フォトグラファーのための仕事を受注する際のワークフロー

画像:平原正隆

皆さんこんにちは。

今回はこれからプロフォトグラファーを目指す人、あるいはスタジオカメラマンなどからフリーになろうという人たちのために、フリーのプロフォトグラファーとして仕事を受ける上での流れや注意点を簡単に説明させていただこうと思います

フリーになった時点では仕事を受けるワークフローというかテンプレートのようなものが自分の中に出来ていないため、仕事を依頼されても受注から納品までの作業がスムーズにいかなかったり、必要以上の労力をかけてしまうもの。

そこで今回は実際にフリーフォトグラファーが仕事を受ける時の流れと注意点を簡単に説明したいと思います。

目次

  • フリーのプロフォトグラファーのワークフロー
    1. 自分が撮影できるものをハッキリさせる
    2. 撮影日時を確定させる
    3. 何をどこで撮るのかをしっかり確認する
    4. 見積もりを出すために予算を確認する
    5. スタッフ全員で情報を共有する
    6. 受注の流れをテンプレート化しておく
  • 万全の準備をして撮影に臨む
  • おかしなお客さんやスタッフは早めに切った方が良い
  • 素晴らしいスタッフに出会えたらなら大切にしよう

イレギュラーなことは必ず起こるのでこれで完璧というわけではなく、経験によって学んでいくことは多々あるのですが、ベースにはなるかと思いますので、これからフリーのフォトグラファーを目指すという方は参考にして頂ければと思います。

■フリーのプロフォトグラファーのワークフロー


1.自分が撮影できるものをハッキリさせる

フリーになると様々な撮影ジャンルの中から、ある程度自分が「こういう仕事は受ける」「こういう仕事は受けない」という線引きを決めておく必要があります。

作品撮りは採算度外視の練習や投資といった目的ですから別として、通常「仕事での撮影は利益が出なかったり赤字になるようなものは受けない」というのは言うまでもないでしょう。

私がそうしたスケジュールや金額面以外でお断りした仕事でパッと思い出せるところでは、例えば、

「ある高い建築物(具体的な名称は避けます)の頂上部分の保守点検用の歩くスペースが老朽化しており、修理に人が上がれる状態かどうかを先に映像で確認したいが、ドローンは飛ばせない区域であるため地上から撮影が可能か?」

といった依頼がありました。

大口径超望遠レンズなどを使ったとしても地上からでは写せる角度が下からに限られていることと、確認に必要な十分な解像度を出せるか不安があり、私の撮った写真が間違った判断の原因になって事故が起きてしまうといけませんから丁重にお断りさせていただきました。

こうしたケースはレアであるにしても、医療関係の(治療に関わる)撮影であったり、ほかのジャンルの仕事風景を撮影すると言う場合には、特殊なジャンルでは取り返しのつかないケースもありますので注意してください。

一般のお客さんが立ち入るような店舗の撮影であれば、お店とお客さんや従業員の方に配慮すれば大概問題ありませんので、被写体が自分が撮影できそうなものであれば受けてしまって大丈夫です。

病院の撮影などでも病院の内観・外観・スタッフなどの撮影でwebサイトや病院紹介のパンフレットに載せるような写真であれば、普通の撮影技術があれば可能です。

先ほどの高層建築物の保守点検のための撮影依頼といったものとは違うタイプで、「撮れるかもしれないけれど受けない仕事」というものもあって、明らかな性風俗店やアダルト関係のような依頼も受けていません。

そういったジャンルを下に見ているわけではないので、そうした撮影に興味がある方は是非チャレンジされて見たら良いのではないでしょうか。その業界でしか学べない撮影テクニックもあるでしょう。

単に「自分がやったことがない仕事は受けない」という消極的なことでは仕事の幅が広がらないため、多少なりとも撮ってみたいと思える依頼であれば、未経験の撮影でもどんどんチャレンジするべきです。

その際注意して欲しいのは、未経験の被写体や特殊な撮影の場合、撮影日までの時間が十分にあるかどうかがとても大切で、全く撮影したことがないジャンルを明日明後日撮影のスケジュールで受けるというのはやめましょう。

