雑誌で活躍したいフォトグラファーのための持ち込みの時のポイント

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皆さんこんにちは。

皆さんの中には既にプロとして活動している方、あるいはこれからプロになりたい方もおられるかと思います。

プロフォトグラファーと言ってもジャンルは様々ですし、プロになるためのルートも幾つもあります。

そこで今回は、ファッション誌やグラビア誌のフォトグラファーになりたいというかた向けに、雑誌編集部へ持ち込みを行う際のコツをご紹介します。

目次

  1. 雑誌の発売日前などは避ける
  2. 編集部の連絡先が分からない場合は奥付を見る
  3. 電話で冷たい対応を受けても気にしない
  4. 雑誌の傾向を知ってポートフォリオを持ち込む
  5. 持ち込み用のブックと出来ればウェブポートフォリオも
  6. 雑誌の最新号だけでも読んでおこう
  7. 名刺やプロフィールシートもしっかり渡していこう
  8. 有名誌だからといって臆することはない
  9. 小さい出版社の方が依頼までの話は早い
  10. 有名誌だから特別ギャラが高いというわけではない
  11. 変化があれば一度持ち込んだ出版社でもまた持ち込んでいい
  12. 持ち込みが徒労になってもめげない!絶対にめげない!





■出版社に持ち込む際のコツと心構え


1.雑誌の発売日前などは避ける

出版社は雑誌の発売日に向かって忙しさを増していきます。

そうしたタイミングで電話をしても相手方は多忙で対応も悪くなりがち。発売日の後など、編集部がなるべく暇な時期を狙って電話をしましょう。

2.編集部の連絡先が分からない場合は奥付を見る

雑誌のサイトに編集部の連絡先が記載されていないとか、そもそも雑誌の公式サイトが無いということもあります。

また有名な出版社であっても公式サイトがそれほどしっかりと作り込まれていないというのは、出版業界のあるあるです。

基本は雑誌の奥付(乱丁などがあった場合の連絡先が記載されている雑誌の最後の方のページ)や裏表紙に編集部の電話番号が記載されているので、そこに電話してみましょう。

もしどうしても実物を購入できないような場合でかつネットで各雑誌の編集部の連絡先がわからない場合は、出版社のサイトから代表電話番号に電話するかメールを送って、持ち込みたい雑誌の編集部の連絡先を聞いてみましょう。

3.電話で冷たい対応を受けても気にしない

編集部によっては持ち込みそのものに対応していない、あるいは持ち込まれることに慣れていないという場合があります。

そのため時間を置いて問い合わせても毎回「担当の者が不在で…」としか返ってこないこともあります。良くあることなので気にせず他のところを探しましょう。

4.雑誌の傾向を知ってポートフォリオを持ち込む

雑誌によって傾向が異なるため、あまりにも雑誌の趣旨と違うポートフォリオを持ち込まれても相手も困惑しまいますし、担当者によっては「なんでうちの雑誌に持ち込もうと思ったの?」という感じの冷たい反応が返ってくることもあります。

ピッタリ雑誌のテイストに合っている必要はありませんし、編集部からしても今その雑誌で既に撮影しているフォトグラファーと同じような作風、同じようなクオリティであれば、敢えて新しい人に頼む理由もありません。

と言っても既にプロとして活躍している他のフォトグラファーと比較して「圧倒的なクオリティの差を見せつける」ということはあまり現実的ではありません。

実際の雑誌の撮影はかなりタイトなスケジュールで撮影していたり、予算が少ない撮影の方が多いものです。つまり、自分がガッツリ時間をかけた作品撮りと、他の人の雑誌の写真を比較して「自分の方が上手い」と思っていても、大抵勘違いです。

例えば雑誌を見ていて、他のフォトグラファーに対して以下のように感じたとしましょう。

  • 自分より上手いかも→比較にならないほど遥か上の天上人
  • 自分と同レベルかな→あなたが足元にも及ばないほど上手い人
  • 自分の方が上手いな→あなたよりかなり上手い人
  • なにこの下手クソ見るに耐えない→あなたと同レベルの人

