写真趣味とは何かを教えてくれるおばあちゃん

引用元:ドキュメント72時間 星に願いを 都会の七夕まつり(https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2020108924SA000/?capid=nte001)

みなさんこんにちは。

今回はNHKのドキュメンタリー番組「ドキュメント72時間」の再放送「星に願いを 都会の七夕まつり」に出ていた、増上寺に写真を撮りにきていたおばあちゃんの話です。

■ドキュメント72時間「星に願いを 都会の七夕まつり」の内容


ドキュメント72時間「星に願いを 都会の七夕まつり」の解説文

“年に一度、短冊に願い事を託す、七夕。今回の舞台は、東京タワーのすぐそばにあるお寺の七夕祭り。

訪れる人たちは、思い思いに秘めた願いを短冊につづっていく。10年片思い中の相手との再会を願う女性や、新型コロナの影響で会社のボーナスを気にするカップル、亡き父とつながるために毎年やってくる外国人もいる。

七夕までの3日間、ささやかな願いを短冊にしたためる人たちに耳を傾ける。”

NHK解説より。


写真趣味のおばあちゃんの話

増上寺の七夕まつりに来ていたおばあちゃんの出演部分の、NHKのNHKのインタビュアー、ナレーション、おばあちゃんの会話を文字起こしをしてみました。

引用元:ドキュメント72時間 星に願いを 都会の七夕まつり(https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2020108924SA000/?capid=nte001)

ナレーション:毎年、ここに写真を撮りに来ることが楽しみらしい

インタビュアー「今日は何かお願い事はされないんですか?」

おばあちゃん「今日はまだしてない、もういいんですしなくても。何年あと生きるのかななんて思いながらね、そんな長生きしたくないわと思いますよ」

ナレーション:聞けば12年前、夫をすい臓がんで亡くしたという。以来、塞ぎ込むこともあるそう

ナレーション「どうして写真撮り始めたんですか?」

おばあちゃん「主人が亡くなって、三回忌終わってこれじゃいけないと思って一念発起して、ちっちゃいカメラからスタートして」

ナレーション:夫はカメラが趣味で、息子の野球の試合をよく撮影していた。子供が独立し、夫婦の時間を楽しみ出した矢先、癌が見つかり、一年半後に亡くなった

引用元:ドキュメント72時間 星に願いを 都会の七夕まつり(https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2020108924SA000/?capid=nte001)

おばあちゃん「がんセンター行って体拭いたり、一緒にご飯食べて、病院のご飯と私は自分で作ったご飯とで、そっちのご飯食べたいって食べてみたりとか。全部が思い出で」

ナレーション:今も、ふとした時に夫の姿を思い出す

おばあちゃん「げた箱に靴が置いてあります。ドア開けるとおかえりって言ってくれそうな気がしません?だから今居てくれたらなと思いますよ、いまだに思いますよ。いまだに」

引用元:ドキュメント72時間 星に願いを 都会の七夕まつり(https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2020108924SA000/?capid=nte001)

ナレーション:そんな中、カメラが立ち直るきっかけをくれた。見知らぬ人たちの願い事にふれると、不思議と力が湧いてくる

引用元:ドキュメント72時間 星に願いを 都会の七夕まつり(https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2020108924SA000/?capid=nte001)

おばあちゃん「今日も元気出して来たんです。午前中もうダメだったんで」

おばあちゃん「だから気分を晴らすには、やっぱりカメラもって、だから来ればなんか出会いがあって、絶対いいことあると思って来るんですよ私は」

引用元:ドキュメント72時間 星に願いを 都会の七夕まつり(https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2020108924SA000/?capid=nte001)

おばあちゃん「やっぱり元気でるんだと思って、元気になりましたもの。今日カメラ持ってきてよかったです。よかったです」

ナレーション:ささやかであっても、夢や希望を持って生きる人たち。彼女はいつまでもシャッターを切り続けていた

■写真愛好家とは?カメラ愛好家とは?


本当の写真愛好家の意味を知る。

実際の映像ではこのおばあちゃんの撮影している写真も一部映っていますが、はっきり言ってお世辞にも上手い写真とは言えないでしょう。

しかし写真好きであるかどうかに、上手い下手など大した意味はないのではないかとも思います。

コンテストや画像投稿サイトやインスタに載せるためだけに、有名な景勝地で三脚を並べてコピペのような写真を撮影するのもまあいいでしょう。

しかし「カメラを持って出かけると元気になるから」という理由で写真を撮り続けるのも立派な写真愛好家です。下手の横好きでもいいのです。

写真を撮るのが好きという意味でいうなら、このおばあちゃんや、友達と自撮りをしている若い子たちの方が、ネット上やカメラ専門店に出没する、自称「写真撮る派」よりも余程純粋に撮影を楽しんでいるのかもしれません。

「写真愛好家」とはとどのつまり三種類くらいしかありません。

  • 写真を鑑賞することが好きな人
  • 撮影そのものに喜びを感じられる人
  • 作品のために果てしない情熱を注げる人

この三つです。それらを一体のものとして感じることができる人もいます。そのどれにもなれない人もいます。

本当のカメラマニアの意味を知る。

また近年カメラマニアも、カタログスペックやネットの情報からしかカメラを比較できない人がとても増えてしまいました。心底ゴミだと思います。

そんなものは「カメラに詳しい」とは言わないですし、ただ仕様表の数字を比べたり、ネットのレビューを聞きかじるだけなら、誰にでもできることです。

本物のカメラマニアとは、カメラや写真そのものから、数値に現れない作りの良し悪しや、写りの違い、作り手の設計思想までも読み取れるような人のことです。

ネットで目を三角にして仕様表を見比べたり、ユーチューバーのレビューを聞いているだけでは一生そうした領域には辿り着けません。

実際にカメラを手に取り、使ってみて、

  • なぜこのような作りになっているのか?
  • なぜこうはしなかったのか?
  • どこに本当の改善すべき点があるのか?

などを考察し想像を巡らせてみてください。やがて仕様表からでは見えてこないカメラ作りの奥深さが見えてくるようになるでしょう。

画像:NHK

Reported by 正隆