本当に「経験不足で上手く撮れませんでした」で終わってしまう可能性が高いです。それはプロとしてダメです。

未経験の被写体やジャンルの依頼を受ける場合は、撮影日まで十分な日数があることを確認した上で、撮影日までに入念な練習を重ねて、「確実に撮れる」という状態にしてから撮影に臨んでください。

  • 撮れるものしか受けない→仕事がなくなったり成長が止まる
  • 撮れないものを受けてしまう→依頼してくれた方に迷惑がかかる

どちらもダメなので、入念な練習とした準備、そして実際の撮影にチャレンジすることを繰り返すことで、お客様の期待に応えつつ、自分自身も成長していくわけです。

2.撮影日時を確定させる

当たり前ですがダブルブッキングなど起こしてはいけませんから、自分の撮影日と予備日(ロケーション撮影で悪天候になった際に撮影日を変える時の予備の日)はしっかりと把握しておきましょう。

仕事の依頼が来たら「その日撮影に確実に行けるのか?」ということは当然確認してから仕事を受けてください。

フォトグラファー都合で直前でリスケを起こしてしまうと完全に信頼を失いますし、ブライダルや雑誌やコマーシャルの撮影ではそもそも「フォトグラファー都合のリスケ」などというものはありえないため、そんなことを起こしてしまうと違うフォトグラファーに仕事がいくうえ、そこからは二度と自分には依頼が来ないでしょう。

ただ、フリーのフォトグラファーになれば自然と寝坊や遅刻はなくなります。私も会社員だった時代はしょっちゅう寝坊や遅刻をしていたタイプでしたが、フリーのフォトグラファーになってからは、電車の遅延で数十分遅刻ということはごく稀にあるくらいで、一度も寝坊も病欠もありません。

「自分が現場に行かなかったら、撮影自体が成立せず、沢山の人たちの努力が全て無駄になる」という責任の重さは、フォトグラファーに力を与えてくれます。

しかし1日に2回違う撮影が時間差で入るような場合は、最初の撮影と後の撮影が十分に時間が空いている必要があります。

先の撮影が押してしまったり、後の撮影のための移動の交通機関がうまく機能していない場合もあるので、「前後の撮影に支障をきたさない」という時間と体力を考えてスケジュールを組んでください。

また先の撮影と後の撮影でメディアを入れ替えるのか入れ替えないのかとか、後の撮影で使う撮影小物類を先の撮影場所で忘れてこないようにするとか、メモリーカード容量やバッテリーは足りるのかとか、足りなければどこで充電するのかとか、モバイルバッテリーでの充電の準備といったさまざまなことも考えておく必要があります。

スタジオのレンタル時間がギリギリだったりすると、撤収時に忘れ物をしてしまうフォトグラファーは結構いるので、撤収の時には、必ず機材の忘れ物がないか確認しましょう。

部屋の奥が暗く落ちないように見切れないように机の裏に置いた天バン用のクリップオンストロボとか忘れていませんか?そのストロボは次の撮影でも使うのではないですか?そういうことです。必ず持ち込んだ機材と撤収時の機材が合っているかを確認しましょう。

撮影小物(アクセサリーなど)もモデルさんが身につけたままお互いに気付かずに帰ってしまう場合もあるので気をつけるポイントです。

使用する機材が大幅に変わり、後の撮影がスタジオや店舗の撮影といった撮影の場合には、そちらで使う機材だけを事前に置いてももらっておくという方法もあります。

例えば、

  • 前半の撮影→外ロケの七五三撮影
  • 後半の撮影→スタジオでのファッションカタログ撮影

といったような場合、使用するアクセサリーや機材が変わってくるので、後半の撮影でしか使わないようなもので、特に重かったり大きいものは事前に許可を得てスタジオに置かせてもらっておくという場合もあります。

撮影時はテンションが上がっているので大丈夫だと思いますが、よほど体力のある方でもない限り、1日2回の撮影などするとかなりぐったりくるので、ルートや栄養補給や休憩、さらに翌日のスケジュールなどもちゃんと考慮して決めてください。

そのため、翌日に絶対にやらなければいけないレタッチや納品作業がある場合は、それが翌日にできる程度の量なのかとか、事前に終わらせておけるかといったこともスケジュール管理のうちに入ります。

