皆さんこんにちは。
なんと3年4ヶ月ぶりの「今日の一枚」カテゴリーの記事です。
今日は15年くらい前に物撮りのライティングの練習のために撮影した作品、「あ、切っちゃった。」をご紹介します。
写真を見て頂ければわかるように「卵を切るつもりがうっかりフォークの方を切ってしまった」という作品です。
今見ると、卵がカラの状態ではなく目玉焼きにしておいた方が良かったと思いますが(卵をカラごと切る人はいないので)。
■フォークを切るのは結構大変
フォークはヤスリで切りました。
この作品としてのポイントは、フォークを切ってしまっている点です。
適切な工具を使えばすぐに切れるのだとは思いますが、今のフォークは結構硬いので切るのにかなり時間がかかったことを覚えています。丁寧に削っていかないとフォークが傷だらけになってしまいます。
フォークの刃はどうやって切ったかと言いますと、細い金属のヤスリで地道に1本1本削って切断した上で、それをナイフでサクッと切ってしまったようにピンセットで並べています。
切断したフォークの先端部を並べるのには竹製のピンセットを使用した
並べるポイントとしては、金属製のピンセットだとピンセットが他の作業にも頻繁に使っていたために磁気を帯びていたようで、思ったところでフォークの切断した先端がピンセットから離れてくれず、予定の位置よりもズレてしまうことが頻発しました。
調べてみたところ、ステンレス製の食器に中には磁石につくものとつかないものがあるそうで、鉄にクロムを混ぜた「400系ステンレス」と呼ばれるものは磁石につき、鉄にクロムとニッケルを混ぜた「300系ステンレス」は磁石につかないそうですが、厳しい曲げや絞りなどの冷間加工を加えると加工部分の金属組織が「マルテンサイト」という金属組織に変形し、その結果磁性を持つようになるそうです。
撮影に使っていたフォークがどういった金属であるのか、フォークに全く詳しくない私にはわかりませんが、いずれにせよ微妙にピンセットにくっ付いてきてしまい細かい位置調整が非常に困難でした。
そこで結局、竹製のピンセットを購入し、それを使用して切断したフォークの先端を並べました。竹製ピンセットにした途端、随分並べやすくなったことを記憶しています。
上手くいった部分と多くの反省点
ナイフとフォークのライティングは、ハイライトと周囲の黒締めがそこそこ上手くいっていて、変な写り込みもなく、ヤスリで削って切断した部分も手間はかかりましたが割と綺麗に切断でき、自分で言うのもなんですが「当時の自分の技術を考えれば」うまくいった方だと思います。
逆に反省点としては、
- 切断したフォークの先端がもう少し離れていた方がフォークを切ってしまったことが一目でわかったので、あと1mm程度はフォークの先端を離して配置しておくべきだった
- ナイフの持ち手の部分の黒締めが太すぎて目立ってしまっているので、ナイフの持ち手の黒締めを細くするべきだった
- カトラリーのライティングの方に意識がいっていたために、卵のライティングはそもそも工夫が全くなく卵の存在感がなさすぎる
- 画面の上側が光が回っておらず周辺光量落ちのようになってしまっている
などかなと思います。
写真としての技術的には今よりも随分未熟だった頃の作品ですが、セッティングするまでの工程がDIY的で面白かったですし、フォークってこんなに硬いんだととか、金属のピンセットにくっ付いてしまう場合があるんだといったことを知れたので、写真の出来というより思い出として気に入っている作品です。
Reported by 正隆