皆さんこんにちは。
今回は、ライブやコンサートや観劇におすすめの双眼鏡の選び方と、代表的なおすすめモデルをご紹介したいと思います。
双眼鏡選びの際に見るべきポイントや、実際に数千円で購入できるものから、とてもよく見える数万円クラスのもの、また手ブレを抑える防振双眼鏡まで、幅広くご紹介していきますので、ご自身にあった双眼鏡選びの参考にしていただければと思います。
目次
- 双眼鏡選びの見るべきポイント
- 倍率にとらわれすぎないで
- 対物レンズ有効径が双眼鏡の基本性能を決める
- 数値化されないコーティングをあなどらないで
- 明るさの違いは店頭では分かりにくい
- ひとみ径の大きさはライブ環境でこそ重要
- アイレリーフを気にするべき人
- おすすめの小型双眼鏡
- おすすめの中型双眼鏡
- おすすめの防振双眼鏡(手ぶれ補正双眼鏡)
では早速はじめていきましょう!
■双眼鏡選びの見るべきポイント
1.倍率にとらわれすぎないで
双眼鏡にはよく、「8×21」とか「10×25」という数字が書かれており、家電店の店頭表示などでも8倍の双眼鏡とか10倍の双眼鏡という風に書かれているのを見かけると思います。
ところで、この8xとか10xというのを、肉眼でみる8倍の大きさに見えるとか10倍の大きさで見えるという意味だと誤解されているケースをよく見かけます。
しかしこの前側の数字は、実は正確には、「見える大きさが何倍か」ではなく、「距離を何分の1まで縮めて見たときと同じに見えるか」を表しています。
つまり、10×25といった表記のある双眼鏡であれば、100m離れたものを10mの距離から見るのと同じ大きさで見える双眼鏡であることを意味しています。
また、実際に双眼鏡を購入する際に気をつけて欲しい点として、コンサートやライブでは、倍率が高すぎる双眼鏡は、
- 見える範囲が狭くなるため、見たい人物を探しにくくなる
- ブレが大きくなり見づらくなる
- 双眼鏡が暗くなりがちである
といった理由から、倍率は高ければ良いというものではありません。
ライブなどでは片手はペンライトを持っていたり、自分自身がある程度動いていたりするため、防振タイプでない双眼鏡の場合、適正な倍率はせいぜい8-10倍程度までです。
たとえお目当のアイドルやアーティストをどうしてもアップで見たいという場合で防振双眼鏡を購入する場合でも、せいぜい15倍程度までに抑えておかないと、双眼鏡の操作に不慣れな方が狭い視界で見たいところを探すのは困難です。
また、例えば8×25の双眼鏡と、10×25の双眼鏡では、必ずしも10倍の双眼鏡の方が見やすいというわけではありません。
「なにがなんでも大きく見るために10倍の双眼鏡から選ぼう」といった先入観をもって選ぶと失敗しやすいので、「8-10倍程度の機種を中心に見比べてみようかな」とか「12-15倍程度の防振双眼鏡を見てみようかな」くらいの感覚で検討することをおすすめします。
2.対物レンズ有効径が双眼鏡の基本性能を決める
双眼鏡のスペックには先ほど申し上げたように、「8×25」とか「10×32」といった表記がされています。
この後ろ側の数字は対物レンズ、つまり覗く側と反対側のレンズで、対象物の光を捉えるレンズの有効口径をmmで表した数字です。
そのため、8×21の双眼鏡よりも、8×42の双眼鏡の方がずっと大きく重くなります。
しかし、実は双眼鏡の基本的な性能はこの対物レンズの大きさに大きく影響されるため、何倍の双眼鏡かを表す前側の数字以上に、この後ろ側の対物レンズの口径を表す数字を大切に見て欲しいところです。
例えば対物レンズの口径が25mmの双眼鏡であっても、10万円を超えるような高級機であれば、見え味の良さといった面を含めて、42mm口径の安価な双眼鏡よりも見やすいという場合や環境はあります。
