非球面レンズの種類とそれぞれの特徴

画像引用:Canon(https://global.canon/ja/c-museum/special/exhibition1.html)

皆さんこんにちは。

現代のレンズ設計には欠かせない「非球面レンズ」ですが、非球面レンズと一口に言っても、作り方などによっていくつか種類があるのですが、今回は写真用レンズにも使われている代表的な非球面レンズ4種類について、どのような違いがあるかご紹介したいと思います。

目次
  • 非球面レンズとは?
  • 写真用非球面レンズの代表的な種類
    • 研削非球面レンズ
    • ガラスモールド非球面レンズ
    • レプリカ非球面レンズ
    • プラスチックモールド非球面レンズ

今回は、非球面レンズの種類についてご紹介したいと思います。

■非球面レンズとは?


写真用レンズとして最も良く使われている、一般的な「球面レンズ」は、球体の一部を切り取った形状をしています。

こうした球面レンズもレンズ設計にはなくてはならないものなのですが、球面レンズは光が入射した際、レンズの周辺部を通る光と、中心部を通る光で結像位置が微妙にがずれてしまう問題が起こります。

これを「球面収差」と呼んでいます。

球面収差の代表的な見た目に対する劣化としては、解像感が落ち、像がぼやけて、色収差の発生にもつながります。

一方で、こうした諸収差を根本的に解決する手段として注目されたのが「非球面レンズ」です。

非球面レンズは、レンズ周辺部に向かって曲率を変化させていき、中心部から周辺部までを通る全ての光を1点に結像させ、収差を抑制するような形状に作られています。

収差を減らすことができると言うのは、非球面レンズを採用する上で最大のメリットですが、非球面レンズを効果的に使用することで構成枚数が減り、製品の小型化や高画質化を実現できるというメリットもあります。

つまり、球面レンズでは10枚のレンズを使わないと適正に収差補正ができないものを、非球面レンズを使うことで、8枚に減らせたりということがあるわけです。そのため、効果的な収差補正というだけでなく、軽量化しやすいというメリットもあります。

非球面レンズは優秀なレンズとして高級レンズには複数枚つかわれることが多いのですが、製造コストが高く、製造に必要な技術も高い水準のものが求められるため、どのレンズにも好き放題使えるというものではなりません。

■写真用非球面レンズの代表的な種類


一口に「非球面レンズ」といっても、色々な材質や製造法があります。そこで今回は、代表的な非球面レンズの製造法をご紹介したいと思います。

研削非球面レンズ

まずは「非球面レンズの代名詞」と言っても良い、研削(けんさく)非球面レンズとはどのようなものかご紹介します。

この研削非球面レンズは、ガラスを1枚ずつ実際に研削・研磨することで非球面の形を作り上げる方式です。

高級レンズの構成レンズとして採用されることも多いこの研削非球面レンズは、

メリット
  • 大口径レンズでも作れる
  • レンズの設計自由度が高くなる
デメリット
  • 製造コストが最も高い

このような特徴があります。そのため、研削非球面レンズは、高性能かつ高価となる、高級レンズを中心に採用される方式となっています。

ガラスモールド非球面レンズ

次に「ガラスモールド非球面レンズ」ですが、この「ガラスモールド」とは、以下のような順で作られます。

  1. ガラスの粉末を変形可能になるまで高温で融解させる。
  2. 融解させたもの(ガラスプリフォーム)を金属金型に流し込む。
  3. 金型形状(これが非球面レンズの形状をしています)をプレスすることで、金型の形状をガラスに転写させる。
  4. 冷却し形が固まったところで金型からレンズを取り出します。

これが「ガラスモールド非球面レンズ」の作り方です。

メリット
  • モールド成形のため、切削・研磨おこなう「切削非球面レンズ」よりも低コストで作ることが出来る両面非球面レンズにも対応可能
  • 両面非球面レンズにも対応している
デメリット
  • 硝材自由度は研削非球面より若干低い
  • 研削非球面レンズほどではないがコストが高くなる

ガラスモールド非球面レンズにはこうした特徴があります。また非球面レンズとして特に広く使われているのが、この「ガラスモールド非球面レンズ」となります。

レプリカ非球面レンズ

レプリカ非球面レンズは、非球面形状金型と紫外線硬化樹脂を使用し、球面ガラス上に非球面を形成する方式です。

ベースとなる球面レンズのガラス素材や大きさなどへの制約は低く、設計自由度が高いことが特徴です。

  1. 球面ガラスレンズ上に紫外線硬化樹脂を滴下する
  2. 樹脂が付いた球面ガラスレンズを非球面形状金型に押し付ける形成する
  3. 紫外線を照射し紫外線硬化樹脂を硬化させたのち取り出す

これが「ガラスモールド非球面レンズ」の作り方です。

メリット
  • ガラスモールド非球面レンズよりより低コストで作ることが出来る。
デメリット
  • 設計自由度がガラスモールド非球面ランズより低くなる

プラスチックモールド非球面レンズ

非球面金型に樹脂を充填し非球面を成形する方式で、量産性に優れています。

メリット
  • 量産性に優れるためコストが低い
  • 材料費を比較的抑えられる
デメリット
  • 材料の種類が限られており、設計自由度が低い

 

Reported by 平原正隆