疲れ切って翌日の急ぎの納品に支障をきたし相手から催促されるようでは、スケジュールを適切に組めているとは言えません。

1日に2回の撮影や長時間の撮影の場合、撮影後はテンションは上がっているけれど、実際の肉体はかなり疲弊しているという場合があって、スタジオや駅での階段の上り下りなどでは特に注意してください。

出発時は持ち上げられた重いローラーバッグが帰り道では上がらない、なんてこともよくあります。機材や自分が階段や駅のホームから転げ落ちるなんてことがないように。

3.何をどこで撮るのかをしっかり確認する

これは撮影できると判断したものに対してしっかりとヒアリングをしておくということです。

  • 何を撮るのか?
  • どこで撮るのか?
    • 外ロケなのか?
    • スタジオ撮影なのか?
  • 他のスタッフは必要なのか?
    • アシスタントさんは必要なのか?
    • メイクさんは必要なのか?
    • スタイリストさんは必要なのか?
  • どう撮るのか?

こういったつまり撮影内容を詰めていくということです。

これらがわからないと見積もりの出しようがありません。スタジオ撮影であれば当然スタジオ代が上乗せされますし、メイクさんやスタイリストさんが入るのであればそのギャラと手配もこちらでする場合があります。

お客さんが撮影の依頼に慣れていないということはままありますし、それは普通のことなので、そのような場合はこちらから上手く案内してあげる必要があります

逆に相手方で撮影の依頼に慣れている雑誌などの場合は楽です。例えば、

  • インタビュー撮影で「14時から16時までで〇〇社の会議室でお願いします」
  • タレントさんの撮影で「タレントさんの事務所付近で外ロケを30分程度、その後事務所でインタビューカットを30分程度お願いします」
  • モデルさんのプロフィール撮影で「ここのスタジオを手配していて、弊社の新しく所属するモデル6人のプロフィール撮影を3時間でお願いします」

という風に、向こうでカッチリ決めてくれている場合は、どんの風な写真にしたいのかといった部分や、納品などのスケジュールを確認して見積もりを出すだけ(だけと言ってもそれなりの手間はかかりますが)ですから割と楽です。

ただしスタジオを向こうで手配してくれている場合、スタジオのサイトぐらいはしっかり見ておきましょう。行ってみたらとても狭いスタジオで、引きの全身写真を撮る場所がかなり限られているというような場合もあります。

当然ハウススタジオなのかホリゾントスタジオなのかでも撮り方が変わって来ますし、どういう機材がスタジオにあって、無料で借りられるものはどれで、逆に有料のものはどれなのかをチェックしておかないと、見積もりも変わってきます。

ライトスタンドは大抵のスタジオで無料ですが、ライティング機材自体(モノブロックストロボやジェネレーター)は有料のところが多いですし、背景紙も有料のところは多いので、機材をどの程度持ち込むかといったことも変わって来ます。

またタレントさんの撮影では、グラビア+インタビューカットというパターンも良くあるのですが、その場合日にちをまたがずに、スタジオやロケーション撮影でグラビアカットを撮影してから、場所を変えてインタビューカットを撮影するような場合も多いので、外ロケが絡む場合はロケーションの下調べはしておきましょう。

運良く近所や近くに行く用事があれば実際に行って見ておくのが一番ですし、事前に下見に行けない場所であればGoogleのストリートビューなどを参考にすることもあります。

特にタレントさんの場合は撮影時間はそんなに潤沢には貰えないことが多いので、当日どこで撮ろうかうろうろ探し回っていては間に合いませんから、ある程度めぼしい場所を決めておきましょう。

また七五三やお宮参りなどをするフォトグラファーの場合、

  • プロカメラマンの撮影お断り
  • 神社の専属カメラマン以外は別途料金が必要

といった神社も多いため、七五三やお宮参りをするフォトグラファーなら事前に神社のウェブサイトなどでチェックして、お客さんに事情を説明し、「別料金がかかるようなので、近くのこちらの神社はどうでしょうか?」という風に提案する場合があります。

私がフォトグラファーになった最初の頃は七五三やお宮参りの撮影をよくしていましたが、自作で都内の主要な神社一覧表を作って、この神社はダメ(撮影禁止や有料)とか、この神社は撮りやすいといったものを作成していました。それだけもかなり楽になります。

