モノクロ写真や文書印刷でもカラーインクが必要な理由

画像:キヤノン(https://cweb.canon.jp/proline/special/pro-g1/)

皆さんこんにちは。

カメラ・写真愛好家の皆さんの中には、写真用インクジェットプリンターを所有していらっしゃる方も多いと思います。

しかし、いつも写真印刷だけでなく場合によっては文書プリントに使ったりする場合もあるでしょう。

ところがいざ文書プリントをしようとすると、マゼンタやイエローといった、一見すると白黒文書印刷に必要ないように思えるインクが切れていますというメッセージが表示されてプリントが出来ない、という経験をされことがある方も多いかと思います。

目次
  • なぜ白黒印刷でカラーインクが必要?
    • 理由① ノズルクリーニングのため
    • 理由② モノクロ写真の階調表現のため
    • 理由③ 文書印刷時のアンチエイリアス処理のため
  • 文書印刷も頻繁にするならプリンターを分けるのも手
    • 写真用にインクジェット、文書印刷にレーザープリンター

そこで今回は、なぜインクジェットプリンターで文書印刷やモノクロ写真印刷をするのにカラーのインクが必要なのかについて解説したいと思います。

■なぜ白黒印刷でカラーインクが必要?


理由① ノズルクリーニングのため

モノクロ印刷でもカラーインクが減ってしまう理由の一つはノズルのクリーニングが行われることにあります。

画像:キヤノン(https://cweb.canon.jp/proline/special/pro-g1/)

インクジェットプリンターでは液体のインクを使用するため、これがノズル内で固まってしまうと正常な印刷ができなくなってしまいます。

そのため、インクジェットプリンターはノズルの詰まりを防止するためにプリンターの電源オン時などに少量のインクを噴射して、ノズルの詰まりを防止しています。

この時カラーインクもクリーニングのために噴射を行うため、インクが入っていないとプリンターが「(カラーの)インクが切れています」と返してくるため、印刷が行えないわけです。

インクが本格的に詰まってしまってプリントがかすれるようになると「ヘッドクリーニング」を行う必要があるわけですが、ヘッドクリーニングのための印刷などでは、通常のノズル詰まりを防止するための少量の噴出では済まず、かなりのインクを消費することになります。

理由② モノクロ写真の階調表現のため

次の理由として、インクジェットプリンターは「モノクロ印刷でもカラーインクを使っている」という点があります。

インクジェットプリンターは写真印刷などにも使われるため、非常に滑らかな階調を再現することができるようになっており、モノクロ写真においてもそれは同様です。

その際、例えば、

  • 濃いグレー
  • 薄いグレー

といったグラデーションを表現することになるのですが、これがブラックインク1色だけではなかなか綺麗な階調を出すことが難しくなります。

そこで、写真プリント用の高級機などでは、より高品質なモノクロ表現を実現するために、グレーインクを採用している機種も多いのですが、そうした高級機でもグレーインクを1色入れたくらいではまだ十分なモノクロの階調を表現するには足りません。

ましてやそうしたグレーインクがない廉価なインクジェットプリンターでは、なおさらモノクロ写真印刷を綺麗に行うのは難しくなります。

そこでカラーインクも使われるわけですが、ご存知のようにカラーインクでも混合することで黒にすることができるため、カラーインクを混合して、より幅広い黒再現を行うことが可能になります。

また、モノクロ写真の世界には「温黒調」や「純黒調」や「冷黒調」と呼ばれる、色調表現がありますが、そうしたモノクロ写真表現の幅を持たせるのにも、カラーインクが使われます。

温黒調
撮影:平原正隆
冷黒調
撮影:平原正隆

 

これらの理由から、モノクロ写真印刷でも、

  • ブラックインク
  • グレーインク
  • カラーインク

など様々なインクを消費するというわけです。

理由③ 文書印刷時のアンチエイリアス処理のため

また文書印刷の場合などは、文字のラインがガタガタにならないように「アンチエイリアス」という処理が行われるのですが、このアンチエイリアシングでは、文字の周辺部分をただのブラックインクで行ってしまうと、単なる「太い字」になってしまいます。

そこで、文字の周辺部分に濃度の低い黒を使うことで文字を滑らかに見せています。つまりアンチエイリアシングのためにグレーが必要になるため、やはり文書印刷でも薄いグレーを作るためにカラーインクを多少消費してしまうというわけです。

アンチエイリアシングに使われるカラーインクはモノクロ写真ほどではありませんが、カラーインクを使わずに文書印刷を行うモードを設定できる機種もあります。

 

■文書印刷も頻繁にするならプリンターを分けるのも手


写真用にインクジェット、文書印刷にレーザープリンター

これまでに説明した理由などから、インクジェットプリンターでは白黒印刷でもカラーインクを消費してしまうのですが、「文書印刷したいだけなのに、カラーインクを切らしてしまっているために印刷できない」ということに不便さを感じるのも事実です。

もしも文書印刷なども頻繁にされる方であれば、レーザープリンターを別に使う方がコスト面でも速度面でもおすすめです。

現在はレーザープリンターも家庭用や小さな事務所用くらいの機種であれば、以前よりずっと安くなっていますから、写真も文書も頻繁に印刷するのであれば、

  • 写真印刷時→インクジェットプリンター
  • 文書印刷時→レーザープリンター

というように、プリントごとにプリンターを使い分ける方法も有効です。

 

Reported by 平原正隆