しかし、同等品質の双眼鏡であれば、当然対物レンズの口径が大きい双眼鏡の方が大きく重く高価にはなるものの、圧倒的に見やすい双眼鏡となるため、ライブ鑑賞で持てる範囲の中で、なるべく大きな対物レンズの双眼鏡を選ぶと快適に鑑賞することができます。
ただしライブ中は片手で持つこともあるでしょうから、例えば店頭で片手で持ってみて、十分持てる大きさと重さであることは確認した方が良いでしょう。
一般的に女性であれば、ライブやコンサートで使う双眼鏡なら、対物レンズ口径は21-25mmなら十分軽く感じられ、個人差はあるものの、32-36mm程度までが限界かと思います。
演劇のように座って両手で持って鑑賞できる場合なら、人によっては42mm程度まで大丈夫かもしれませんが、その場合でも、ダハプリズム双眼鏡(鏡筒がストレートで細身の双眼鏡)などの軽量なタイプを選ぶと良いでしょう。
探検家のようなポロプリズム双眼鏡は、見え味のコストパフォーマンスに優れていたり、クラシカルな形状にロマンを感じる部分もあるかと思いますが、ライブ鑑賞には不向きで、やはり現代的なダハプリズム双眼鏡の方がそうした用途にはおすすめです。
3.数値化されないコーティングをあなどらないで
双眼鏡選びではさまざまなスペックが数字で表記されていますが、見え味を大きく左右する要素の中には、数字は表記されにくいものもあり、その代表がコーティングとなります。
このコーティングは、レンズだけでなくプリズムにもなされる場合があり、
- モノコート
- マルチコート
- フルマルチコート
といったものが代表的な種類になります。
コーティング技術は実際にはより複雑でさまざまなものがあるのですが、そうしたものを気にするべきなのは、ライブやコンサート用途というよりは、本格的なバードウォッチングをされる方や天体観望の場合になり、ライブ鑑賞などの用途ではそこまでシビアな見え味を要求する環境ではないため、上記の代表的なコーティングのみを解説します。
仮にレンズやプリズムにコーティングが全くなされていないと、光の透過率が下がってしまい、暗い双眼鏡になってしまったり、コントラストが落ちて見え味のすっきりしない双眼鏡となります。
また、状況によってはフレアと呼ばれる白っぽいモヤのようなものやゴーストと呼ばれる緑色などの光の点が見えてしまい、見え味を大きく損う場合があります。
ただ現代の双眼鏡で、ある程度まともな価格帯の双眼鏡を選べば、全くコーティングがされていないということはまずありません。
その中で、モノコートというのは単層コーティングとなるため、コーティングをしないよりは良いのですが、モノコートの双眼鏡の場合、単純にコーティングとしてマルチコートに劣るというだけでなく、モノコートの双眼鏡でレンズやプリズムの全てにコーティングがされているケースはほとんどないため、効果としては弱いものになります。
そしてマルチコートは複数のコーティングを重ねているもので、より見え味が良くなりますが、双眼鏡には、
- 対物レンズ群
- 内焦レンズ(ピント合わせに使う)
- 接眼レンズ群
- プリズム面
など実際にはいくつもの面があるため、マルチコートといっても、何箇所にコーティングがなされているかによってその効果は大きく変わってしまいます。
そうしたいくつもの面にマルチコーティングを施しているのが、「フルマルチコート」となり、質の良い見え味を提供してくれます。
しかし、コーティングも当然コストがかかるため、「激安でフルマルチコートの双眼鏡が欲しい」といったところで、そのようなものはありません。
逆に10万円を超えるような高級双眼鏡であれば、小型・中型の双眼鏡なら、黙っていてもほとんどの機種がフルマルチコートなので、これもまた気にする必要はありません。
そのため、モノコートからフルマルチコートまでが混在する、5,000円から5万円程度の価格帯で双眼鏡を探している方こそ、どのようなコーティングがなされている機種なのか気にかけてみると良いでしょう。