東京であれば、お客さんは明治神宮のような有名な神社や大きな神社での撮影を希望してくることが多いですが、そうした有名神社は神社と提携している写真館の専属フォトグラファーがいたりするので、結構「外部カメラマンお断り」や「外部カメラマンはお金払え」系の神社が多いので、その場合は近隣の神社で撮影しても大丈夫で、かつ見栄えの良い神社をスムーズに提案できるようにしておくと良いでしょう。

余談ですが、そもそも明治神宮のような大きすぎる神社は意外と撮影しづらいので、お客さんにもメリットが少ないものです。例えば、

  • お子さんが歩き疲れてしまう
  • 移動に時間を割かれて時間内に撮影できるカットが少ない
  • 外国人観光客や一般の写真愛好家が和装を珍しがって、割り込んでお客さんを撮影しようとしたりする

といったこともあるので、神社らしい建物がコンパクトに集まっている中規模の神社の方が良い写真を撮りやすかったりします。

そのため、撮りやすい神社には繁忙期にはフリーのフォトグラファーが何組も撮影しているということがあります(笑)。皆同じような経験をしているので、撮りやすい神社に自然と集まってくるわけです。

逆に言えば普段から神社に寄ったときなどに、この神社プロのフォトグラファー多いなと思ったらその神社は撮影しやすい神社です。

また神社によっては階段しかない場所があったりするので、そうした場合重いローラーバッグなどは持ち上げられなかったり危険が伴うので、そういった点もチェックしておく必要があります。

私は撮影はジャンルに関係なくほとんど常にローラーバッグ派なのですが、七五三撮影などではリュックタイプやショルダーバッグのフォトグラファーも沢山います(というかその方が主流です)、また特定の神社と提携しているようなフォトグラファーの人だと、車で来て、台車に機材が入ったコンテナを載せてガラガラ押しながら撮影する人もいます(笑)

まあ便利だと思います。すぐに必要な小物を取り出せますし。七五三撮影はおもちゃの刀とか和傘とか紙風船といった、お子さんが飽きないように色々な小物を使うことが多いので。

個人的にはそれだとお客さんから見て「プロに撮ってもらう特別な日」という感じが薄れてしまうのではないかと思うのですが、「台車にコンテナ」なんて人は私よりも七五三撮影の経験がはるかに多い神社での七五三や結婚式などのイベント撮影が専門の人でしょうから、その人たちなりのセオリーがあるでしょう。

七五三撮影に限らず、電車移動のフォトグラファーは撮影地までの移動の経路の中で、エスカレーターやエレベーターのない駅は把握しておかないと重いローラーバッグなどを行き帰りで必死に持ち上げることになるので気をつけてください。

あと駅から遠いスタジオでバス移動が必要というのも意外と罠で、ローラーバッグはバスで運ぶの気を使うので、注意してください。

またスタジオ自体が2階や3階にある場合、階段しかないという場合もあるので、注意が必要です。場合によってはスタジオのスタッフの方に手伝ってもらったり、誰かに機材の見張りをお願いして、機材を分けてスタジオに上げる場合もあります。

また外ロケの場合は天候の影響も受けるので、「もしも雨が降った場合はここで撮影しよう」といったことを考えておく必要があります。

予算がある場合はハウススタジオを提案したり、事前に予備日を決めておく場合もあります。しかし全部の撮影に予備日なんて設けていたら1回のギャラで複数日拘束されてしまい、仕事として成立しないので、予備日を設けてもデメリットがない場合だけにしてください。

フォトグラファーはあらゆるリスクに対して対応策を事前に考えておかなければいけません。現場ではフォトグラファーは事実上の指揮官というか仕切らないといけないことが多いので。

逆に準備をしっかりしたのなら過剰に不安になる必要はないです。自信を持って当日の撮影に臨みましょう。

4.見積もりを出すために予算を確認する

そうした撮影の日時や内容が具体的に決まって、初めて見積もりが出来るようになります。

雑誌の撮影などでは、

  • 1ページ○万円で6ページお願いできますか?
  • 1回○万円でお願いしているのですがどうでしょう?

