。

キヤノンにはより画像の先鋭度の高いEOS 5Ds Rもありますが、建築写真では、外壁やカーテンなどでモアレが出る場合があるため、仕事であれば撮影したショット全てでモアレに対処することは難しいため、モアレの目立ちにくいEOS 5D Mark IVやEOS 5Dsがおすすめです。

D850

2位はキヤノン同様、PC NIKKOR 19mm f/4E EDといった超広角アオリ(パースペクティブコントロール)レンズなど多彩なレンズラインアップを持つニコンのD850が選ばれました。

ライブビュー中に液晶モニター上の同じ高さにある離れた2カ所を同時に拡大表示、正確な水平合わせが容易にできる「2点拡大」表示機能など、建築撮影でも使いやすいボディとなっています。

α7R III

3位にランクインしたのはα7R IIIでした。ピクセルシフトマルチ撮影に加え、超広角ズームレンズのFE 12-24mm F4 Gなどもラインアップされており、建築写真においてもその高い画質性能を遺憾なく発揮してくれることでしょう。

今後アオリレンズなどのラインアップの充実が期待されるところでしょう。

 

■風景カメラマン


α7R III

風景撮影向きの機材とは?

風景カメラマンに求めらる機材は、画質、堅牢性、広角から200mm程度までの望遠レンズラインアップとなります。

順位
  • 1位:α7R III
  • 2位:D850
  • 3位:EOS 5Ds R
α7R III

風景カメラマン向けのカメラとして1位に輝いたのはα7R IIIでした。高い画質性能に加えて、バッテリーの大型化、設計の新しい超広角レンズなども揃い、ますます風景撮影に適したシステムとなってきました。

D850

2位に選ばれたのはニコンのD850でした。景勝地でも非常に良く見かけるニコンのD800シリーズは、その高い解像力や超広角レンズのラインアップ、堅牢性などから、風景カメラマンにとって定番中の定番といえるものとなっています。

EOS 5Ds R

3位にランクインしたのはキヤノンEOSシリーズで最高の解像力を誇るカメラ、EOS 5Ds Rでした。EF11-24mm F4L USMなど超広角レンズのラインアップも充実しており、風景カメラマンにとって使いやすいカメラとなっています。

 

■野生動物カメラマン


D5

野生動物撮影向きの機材とは?

野生動物カメラマンにとって必要なカメラの要素は、高感度画質、暗所でのAF性能、加えて超望遠レンズのラインアップ、堅牢性などになります。

  • 1位:D5
  • 2位:EOS-1D X Mark II
  • 3位:α9
D5

野生動物カメラマン向けの1位となったのは、ニコンのD5でした。

高い高感度画質、暗所に強いオートフォーカス、超望遠レンズの豊富なラインアップ、充電や修理ができない環境での長期間の撮影でも安心して使用できるボディなど、まさに野生動物カメラマンにとって盤石の体制を整えており、実際に多くの野生動物カメラマンに使われているモデルです。

EOS-1D X Mark II

2位はキヤノンのフラッグシップ機、EOS-1D X Mark IIとなりました。超望遠レンズの豊富なラインアップと堅牢性などがみりょくとなっています。

α9

3位はソニーのα9となりました。現時点では実際に発売されている超望遠レンズのラインアップがFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSのみとなっており、野生動物撮影向きのレンズラインアップとしては頼りない部分もありますが、1.4倍と2.0倍のテレコンが使えます。

400mm/F2.8の開発も発表されていますが、今回は「未発売のボディ・レンズなどは考慮しない」というコンセプトですから、評価には含めていません。

 

画像:YouTube,Nikon,SONY,Amazon

Reported by 山﨑将方