4.明るさの違いは店頭では分かりにくい
双眼鏡のスペックには「明るさ」というものがよく書かれています。
この明るさは、観劇やライブ鑑賞のような夜や暗い舞台での見え方に影響します。
しかし、家電量販店などで見比べても、家電量販店は一般家屋の10倍程度という実はかなり明るい環境であるため、家電店の店頭で見比べると、どの双眼鏡も十分に明るく感じられ、双眼鏡による明るさの違いがわからないことがほとんどです。
しかし、ライブ鑑賞や観劇時にはその違いが出てきます。
ただし、明るい双眼鏡ほどやはり大きく重く、また質の高いものはかなり高価になりやすいため、大きさや重さ価格面で許容できる範囲の中で、なるべく明るい双眼鏡を選ぶと良いでしょう。
5.ひとみ径の大きさはライブ環境でこそ重要
双眼鏡の世界ではとても重視され、しかし一般的に聞きなれない言葉に「ひとみ径」というものがあります。
この「ひとみ径」とは、双眼鏡を少し離した状態で見たときに接眼レンズ側からみえる白い点のような部分の大きさのことです。
実際には双眼鏡は接眼レンズのどこでもみえるわけではなく、このひとみ径の部分を覗いています。
そのため、このひとみ径が小さいと、ライブ会場で片手で持ったり、体を動かしながら双眼鏡を見るような状況では、すぐに像がブラックアウトしてしまい、見辛い双眼鏡になってしまいます。
そのため、ライブやコンサートのような用途で使用する場合は、このひとみ径が大きな双眼鏡を選ぶと見やすい双眼鏡となります。
6.アイレリーフを気にするべき人
双眼鏡のスペックで書かれている「アイレリーフ」も普段の生活ではあまり馴染みのない用語ではないかと思います。
これはカメラのファインダーや双眼鏡などでよく出てくるのですが、要するに「接眼レンズ側からどの程度離れた状態で適正に像が見られるかを示した数値」で、アイレリーフが長めの双眼鏡の方が接眼レンズから目が離れても、全視野がケラレることなく観察することができます。
これは裸眼やコンタクトレンズしか使わないという方はあまり気にする必要はありませんが、眼鏡を使う方は、このアイレリーフが長くないと、双眼鏡をしっかり覗く前に、眼鏡のレンズが先に見口(双眼鏡の接眼レンズ周辺にあるゴムの部分)にぶつかってしまい、しっかりと双眼鏡を覗くことができません。
そのため、眼鏡をかけて双眼鏡を使うかたは、アイレリーフが長めの双眼鏡かを気にしながら、眼鏡をかけたままでも無理なく像を覗けるか確認しましょう。
ちなみに双眼鏡はよほどの近視でない限りは、基本的には眼鏡をかけていてもかけていなくてもピントを合わせることが可能ですが、眼鏡をかけている時と外した時ではピントが変わるので、同じ距離のものを見る場合でも、眼鏡をかけたときと外した時では、再度双眼鏡のピント調節が必要になります。
■おすすめの小型双眼鏡
ACULON T02 8×21
ACULON T02 8×21は重さを気にせずに持ち歩ける、195gの軽量ボディで、ライブやコンサートに気兼ねなく持ち運べるサイズと重量となっており、ライブ鑑賞の定番中の定番の双眼鏡です。
また、ダハプリズムのすっきりしたボディで片手でも持ちやすく、裸眼やコンタクトレンズでも、あるいは眼鏡でも使いやすいツイストアップ見口を採用しており、使い勝手も良好です。
しかもACULON T02 8×21は、マルチコーティングが施されており、見え味もこの価格帯の双眼鏡としてはそこそこ良好です。
また、カラーバリエーションも豊富で、8倍が6色、10倍が1色とお好みの色から選ぶことができます。
価格も6,000円程度で購入できるため、ライブ用双眼鏡で迷ったらACULON T02 8×21を買っておけば問題ないといっても過言ではありません。
何万円もする高級双眼鏡の中には、ACULON T02 8×21よりも優れた見え味の小型双眼鏡はいくつもあります。
