シャッター半押しAFか親指AFか、きのこたけのこ戦争

皆さんこんにちは。

今回は私が書いた記事ではなく、「Photo Cafeteria」さんというサイトに掲載された(最近更新された)記事で、素晴らしい視点の記事で多くのかたに読んでいただきたい内容ですので、それをご紹介します。

Photo Cafeteriaさん「時代遅れの親指AF」(2021/08/15更新)

ちなみにYouTubeで動画も上げられているので、それも上に掲載しておきます。

また今回折角シャッター半押しAFと親指AFの話なので、私自身のAF操作に関する設定も話しておきたいと思います。

目次

  • シャッター半押しAFか親指AFかは人それぞれ
    • 親指AF礼賛の風潮に対するアンチテーゼ
    • 「プロはほとんど親指AF」というのは嘘
  • 私の現在のAF操作設定
    • なぜ私はシャッター半押しAFを使うのか?
      1. 親指はグリップのみに使った方が楽
      2. マルチコントローラー(ニコンだとサブセレクター)を操作中にはAF-ONボタンを押せない
      3. .露出補正で親指でダイヤルを回した時に、AF-ONボタンに親指を戻さなくてもシャッターボタンでAF→レリーズまでできる
    • ではAF-ONボタンには何を割り当てているか?
    • シャッター半押しAFと親指AFのどちらが正しいわけでもない
  • 新しい視点を提示した「時代遅れの親指AF」の記事
    • Photo Cafeteriaさんの主張は面白い





■シャッター半押しAFか親指AFかは人それぞれ


親指AF礼賛の風潮に対するアンチテーゼ

Photo Cafeteriaさんの記事の内容に関して、私も前から同じようなことを感じていたので、(シャッター半押しAFと親指AFのどちらが優れているという意味ではなく、親指AFは礼賛されすぎているという点)この記事の存在を知った時には面白い話だととても感心しました。また内容的にもPhoto Cafeteriaさんの記事はしっかり書かれています。

リンク:Photo Cafeteriaさん「時代遅れの親指AF」(2021/08/15更新)

Photo Cafeteriaさんの考えに関しては、上のリンクからご本人のサイトを見ていただくか、YouTubeの動画を見て頂いた方が分かりやすいと思いますので、そちらをご覧ください。


「プロはほとんど親指AF」というのは嘘

で、ここからはしばらく私が話すわけですが、よくカメラ業界では「プロは○○」という話がありますよね?

「プロはRAWしか撮らない」とかああいう系の話です(※もちろん実際はJPEGで撮るプロは山ほどいます)。

一昔前だと「プロは単焦点(レンズ)」みたいなことを言われていた時期もありました。もちろんこれも嘘で、当時からズームレンズを使っているフォトグラファーは沢山いました。

機材や設定は人によって違いますし、同じ人でも使い分けたりします。

なのでその手の「プロは○○」系の話はほとんどウソと思っておいて大丈夫です。

「プロは親指AF」というのもそうした迷信の一つであって、そういったことを言っている人は実際はプロの撮影を知らないか、偏ったジャンルの撮影経験しかない人だろうと思います。

シャッター半押しAFを使っているフォトグラファーはもの凄く沢山いるので「プロはほとんど親指AF」なんてことはありませんし、逆に「プロはほとんどシャッター半押しAF」なんてこともありません。

例えばスポーツや報道系の撮影ばかりしている人だと、そうしたジャンルでは親指AFを使っている人が多いので勘違いしてしまう場合もあるかもしれません。

またスポーツや報道系のように、同じ被写体を沢山のフォトグラファーが集まって撮影することの多いジャンルでは、情報が共有されやすく、エコーチェンバーとなっている可能性があります。

「自分の周りは親指AF派が多いから、他のジャンルも親指AF派ばかりだろう」と錯覚してしまうわけです。

しかしフォトグラファー全体ではそんなことはないですし、そもそも世界中のあらゆるジャンルのフォトグラファーにアンケートでも取って調べない限り、シャッター半押しAF派と親指AF派でどちらが多いかなんて誰にもわからないことです(「○○派」という呼び方自体が対立構造のように見えてしまう問題があるのかもしれませんが)。

