EOS R3の新しい視線入力はスポーツ撮影に革新をもたらすか?

画像引用:キヤノン(https://cweb.canon.jp/eos/your-eos/product/eosr/r3/)

みなさんこんにちは。

さて、先日キヤノンがEOS R3の開発発表を行い、その目玉機能の一つとして「視線入力対応ファインダー」がありました。

この視線入力は、EOS 5QD(1992年)において世界で初めて搭載された機能で、その後EOS55(1995年)、EOS-3(1998年)、EOS 7(2000年)でも搭載されたものの、当時の視線入力はあまり評価されなかったことは皆さんもご存知だと思います。

しかし最後の視線入力ファインダー搭載機であるEOS 7から20年以上の時が経ち、比較にならないほどAFの処理速度が向上した今、キヤノンが20年前と同じような視線入力を勝算もなく再び搭載してくるとも思えません。

おそらく相当な自信をもっているからこそ復活させてくるわけですから、EOS R3の視線入力は21年前とは比較にならない進化を果たしているのではないかと期待しています。

また「瞳AFがあれば視線入力はいらない」という声もありますが、私はEOS R3の実機を見てみるまでそれは分からないと思っています。

そこで、今回は21年の時を経て視線入力のレスポンスが劇的に上がっているという前提で、「瞳AFにない視線入力のメリット」をお話ししたいと思います。





■高速な視線入力がもたらすAF革命


瞳AFがもたらした革新

視線入力の前に、瞳AFについて考えてみましょう。瞳AFは確かに人物撮影に革命をもたらしました。

かつて動く人物の目に素早く一点の測距点をもってくることは、マルチコントローラー(やマルチセレクター)を使っても、熟練したフォトグラファーでなければ難しい操作でした。

それが瞳AFの登場によって、誰もがなんの苦もなくプロフォトグラファー以上の速度で瞳に測距点を合わせ続けることが出来るようになりました。

同時にプロフォトグラファーにとっても、瞳に測距点をもってくる労力が無くなったため、

  • 表情のタイミング
  • ポージングの指先や足先の細かい部分の確認
  • 洋服や髪の乱れがないかの確認
  • 背景や背後の通行人の具合の確認

など、画面の様々な部分の確認により力を注げるようになりました。

瞳AFによってピント合わせが楽になっただけでなく、同時に他の要素に注意を払えるためこれまで以上にクオリティの高い人物撮影が出来るようになったわけです。

そんな本当に素晴らしい機能である瞳AFですが、現時点の瞳AFの弱点についても話しておきましょう。

瞳AFは人数が増えるほど狙いとは別の人物に合わせてしまう場合がある

瞳AFはモデルとなる人物が1人であれば、選択するのはせいぜい「右目に合わせるか、左目に合わせるか」ということになるわけですが、画面内に複数の人物がいた場合などは、「誰の」「左右どちらの瞳に」AFを合わせるかを選択する必要に迫られる場合があります。

また同様に動物や鳥類の瞳に対応したAFも、複数の動物が群生している場合などでは撮影者側でどの個体の瞳に合わせるかを選択する必要があります。

視線入力がスポーツ撮影に革命をもたらす?

もしもEOS R3や他の機種で視線入力が大きく進化し、コンティニュアスAFモードでもスムーズに視線に追随してくれるようにものになっているのであれば、複数の人物が複雑に入り乱れるような状況でも合焦させたい人物を補足し続けるといったことが可能になります。

EOS R3が想定しているであろうスポーツ撮影などでは、狙っている選手ではない他の選手が画角に入って来るというシチュエーションがままあります。

例えばバスケットボールやサッカーのようなクロスプレーの多い団体競技、あるいは柔道のような選手間の距離が近い競技などでは、狙っていた選手と異なる選手に測距点が引っ張られてしまうということはこれまでもありました。

しかし視線入力が本当に「自在に高速に」撮影者の視線に的確に追随してくれるのであれば、もうそんな心配はありません。

狙っている選手の前を横切る選手がいようとも、クロスプレーが起きようとも、複数の選手が画角内に混在しようとも、撮影者はただ撮りたい選手を目で追いながらシャッターを切るだけで良いのです。

逆に1対1のポートレート撮影などでは瞳AFの方が便利な場合も多いでしょう(例えば人物の背景のボケ具合を確認しようとしても、視線入力では背景に視線をやった瞬間に背景にピントがいってしまってボケ具合の確認が出来ません)。

しかし複数の被写体が入り乱れるようなスポーツシーンなどでは、「誰に合わせるのか?」を手動で選択する必要がない視線入力の方が、より素早く撮りたい人物を追い続けられるという場合もあるでしょう。

キヤノン自身「マルチコントローラーよりも素早く操作可能」と言っており、新しい視線入力機能にそれだけの自信があるようです。

この21年でAFの演算速度は桁違いに向上しました。あえて復活させるだけの根拠がなければキヤノンもわざわざやらないはずですから、EOS R3の視線入力ファインダーの可能性に期待したいと思います。

ただこの視線入力のレスポンスや精度に関しては、実機を確認しないことには(視線入力中ファインダーを撮影することが難しいため)YouTubeなどの動画レビューも難しいと思いますので、キヤノン公式に期待するか、ショールーム等で自分で確認するよりないかもしれません。

Reported by 山﨑将方