現実はこんなものです。将棋などと同じで、見るとやるとで大違いなのが雑誌の撮影です。

そのため雑誌の仕事をコンスタントに受けているようなフォトグラファーは、ほとんど全員が新人であるあなたよりずっと上手いですし、何より仕事に慣れています。

なので、持ち込む作品のクオリティを高めていくことは勿論最重要ですが、それだけではなくあなた自身の作風、独自性が武器になる場合もあります。

しかしそれは「目先のインパクトのために変な個性を付けろ」という意味ではありません。自分の好みを追求し続けていくことであなた自身の写真の個性が自然と生まれていきます。

話は戻りますが、ここで言っている「明らかに趣旨が違う写真を持ち込まないようにする」というのは、例えばビューティー系の雑誌にゴリゴリの水着グラビアの作例を持って行ったり、ましてやスポーツフォトの作例などを持ち込まれても、相手からすると、あなたが「ビューティーの撮影を出来るのかどうか」の判断が出来ないため仮にその作品そのものは良かったとしても、仕事の依頼には繋がりません。

ですから、自分の持っているポートフォリオの中から最低限持ち込み先の雑誌のジャンルに合致したものを選んでブックにしましょう。

また、大きいくくりでは同じカテゴリーの雑誌であっても、雑誌によってコンセプトが異なります。

例えばファッション誌の場合、ファッションそのもののターゲット層が雑誌ごとにある程度絞り込まれていることが多いため、自然とそれぞれの雑誌の写真の傾向が決まってくることが多いのですが、グラビア誌などでは、統一感のあるものもあれば、逆にタレントさんやモデルさんに合わせてそれぞれ全く雰囲気の異なる写真が混在している(あるいは意図的にさせている)場合もあります。

そのため、誌面全体で明らかに統一感を出したいという意思が感じられる雑誌であればその雑誌の雰囲気に合わせた作例を、逆に多様性がある雑誌では独自性を強く打ち出してみるのも良いでしょう。

選べるほど作例がない場合は、ブック自体を薄めのものにして極端に方向性が異なるものは外してみるというのも一つの手です。

5.持ち込み用のブックと出来ればウェブポートフォリオも

ポートフォリオの持ち込みは、担当の方が直接会ってくれる出版社もあれば、現在では「ウェブでポートフォリオを見せてください」という場合も増えています。そのためなるべくウェブ上のポートフォリオも用意しておきましょう。

ウェブポートフォリオは(綺麗で見易い)自前のサイトが用意出来ればベストですが、無料のポートフォリオサービスでも構いません。

ただし、ポートフォリオはポートフォリオです。プライベートの写真とごちゃ混ぜのSNSなどを仕事用のポートフォリオとごちゃ混ぜにして見せるのは絶対にやめましょう。

担当の方が見やすいようにちゃんとした「ポートフォリオだけを見られる」ウェブページを用意しましょう。

また基本となる持ち込み用のポートフォリオのブックはA4以上のサイズを最低1冊は用意しておきましょう。豪華な装丁が必要ということはありません。見やすさを重視しましょう。

また、ブック形式ではなく箱に作品のプリントを入れて持っていく人もいるようです。綺麗な状態で持ち運びできるならそれも一つの手かと思います。

6.雑誌の最新号だけでも読んでおこう

持ち込む先の雑誌をいつも読んでいるならベストですが、大抵の場合はそうではないでしょうから、最新号だけでも読み込んでおくと良いでしょう。

持ち込んだ時に話が弾みやすくなりますし、「雑誌の写真の傾向」を知ることにも繋がります。

7.名刺やプロフィールシートもしっかり渡していこう

相手は沢山の人と合う方です。自分の印象を残すためにも、名刺は絶対、出来ればプロフィールシートも渡せるように準備しておきましょう。

名刺やプロフィールシートは自体は常識の範囲であれば凝ったものである必要はありません。

8.有名誌だからといって臆することはない

有名な雑誌=持ち込みも多く結果的に競争が激しいという部分はありますが、逆にいうと編集部も沢山のフォトグラファーの持ち込みに慣れているため、大手の編集部ほど安定して愛想の良い対応を受けることが多いように思います。