私は割と幅広いジャンルを撮ってきた方だと思いますが、モデルさんやタレントさんのような被写体もプロの人物撮影では、シャッター半押しAFを使っている人が多いと感じています。と言ってもそれも印象の話なのでもちろん正確にカウントしたわけではありません。

また私のジャンルではライカや一部の中判デジタルのようなAF-ONボタンがないカメラや、マニュアルフォーカスレンズを使っている人もいます

デジタルとはいえライカやマニュアルフォーカスレンズで仕事をするのはそれなりに大変だろうと思うのですが、「自分の気に入った描写より優先すべき便利機能などない」という姿勢は潔くていいですね。

当然その人たちには親指AFがないですし、マニュアルフォーカスレンズならオートフォーカス自体ないわけです(フォーカスピーキングなど違う形で利用しているケースはあるかもしれません)。

■私の現在のAF設定


なぜ私はシャッター半押しAFを使うのか?

シャッター半押しAFと親指AFどちらを使っているか理由は人によって違うと思いますが、私が今仕事で一番使っているカメラはEOS R5で、シャッター半押しAFで使っているのですが、その理由は、

  1. 親指は出来るだけグリップのみに使った方が楽
  2. 測距点選択時にマルチコントローラー(ニコンだとサブセレクター)を操作し続けながらレリーズができる
  3. 露出補正ダイヤルを操作しながらレリーズできる

この3点が大きいかと思います(AF-ONボタンもAF駆動以外の目的で使っているので、後で説明します)。

1.親指は普段はグリップのみに使った方が楽

これはそのままですね、幾らAF-ONボタンがいい場所に配置されているとは言っても、親指はグリップのみに専念した方がグリップが楽です。

ボタンを押すには多少なりとも力を込める必要がありますし、適当に持てば指が離れたり浮いたりしてしまいます。

私の場合ほとんどのカットは今は瞳AFで撮影するため、シャッター半押しAFで何も困りません。

2.マルチコントローラー(ニコンだとサブセレクター)を操作しながらレリーズできる

親指は一本しかないので、親指で測距点選択のためにマルチコントローラー(ニコンだとサブセレクター)を操作中はAF-ONボタンを同時に押すことができません。

そのため、親指AFでは測距点選択後に再び親指をAF-ONボタンに戻す必要があります。

しかしシャッター半押AFであれば、マルチコントローラーに指を置いたまま、シャッターボタンでAF駆動→レリーズまで押し込むだけで出来るので、マルチコントローラーから親指を離さずに測距点を動かしながら次々とシャッターを切ることが可能です。

もちろんこれは人によっては全然関係がないというか、被写体の選択をカメラに任せている場合などは、そもそもマルチコントローラーで測距点を選びませんから、マルチコントローラーとAF-ONボタンを同時に操作できようができまいが関係がありません。

例えば激しく動いているスポーツ撮影や飛んでいる野鳥の撮影で、マルチコントローラーを操作している余裕は普通はないでしょうから、親指はAF-ONボタンから離れないので困らないというわけです。

なので、これはあくまで私の撮影の話で、私の場合は瞳AFが効かないときや任意の場所にピントを持って行きたいときは1点AFでマルチコントローラーで測距点を選択するので、マルチコントローラーを操作するたびにAF-ONボタンに親指を戻すというのは無駄な動作になってしまうので、マルチコントローラーを操作しながらでもそのままシャッターを切れるシャッター半押しAFの方が楽で速いということです。

一応極端な方法として、人差し指と親指以外の指でAFを動作せれば、AFとレリーズとマルチコントローラーの操作を全部切り分けることも「理論上は」可能です。

例えば、カメラのフロントの絞り込みボタンやファンクションボタンにAFスタートを設定すれば、

  • 人差し指→シャッターボタン
  • 親指→マルチコントローラー
  • 中指・薬指→絞り込みボタン・フロントファンクションボタン

といった中指AF・薬指AFのようなことも可能なわけですが、実際やってみればわかると思いますが、ほとんどの人はその三ヶ所同時に指は届かないでしょうし、届いたとしてもやらないと思います。