というように、出版社側で先に予算が確定している場合がほとんどで、そのような場合は相手方も無茶苦茶な要求はしてきませんから、「その値段でこんな撮影したら全く割りに合わない」という依頼はまずありませんから、その媒体や被写体で撮影してみたいと思うなら、基本的にはそのまま受けてもらって大丈夫です。

雑誌などでは撮影料をフォトグラファー側で上げたり下げたりすることはありません。そもそもそういったギャラ交渉のような文化が雑誌の場合ありません。相手側が提示するギャラに自分がOKかNGかだけです。

逆に異なる撮影で相手方が「こういった撮影なのですが、見積もりを出していただけますか?」という場合は、しっかりと見積もりを出しましょう。

その時に根拠なく「○万円欲しいから○万円で提案しよう」といったどんぶり勘定の見積もりは絶対にダメです。

ちゃんと自分なりにしっかりと料金設定をして、例えば、

  • ○時間までは撮影料金は○万円(あるいは1回の撮影が○万円)
    • 延長する場合は1時間ごとに○万円の追加料金が発生
  • スタジオ代が3時間までなら○万円(スタジオによって変わる)
  • メイクさんの料金が1時間あたり○万円
  • スタイリストさんの料金が1時間あたり○万円
  • レタッチが必要なのか?どの程度のレタッチなのか?
    • 明るさ調整のような簡単なものは無料
    • 肌修正のようなレタッチは1カットあたり○千円で、再修正依頼は1回まで
  • 納品は全カット納品かセレクトしたカット何枚なのか?
  • 納品期限はいつまでなのか?
    • 通常であれば撮影から10日以内納品で納品代無料
    • 急ぎで納品を希望であれば追加料金○千円
  • 納品方法は?
    • ギガファイルのようなネット経由の納品なら無料
    • DVD納品は1枚○千円
    • その場でメディアごと納品であれあばSDカード代○千円

こうした細々したものをちゃんと見積もりに書いてください。

予算がかさむ場合にこうした点をしっかり書かれていないと、仮に結果的に15万円という見積もりを出すにしても、適当に「15万円でどうでしょう?」だと相手は内訳がわからないので、値切ろうとしたり場合によっては高いという印象を受けて仕事が流れてしまいます

見積もりの内容をしっかりと書くことで、「15万円かかるのはこうした理由からくるものであり、これはどのお客様にも公平にお出ししている料金体系です」ということを、説得力をもって提案することができます

逆にその上で、もしも相手の予算がどうしても12万円なのであれば、例えば、

  • 本当はメイクさんを入れた方が良い写真になりますが、メイクさんなしで良ければ予算内に収まりますがどうでしょうか?
  • スタジオではなく外ロケでよろしければスタジオ代がかからないので予算内で収まりますが、近隣では○○などがロケーションが良いのですが外ロケではどうでしょうか?

といった見積もりを下げるための筋の通った提案もできるわけです。

そこで最初に「なんとなく15万円」というような適当な提案をしていると、相手の要望に応じて見積もりを下げるにしても上げるにしても、説得力が全くなくなります。下げたら下げたで「なんだ値切れるじゃん」と思われるからです。

なので、ちゃんと自分の中の撮影料金の基準を決めて、撮影内容に合わせて、しっかりとした見積もりを出せるようにしておいてください

これは、インタビュー撮影のようなものであれば料金設定も簡単ですし(基本的に自分しか必要ないので)。

逆にコマーシャル撮影のようなスタッフを手配するディレクターさんが取り仕切る大掛かりな撮影や、雑誌の撮影のような「スタジオやメイクさんスタイリストさんはこちらで手配している」というような、いつも撮影依頼している企業で既に向こう側にノウハウがある撮影の方が楽だったりします。というか断然楽です。

しかし相手側に撮影依頼のノウハウがないと、フォトグラファー側で提案するわけですから、料金体系をしっかり考えておく必要があるわけです。

いずれにせよ、見積もりは後々の取引の証拠にもなります。

フォトグラファーからすれば、見積もりを出してOKをもらった後に、メールで良いので発注書を送ってくれる会社はかなり信頼度が上がるのですが、そうしたことをちゃんとしてくれる企業は実際は大手のみです。

しかし場合によっては税金関係の資料として後で必要になる場合もあるので、少なくともこちら側はしっかりとした見積もりを出して、そうした金額の取り決めの内容を証明できるメールのやりとりなども保管しておくことを心がけてください。相手が一般のお客さんでも法人でもです。