なので「大手出版社=厳しいことを言われる」ということではありません。

担当の方の中には感じの良い人もそうでない人もいるのは事実ですが、それはもう「人による」としか言いようがありませんし、電話対応して頂いた方と当日に見てくれる人が同じとも限らないため、持ち込む前からそんなことを気に病んでも仕方がありません。

有名誌でもマイナー誌でも自分の作風と合いそうとか、この雑誌で仕事をしてみたいと感じたならどんどん持ち込んでみましょう。

9.小さい出版社の方が依頼までの話は早い

小さい出版社の場合、ごく普通のマンションの一室が編集部ということも良くあることです。

長い間続いている雑誌や、書店でよく見かける雑誌であってもそうしたケースは意外とあるので、慣れていないと少し不安な気持ちにもなるかもしれません。

しかし、そうしたところでは持ち込みを編集長が直接見てくれることも多いので、気に入ってもらえば(あるいは運が良ければ)その場で「じゃあ○月号の撮影頼める?」という話になる場合もあるので、ある種の狙い目でもあります。

出版社の大小はあれど、どちらにも良さがあるのであまり気にせず自分が興味を持った雑誌の編集部を訪ねてみましょう。

10.有名誌だから特別ギャラが高いというわけではない

これは今から心配すべきことではないので重要ではないのですが、運良く雑誌の仕事の依頼を受けることが出来たとしても、雑誌の仕事に限定して言えば、雑誌の1ページ(あるいは1カット)あたりのギャラはおそらく皆さんが想像しているよりも少ないはずです。

また売れているフォトグラファーでも、あるいは駆け出しのフォトグラファーであっても、1ページ(あるいは1カット)あたりのギャラはほとんど差がありません。

フォトグラファーはジャンルごとに「どういう風に撮影料金を決めるか」がかなり変わるのですが、雑誌の場合は多くの編集部で「表紙は〇〇円、中のページは1ページ(あるいは1カット)○○円」という風に、1ページもしくは1カットごとに規定のギャラが設定されていることが多くなります。

そのためフォトグラファーのギャラは「規定の金額×実際に掲載されたページ(もしくはカット)数」で決まることがほとんどで、「有名フォトグラファーだから1カットあたりのギャラを高く、若手だから足元を見て安く買い叩こう」ということは基本ありません。編集部からすればそんなことをする方が煩わしいのでしょう。

逆に言えば、相手からすれば値段が変わらないのに下手なフォトグラファーに依頼する理由がないので、結果的に腕の良いフォトグラファーに仕事が集中し、あの雑誌でもこの雑誌でも同じフォトグラファーの名前を見かけるということになるわけです。

有名誌では予算が大きいため、

  • 被写体となる人物がより有名な芸能人やモデルになる
  • 撮影場所(スタジオの規模や撮影のために押さえている時間、ロケ地など)が豪華になる
  • メイクさんやスタイリストさんなどがガッチリ入る

というような違いはありますが、フォトグラファーに支払われる1ページ(あるいは1カット)あたりの単価は有名誌でもそうでなくてもそれほど大きくは変わりません。

要するに稼ぎたいなら、「より多くの雑誌から、安定的に仕事を依頼され、実際紙面に沢山掲載してもらえる」技術と信頼のあるフォトグラファーになる必要があるわけです。

そのため仮にですが「うちの雑誌では表紙は25,000円で、中は1ページ10,000円です」というような話があったとして、いきなり新人に表紙や巻頭ページを任せてくれるということは、絶対と言って良いほどありません。