ちなみに私はフロントの絞り込みボタンは「モニターを一時的に明るくする」(キヤノン機での名称)に設定しています。

ロケーション撮影だと画像を確認するときにモニターが見辛い時があるので、モニターを一時的に最大輝度にするこの設定は便利だと感じています。

画像確認時は大抵カメラは下を向きますから、薬指で絞り込みボタンを押しやすいのもその理由です。

3.露出補正ダイヤルを操作しながらレリーズできる

また露出補正を親指で行うときも同様で、シャッター半押しAFの方が、親指で露出補正のためのダイヤルを操作し、親指をAF-ONボタンに戻さなくてもそのまま人差し指でピント合わせとシャッターを切る動作が出来るので、露出を調整しながら複数枚撮影するにも親指が露出補正ダイヤルとAF-ONボタンを行ったり来たりしなくて済むので楽だと感じています。

要するにシャッター半押しAFであれば親指でなんらかの操作をしていても、ピント合わせのためにAF-ONボタンに親指を戻さずそのままシャッターを切ることができるというわけです。

親指AFの利点として「AFとレリーズを切り分けられる」という点が挙げられることが良くありますが、言い換えればシャッター半押しAFは、「AFに親指を取られないので、他の作業ができる」という点にメリットがあるわけです。

ではAF-ONボタンには何を割り当てているか?

では、AF-ONボタンを全く使っていないかというとそうではありません。

私の場合今時のミラーレスは瞳AFがありますから、人物撮影ではシャッター半押しの瞳AFでほとんど目にピントを追ってくれますし、測距エリアも広く画面全域を追うので、フォーカスロックの必要もなく、瞳AFで90%以上のカットは撮影が可能です。

しかし例えば、

  • 髪の毛をわざと目にかけるヘアスタイルで瞳の位置を上手く検出してくれない場合
  • 後ろ姿や指先など瞳以外の身体の部分にピントを合わせたい場合
  • 人物以外の被写体の任意の位置にピントを合わせたい場合

このような場合は瞳AFではダメですから、マルチコントローラーで測距点選択をする必要があります(下の画像の赤丸が部分がマルチコントローラーです)。

EOS R5 背面
画像引用:キヤノン(https://cweb.canon.jp/eos/lineup/r5/)

は瞳AFとマルチコントローラーでの測距点選択をどう切り替えているかというと、カメラのメニューであらかじめ、

  1. AF方式を「顔追尾優先AF(瞳AF含む)」と「1点AF」に限定
  2. AF-ONボタンには「AF方式ダイレクト選択」を割り当てる

というように設定しておきます(AF-ONボタンはマルチコントローラーの隣)。

そうすると、通常はシャッター半押しAFで瞳AFで動作するのでそれで撮影し、瞳以外の任意の位置でピントを合わせたい時は、AF-ONボタンを1度押すだけで1点AFになりますからそのままマルチコントローラーでピントを合わせたい位置に測距点を移動させて撮影できます。

その際もAF駆動はシャッターボタンに連動しているので、親指はマルチコントローラーに置いたままでピント位置を適宜調整しながらレリーズすることができるので、次々と撮影していくことができます。

測距点選択での一連の撮影が終わって、デフォルトの瞳AFに戻る時にも、マルチコントローラーの隣のAF-ONボタンをまた1度押すだけで瞳AFに戻るというわけです。

そうすることで、

  • 使用頻度の高い瞳AF時は親指はグリップのためだけに使えて楽
  • たまにマルチコントローラーを操作するときも親指は測距点選択の操作だけに集中でき、AF-ONボタンに指を戻さなくても測距位置を動かしながら次々撮影できる
  • 瞳AF↔︎1点AFの相互の切り替えはAF-ONボタンを1回押すだけ

というわけです。

AF-ONボタンでなくとも「AF方式ダイレクト選択」は割り当てられるのですが、親指の動きとして、

  • 行き:グリップ→AF-ONボタン→マルチコントローラー
  • 帰り:マルチコントローラー→AF-ONボタン→グリップ

という親指の行って帰っての流れを考えたとき、AF-ONボタンはグリップ位置(親指を普段置いてある位置)とマルチコントローラーの途中にあるため、親指の移動距離が少なく済みます。