例えば、スワロフスキーのCL Pocket Elegant 8×25は同じ小型双眼鏡でも、ACULON T02 8×21よりもはるかに優れた見え味です。
しかし双眼鏡マニアでもないかたにとって、10万円を超える価格のCL Pocket Elegant 8×25は現実的な選択肢ではないでしょう。
そう考えると、ACULON T02 8×21はライブ鑑賞用の入門双眼鏡としてまさに現実的な価格かつ使いやすい小型双眼鏡と言えるわけです。
■おすすめの中型双眼鏡
MONARCH M7 8×30
MONARCH M7 8×30は中型双眼鏡のコンパクトなタイプとなります。
中型双眼鏡の中でコンパクトといっても、ライブなどでよく使われる小型双眼鏡と比べると、明らかに大きく、重く、重厚にみえるかもしれません。
また重さも465gとそれなりの重量になるため、片手で持つには重さを感じるでしょう。
しかし、その見え味はやはり安価な小型双眼鏡とは一線を画すもので、これまで本格的な双眼鏡を使われたことがないかたにとっては、その見え味の良さに驚かれることでしょう。
フルマルチコーティングに加えて、補助プリズムには高反射誘電体多層膜、ダハプリズムには位相差補正コーティングを施しており、ED(特殊低分散)ガラスの採用により、色にじみの原因となる色収差を補正するとともに、高いコントラストと解像力を実現しています。
推しのアイドルやアーティスト、観劇であれば役者さんを綺麗にしっかり見たいという方に、MONARCH M7 8×30はとてもおすすめできる双眼鏡です。
価格は3万円台となるため、それなりのお値段ですが、本格的な双眼鏡でかつライブやコンサートの鑑賞にも使えるという意味では、モナーク7シリーズは、「本気の双眼鏡の入門機」としてまさに定番中の定番です。
その見え味の良さ、また見易さは、一般的にライブ鑑賞で使われることの多い数千円の双眼鏡とは全く比較にならないほど良質なものです。
また、MONARCH M7 8×30はバードウォッチングなどでの入門機としてもおすすめできる機種であるため、ライブ鑑賞以外の用途にも向いており、双眼鏡界隈ではモナーク7は超有名な定番双眼鏡であるため、安定供給されており、入手が容易である点も魅力です。
バードウォッチングの入門機としても定番であるため、防水仕様となっており、屋外のライブで雨が降っていたり、水を使った演出があって水に濡れるようなライブでも、気兼ねなく使うことができるタフな双眼鏡であるという点もMONARCH M7 8×30の見逃せない魅力です。
■おすすめの防振双眼鏡(手ぶれ補正双眼鏡)
ATERA II H14×42WP
ATERA II H14×42WPは防振双眼鏡の中〜上級機種で、防振双眼鏡のため一般的な双眼鏡のイメージとは形状が異なりますが、なんと対物レンズ42mmの防振双眼鏡でありながら、559g(電池別)と、この口径の防振双眼鏡としては驚異の軽さを実現しています。
また、レンズ全面にマルチコーティングを施したフルマルチコートの双眼鏡であり、プリズムにも像の明るさをアップさせる高反射コートを採用しており、コーティング性能も十分なものとなっています。
単に手ブレを抑えてくれる防振双眼鏡というだけなく、双眼鏡の基本的な見え味にも十分にこだわっているわけです。
また、ATERA II H14×42WPはその大口径と手ぶれ補正機能を活かした14倍の双眼鏡であるため、スタジアムのような大会場でもお目当のアーティストを大きく見ることができる双眼鏡です。
価格は8万円台と一般的な感覚からすると高価な双眼鏡ですが、双眼鏡マニアが見れば「このスペックの防振双眼鏡でこの価格は激安」というのが分かるもので、実際には常に品薄状態の防振双眼鏡です。
ライブ鑑賞などで使う防振双眼鏡をお探しで、大きさと重さを許容できるのであれば、ATERA II H14×42WPは在庫があれば即買いしても良い優れた双眼鏡です。
Reported by 正隆