雑誌の表紙は売上に直結するので、その雑誌や他の雑誌で既に十分な実績のあるフォトグラファーが担当するからです。

なので新人の場合、貰えたとして中の1-2ページとか数カットとかそういう話から始まります。そうするとこの雑誌の場合、1ページしか掲載されなければ、撮影のために事実上半日から1日かけて10,000円しか貰えません。

持ち込みの苦労、撮影後のセレクト、レタッチ、納品などを考えれば全く割に合いません。

そう聞くとガッカリしてしまうかも知れませんが、例えばあなたがそうやってコツコツと実績を積み、いずれその雑誌で巻頭10ページを任せてもらえるまでになったとしましょう。

すると10ページで100,000円、巻頭を担当するなら大抵の場合表紙も担当するわけですから更に25,000円で、合計125,000円となります。

そうしたものが実績となって他の雑誌でも撮影を任せてもらえるようになっていくわけです。仮に同様の形で雑誌の撮影を月に5誌任せてもらえるようになれば、月収625,000円となり、年収では7,500,000円です。もう機材を買ってもちゃんと生活できるようになりますし、そうなってくると、写真集などの他の撮影の仕事も受けるようになります。

最初は1誌の1ページや2ページであっても、雑誌でコンスタントに撮っていて、実際に書店に並んでいるというのは、それそのものが「ああこの人は依頼して大丈夫な人なんだな」という強力なポートフォリオとなるため、最初からギャラを気にする必要はありません。

11.変化があれば一度持ち込んだ出版社でもまた持ち込んでいい

一度持ち込んだ出版社にもう一度持ち込むのは気が引ける。という気持ちは分かりますが、そんなことも気にする必要はありません。

一度持ち込んだ編集部でも「ポートフォリオがより充実したとか、他の仕事で実績を積んだ」といった変化があれば再度持ち込んでみましょう。まともな編集部であればまた会ってくれます。

ただし、全く同じポートフォリオで腕も実績も変わっていないのに再度持ち込む、というような無意味なことはやめましょう。相手方にも失礼です。

「あの頃の自分とは違うというのを見てもらうぞ!」という作品と気概を持って持ち込んでみましょう。

12.持ち込みが徒労になってもめげない!絶対にめげない!

何よりも重要なことです。腕の良いフォトグラファーや実績のあるフォトグラファーは沢山います。その中で新人のフォトグラファーが雑誌の依頼を獲得することは、コロナ禍での就職活動よりずっと厳しいものだと心得ましょう。

雑誌は毎号発売されていて、既に定期的に依頼しているフォトグラファーがいるから出版されているわけですから、あなたのための「空いてる席」など用意されてはいません。

その中で沢山の出版社に持ち込んで、技術と幸運(タイミング)によって僅かな隙間をこじ開けてチャンスを獲得し、実績を少しずつ積み上げていくことになります。わずかなチャンスを掴み、そこで結果を残すことが次へと繋がるわけです。

雑誌の仕事は本当に厳しい椅子取りゲームです。椅子の座り心地を気にするより、まずは最初の自分の椅子を1つ獲得することに集中しましょう。

また現時点で実績のない、これから雑誌で活躍していきたいという人が、10社や20社程度持ち込んだのに仕事をなかなか獲れないなんてことは当たり前のことです。「超普通」のことです。

常に作品のクオリティを上げ、見せ方を工夫していく必要はありますが、何十社断られようと落ち込む必要は全くありません。

今活躍しているフォトグラファーもかつて通った道です。最初から「とりあえず100社回ってみるか」くらいの気持ちで、編集の人と話すこと自体を楽しむという心構えで持ち込んでみて下さい。実際その中で、各雑誌がどういうフォトグラファーを求めているのか?を知り、フォトグラファーとして多くのことを学ぶことになります。

では皆さん頑張って行ってらっしゃい!

 

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Reported by 山﨑将方