何年も経ってから同じ相手からまた撮影をお願いしたいというような依頼がくることはざらにあるので、その時に前回幾らで見積もりを出したのか分からなかったりするとお客さんにとっては納得がいかない見積もりが出てくることになるので、ちゃんと記録を残しておきましょう。

見積もりそのものは変わってもいいのですが、それが筋が通っていなければいけないということです。

5.スタッフ全員で情報を共有する

こうして撮影の話が詰められたら、撮影内容を必ずスタッフ間で共有してください。

自分とクライアントだけが把握しているというのではダメですからね。

  • クライアント
  • モデルさん
  • アシスタントさん
  • メイクさん
  • スタイリストさん

こうした人たちでできる限り情報を共有してください。各人のギャラまで全員に開示する必要はありませんが、

これまで話したような、

  1. 撮影日時
  2. 撮影場所
  3. 撮影時間
  4. 被写体
  5. スタッフ構成
  6. 撮影内容
  7. コンセプト

こうした内容をメールでも共有のLINEアカウントとかで良いので、スタッフ全員が確認できるような形で共有してください。

1から6までは連絡事項なので誰でも伝えるのですが、7の「コンセプト」が伝わっていないことが多いので気をつけましょう。

私は複数のスタッフで仕事をする場合は、場合によっては共有のLINEアカウントを作ることもあります。

こうした手続きがとても大切で「自分とお客さんの間で話がついているからいいや」というのはダメですからね。

関わる全てのスタッフが自分と対等のプロフェッショナルであるこということを忘れないでください

「自分だけが情報を握っていればいいや」というような上司は一般企業でも好かれないでしょう?同じことです。ましてスタッフさんはあなたの部下でさえありません。ちゃんと情報を共有しましょう。その方が良い仕事ができます

現場でモデルさんが「こんなイメージとは思っていなかった」といったようなことが起きると、コンセプトを理解してもらうためにしっかり話し合わなければなりませんし、モデルさんの理解が得られていないまま強引に撮り続けても表情が硬くなってしまったり、意図する雰囲気が出ないため良い写真になりません

どういう写真を目指しているのかというのをフォトグラファーとモデルさんは共有できていなければいけませんし、それが事前にできていてスムーズに気持ちが入っていけるかと、現場でモデルさんが「うーん」となってしまうかで撮影のスムーズさだけでなくクオリティにも差が出てしまいます。

もちろん、メイクさんやスタイリストさんも理解していなければ、コンセプトに適したメイクやスタイリングの準備が出来ませんから、結局は制作に関わるスタッフ全員がイメージをある程度共有していなければいけません

こういった点をなめてかかっていると撮影現場で、

  • 表情が硬くなってしまって表情を和らげるのに時間がかかる
  • 気持ちが入らず雰囲気が出ない

といったことが起きます。

そうなるともう話し合うしかありません。そこでゴリ押しして無理に撮りきろうとしても失敗しますからやめてください。

なのでモデルさん含めてスタッフが「何か納得していないな」と感じたときは、フォトグラファーが必ず参加して話し合いましょう。

マネージャーさんや編集さんを仲介して話してしまうと意図が伝わらなかったり、直接話せば数分で解決することが逆に長引いてしまうことがあるので、必ずフォトグラファーもその話し合いの現場に参加して「相手の気持ちを汲み取った上で」自分のイメージを理解してもらえるように伝えてください。

そうすることで一旦おかしな空気になっても、話し合うことで逆に信頼関係が深まればより良い写真を撮れるチャンスにもつながります

そのため事前にできる限りの意思疎通がスタッフ間で出来ているか出来ていないかで、当日も上手くいきやすく、撮影のスムーズさや士気が全く違ってきます

ここは大事なことを言っているのですが、正直一度痛い目を見ないとわからないことなのかもしれません。

もし皆さんがフォトグラファーとしてスタッフとの意思疎通が出来ていなかったために、撮影中にトラブルが起きたり不本意な仕事になってしまった時は、ぜひ今の話を思い出していただければと思います。