EOS R5 背面
画像引用:キヤノン(https://cweb.canon.jp/eos/lineup/r5/)

上の画像で言うと、普段は⑦(AF-ONボタン)の右隣に親指をおいて普通にグリップしておき、測距点を選択したい場合は、⑦(AF-ONボタン)を1度押して1点AFになり、⑥(マルチコントローラー)で測距点を動かしながら撮影、終わったら、⑦(AF-ONボタン)を1度押してからその右隣のグリップ位置に戻るわけです。

シンプルでしょう?(大したことをしていないだけなのですが)

ちなみにファインダーを覗きながら背面モニターのタッチ&ドラッグAF機能を使う方法もありますが、親指を結構下に下げないとタッチ&ドラッグAFは使えず、人差し指がシャッターボタンから離れてしまうので、マルチコントローラーを使っています。

色々なAF方式を使いたいというような場合は違う設定にする方が良いと思いますが、私の場合は今は殆どが瞳AFでいいので、この設定は親指は使わないか他の操作に専念できるので楽だと感じています。

もちろん何が楽かは被写体や撮影者によって異なるので、自分が使いやすいカスタマイズでやればいいと思います。

引用:デジカメwatch(https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1328574.html)

またEOS R3ではAF-ONボタンがスマートコントローラーになっていて測距点選択も出来るので、AF-ONボタンからマルチコントローラーに移動する必要さえなく、スマートコントローラーに「AF方式ダイレクト選択」を割り当てておけば、スマートコントローラーだけで完結できるのではないかと思います。

尤も、EOS R3の場合は視線入力があるのでAF-ONボタンで1点AFに切り替えた後は、視線入力だけで測距点選択する方がさらに速くて楽かもしれません。

ただEOS R3は高画素機ではなさそうなので、私の用途だと高画素機であろうEOS-R1かEOS R5 II(EOS R5 Mark II)にスマートコントローラーが搭載されるのを期待して待つことになると思いますが、ミラーレス+スマートコントローラー(あるいはミラーレス+視線入力)の操作性に今から期待しています。

話は戻りますが、結局のところ、ミラーレスは画面全域で測距できるのでAFロックして構図を動かす必要も感じないですし、置きピンに至っては10年以上使っていませんから、親指AFでAF動作とレリーズ動作を切り分ける必要はないと感じています(※私の場合です)

シャッター半押しAFと親指AFのどちらが正しいわけでもない

スポーツフォトなどでは現状は親指AF派が多いでしょうし、撮り鉄も撮影位置が決まっていて待機時間が長いので、今でも置きピンのために親指AFで撮っている人もいるのかも知れません(電車撮ったことがないので分かりませんが)。

それ以外のジャンルであったとしても、もちろん親指AFが使いやすいという人は、親指AFを使えばいいと思います。

繰り返しになりますが、私は「シャッター半押しAFの方が優れている」とか「親指AFの方が優れている」という話をしているのではなく、どちらが便利と感じるかは被写体や撮影者によって違うので好きな方を使いましょうという話です。

そもそも誰がどんな操作方法を使っていても自分に何の損も得もないですし、被写体や撮影環境が違うものを「どちらが便利だ」なんて議論しても、そんなものは人によって違うに決まっているので、きのこたけのこ戦争くらい決着がつかない話だと思います。

■新しい視点を提示した「時代遅れの親指AF」の記事


Photo Cafeteriaさんの主張は面白い

話はPhoto Cafeteriaさんの記事に戻りますが、着眼点が面白いですし、内容も充実しています。

また、

  • 親指AFはあらゆる面で素晴らしい
  • プロはほとんどが親指AF

といった、広まってしまった誤情報に一石を投じた点でも価値が高いでしょう。皆さんも是非ご覧頂ければと思います。

リンク:Photo Cafeteriaさん「時代遅れの親指AF」(2021/08/15更新)

Reported by 山﨑将方