フォトグラファーの頭の中にだけ傑作のイメージがあってもダメなので、スタッフ全員の力を結集させてより良い仕事をしてください。それも技術です。

6.受注の流れをテンプレート化しておく

最後に、これまでご紹介したような仕事を請け負う上での流れを、テンプレート化して、自分のマニュアルとしてきちんと整理しておきましょう

撮影には様々な形態があるため、1つのテンプレートで全ての撮影に対応できるわけではないので、

  • 七五三やお宮参り用の仕事を受ける時のテンプレート
  • ブライダルの撮影や前撮り後撮りの仕事を受ける時のテンプレート
  • インタビュー撮影を受ける時のテンプレート
  • イベント撮影の仕事を受ける時のテンプレート
  • 雑誌の撮影の仕事を受けるテンプレート
  • コマーシャル撮影の仕事を受けるテンプレート
  • モデルさんやヘアメイクさんスタイリストさんなどをこちらで手配する必要がある撮影のテンプレート
  • 作品撮りをする時のテンプレート

と言った感じで、自分用の各種撮影請負テンプレートのようなものを作っておくと、仕事の請負が格段に楽になります。

万全の準備をして撮影に臨む

仕事をスムーズに受けることが出来てスタッフの手配も済んで、情報の共有も終われば、あとは撮影のことに集中しましょう。

どう撮影したら良いのか?ポージングやライティングなど考えるべきことは山ほどあります。

ただスタッフが多ければ多いほどトラブルも起きやすいです。誰か一人でも体調を大きく崩してどうしても来れないということもあります。

そうした時に急遽代わりになるスタッフを手配できるように、無理をお願いできるメイクさんやスタイリストさんの知り合いが数人いるととても心強いものです。

例えばメイクさんやスタイリストさんの知り合いが一人しかいないと、その人がたとえ親切な人であったとしても、その人にも当日仕事が入っていたらどうしようもありません。

とは言ってもメイクさんやスタイリストさんで前日や当日にドタキャンするような人はほとんどいないので、そこまで心配する必要はありませんが、人間ですから急病やトラブルは起きないとは限りません。

注意しないといけないのはモデルさんです。

モデルさんが必要な商業撮影であれば、基本的にはモデル事務所に依頼しておくことがおすすめです。もちろんプロのモデルさんは信頼できます。

ただ現在はインスタやツイッターでモデルの仕事を受けている若い子が沢山いますが、中にはフリーのモデルとしてプロ意識が欠けている人もいます。その人にプロ意識があるかどうかは、

  • 自身のウェブサイトを持っている
  • ポートフォリを作っている
  • 作品撮りを積極的にやっている
  • 料金体系がしっかりしている

こうした部分から判断できます。

ただ見た目が良いからと、インスタやツイッターに沢山いる「自称モデル」に依頼するのはお勧めしません。トラブルが多いです。

前日や当日の朝になって、急に体調が悪いから休みたいとか言い始める人もいます

いざ前日や当日の朝になって「体調を崩したので休ませてください」と言われても、他のスタッフさんやお客さんもいる中でそのような理由でリスケなどできません。かと言って本当に体調が悪いものを無理やり来させるわけにも行きません。

また仮にドタキャンの理由が単なる怠け癖やふざけた理由でもあっても、無理やり来させてもテンションが低くモチベーションも無いのでは良い撮影になりませんから、フリーのモデルの方に依頼するのであれば、ちゃんとプロ意識を持った実績あるモデルさん(実績というのは有名な仕事をしたとかいう意味ではなく、堅実にモデルとして仕事をしてきたかどうかという意味です)に頼むか、一番安心なのはモデル事務所から手配することです。

モデル事務所であれば当人が当日体調を崩しても、代わりとなるモデルをすぐに手配してくれますから、安心感が段違いです。

私の場合は、仕事や他のスタッフの交えての作品撮りのような場合は、いざという場合を考えてモデル事務所で手配します。

事務所に所属しているモデルさんであれば、そのモデル事務所のサイトのモデルさんの紹介ページのURLをお客さんに送って、「このモデルさんでどうでしょうか?」という提案を出来るためお客さんにとっても分かりやすく安心感があります。

勿論自分のコンディションもしっかり整えて、機材のチェックやメンテナンス、必要になる可能性がある小物類(これは撮影ごとに数多あります)などをしっかりとチェックして、絶対に自分のミスで撮影が出来なかったりトラブルが起きることがないように万全の準備をして撮影に臨むことが一番大切です。

スタッフにプロ意識を求めるなら、自分はそれ以上のモチベーションで仕事に向かわなければなりません。当たり前です。

そうした当たり前のことを確実にやっていかないと、フリーのフォトグラファーの仕事なんてあっという間になくなります。

一度お客さんに迷惑をかけたり不満を感じさせたまま仕事を終えてしまったら、そのお客さんからは二度と依頼は来ません。万全の準備をして撮影に臨み、納品まで完璧にこなしましょう。

おかしなお客さんやスタッフは早めに切った方が良い

ただし逆に言えば、これまで書いたような誠実な対応をこちらはしているのに、お客さんやスタッフの方に誠実さが感じられない場合はこちらから切ってしまって構いません。

例えばしっかりと内訳を書いた見積もりを出しているのに、15万円かかる撮影を、内容を変えずに「10万円で出来ないか?」といった意味不明な値切り方をしつこくしてきたり、支払いは○月○日という話をちゃんとメールでやりとりしているのに、振り込みを忘れるようないい加減なお客さんは法人でもあります。

そうした相手はこちらから切ってしまって大丈夫です。というよりも切るべきです。

最初は仕事欲しさにそうした相手でも我慢して付き合いそうになりますが、そのような人と仕事をしても結局良い仕事は残せません。

良い仕事を残せなければ次に繋がらないので「武士は食わねど高楊枝」の精神でお断りしましょう。その際はもちろんプロとして丁重にお断りすべきです。断りの文章が憂さ晴らしをすることが目的化してはいけません。

また他のスタッフもプロ意識に欠けている行動をするような人がいたら、次からはその人には依頼しないようにしましょう。

よくある例を挙げると、

  • 理由もなく平気で遅刻してくるモデルさん(電車の遅延など原因が明確でちゃんと連絡してくるような場合は全く問題ありません)
  • 撮影に対するモチベーションが低く見た目が良いだけでのモデルさん(モデル事務所に所属している人でもそれなりにいます)
  • モデルさんと仲良くなってしまい撮影中に友達感覚で撮影自体に口を出してくるメイクさんやスタイリストさん(例えばメイクさんがメイク中に和やかなムードでモデルさんと会話するのは全然良いのですが、撮影中は乱れた部分の直しなど自分の仕事に徹して欲しいということです。盛り上げるための自然な声出しをしてくれる人などもいてそれは良いのですが、そうではなく「こう撮った方がいいんじゃないか」といった感じで撮影の内容自体に口を出し始めたら邪魔にしかなりません)
  • しつこく撮影風景を撮るスタッフさん(ツイッターなどで撮影風景をアップするために、撮影の様子をささっとスマホなどで撮ってもらうのは全然構わないのですが、ずーっと撮られるとフォトグラファーもモデルさんも気が散って邪魔なのではけてもらいましょう)

こういう人たちは実際います。次から仕事を頼むのはやめましょう。良い撮影の妨げになるだけです。

素晴らしいスタッフに出会えたらなら大切にしよう

逆にプロ意識があり高い技術や気配りで良い仕事をしてくれる、

  • モデルさん
  • アシスタントさん
  • メイクさん
  • スタイリストさん

などは本当にとても貴重な存在でありフォトグラファーにとってまさに宝です。そうした人とは懇意にしておいてください。

そして仲良くなっても絶対に買い叩いたりせず、誠実な料金でプロとして敬意を持って依頼してください。

もしもまたこの人に頼みたいのだけれど、お客さんの予算の関係でどうしても通常より安い値段で依頼せざるを得ないというような場合は、そうした事情を正直に話した上で「ダメだったら遠慮なく断ってください」といった感じで話しましょう。

結局一流の人には誠実に対応するのが一番効果的ですから、「そういう事情であれば今回はその金額で大丈夫ですよ」と受けてくれる場合は結構あります。

もちろんそのような場合は絶対に感謝の言葉と気持ちを忘れないようにしてください。そして次は撮影の際には「当然」正規の料金で依頼しましょう。

そうして、

  • お客さん
  • 自分(フォトグラファー)
  • スタッフ

全員が満足できる仕事をして、お客さんには「次もこの人に撮影を頼もう」と思ってもらい、スタッフの方々には「またこの人と仕事をしたい」と思ってもられる関係を築けるように頑張ってください。

仕事の受注で大切なのは、そうした信頼関係を撮影に関わる全ての人の間に築くことです。それがその先の仕事やステップアップにつながっていきます。