モノブロックストロボでのライティングに挑戦してみたいあなたに、今回は「Profoto B1 500 Air TTL」を例に挙げて、一般的なモノブロックストロボの具体的な操作方法と共に、Profoto B1 500 Air TTLの魅力についてもお話いたします。
一般的に撮影用ストロボというと、内蔵フラッシュ、クリップオンストロボ、モノブロックストロボ、フラッシュヘッド+ジェネレーターなどが思い浮かぶと思います。
内蔵フラッシュやクリップオンストロボは携帯性に優れていますが、発光量が弱いのが欠点です。
こうした一般的なストロボとは別に、本格的な撮影に使用されているのが電源部が一体となったモノブロックストロボや、ジェネレーターとヘッドを組み合わせたいわゆる大型ストロボで、主にスタジオ内での撮影で使用され、大光量を得られたり様々なライティングアクセサリーによる高度なライティングが可能という特徴があります。
今回操作例としてご紹介するProfoto B1 500 Air TTLも大型ストロボの一つで、発光部である灯体とコンデンサー部分が一体となった、所謂モノブロックストロボです。
モノブロックストロボ自体は珍しいものではありませんが、Profoto B1 500 Air TTLの人気の秘密は、一つにはTTL調光が可能であるということ、もう一つは充電式のバッテリーで駆動するという点。
つまり、コードレスでコンセントやバッテリータイプのジェネレーターに接続する必要がなく、少数スタッフでの屋外ロケや手持ちでの使用さえ可能になりました。
大容量リチウムイオン充電池を使用することで、一回の充電で最大500W、約220回のフル発光が可能です。
つまり、屋外でもモノブロックストロボが簡単に使えるという点が革新的で、従来だとバッテリータイプのジェネレーター+フラッシュヘッドが必要であったロケでの本格ライティングがモノブロックストロボ単体で可能になるのが魅力です。
これからはこういった「TTL調光、無線スレーブ&調光、バッテリー駆動」といったタイプが増えていくと思いますので、この機会に是非覚えていって下さいね!
ではさっそく、モノブロックストロボの具体的な使い方についてご説明しましょう!
■モノブロックストロボ各部名称
まずはモノブロックストロボの各部の名称と役割を覚えましょう。
機種によってボタンの形や配置位置などは多少違いますが、カメラよりはずっと共通化されており、機能も少ないためほとんどのモノブロックストロボは同じ機能のボタンが本体背面にあります。
1.ハンドル
持ち運ぶ際やモノブロック本体の角度を調節する際の持ち手です。ハンドルがない機種もあります。
2.ロックノブ
モノブロックの角度を動かす際に緩めて、調節が終わったら回してロックします。
3.スタンドアダプタ
ライトスタンドにモノブロックストロボを取り付ける際にはめ込む部分です。
多くの場合、海外製品ではストロボを載せるためのライトスタンド側がオスダボになっており、そこにメスダボになっているモノブロックを載せます。
日本製のモノブロックストロボではライトスタンド側がメスダボになっており、モノブロック側がオスダボになっているのでライトスタンド側のメスダボに差し込みます。
変換アダプターを使用することで、メスダボ⇄オスダボは変換できるので、日本製のライトスタンド(メスダボ)に海外製のモノブロックストロボ(メスダボ)を取り付けたり、海外製のライトスタンド(オスダボ)に日本製のモノブロックストロボ(オスダボ)を取り付けることも可能ではありますが、ダボ穴のサイズが1mm程度違いますし、アダプターをかませる事を考えると、ピッタリとしたフィット感や剛性感を得るには日本製か海外製かでモノブロックストロボとライトスタンドは統一した方が好ましいと言えます。
4.クランプネジ
ダボにを差し込んだ後それを固定するのがこちらのネジになります。アンブレラなどのライトシエーピングツールを取り付けた際に本体が傾いでしまい照射角度がズレてしまうので、しっかりと締め付けてください。
ただし力任せに締め付けているとネジが痛んでしまうのでほどほどにして下さい。
5.フロントガラス
これは発光管がむき出しのガラスカバーが無い機種や、グローブガラス(半球で覆うようなガラス)のタイプも多くあります。
フラッシュバルブ(発光管)の保護と光の拡散のためにあります。
6.ズームスケール
Profoto独自の機能で、対応のリフレクターをスライドさせることで同じリフレクターでも一定の範囲でも照射角を変えることが出来ます。
その際にリフレクター側のイラストと照らし合わせて、どの程度の拡散になるかの指標となるのがズームスケールです。通常の製品ではリフレクターを付け替える必要があるので、付け替えの手間も機材費もその分必要にあります。
7.アンブレラホルダー
アンブレラ(傘)を差し込む穴です。Profotoのホルダーは本体発光部に近い場所にあるため、アンブレラの中心に光が当たりやすく角度調整が分かりやすくなっていますが、モノブロック下部に差し込むホルダーがある機種も多く存在します。
8.バッテリー
Profoto B1 500 Air TTLはバッテリーで駆動します。機動性が高く屋外ロケで大変重宝しますが、一般的なモノブロックストロボは電源が必要になりますので、背面もしくは側面から電源ケーブルをコンセントまでつなぎます。
9.バッテリーリリースボタン
Profoto B1 500 Air TTLはバッテリー駆動であるため、バッテリーを取り外すためのリリースボタンがあります。一般的なストロボは電源をコンセントから取りますのでこのボタンはありません。
10.USBポート
多機能なProfoto B1 500 Air TTLではファームアップデートが行えます。そのためのUSBポートです。一般的なモノブロックストロボにはありません。
11.シンクロコネクタ
一般的なモノブロックストロボでは本体背面にあります。ここにシンクロケーブルをつないでシャッターとストロボの発光を同期させます。
特別な操作は必要なく、繋げばカメラ側からトリガー電流が流れてシャッターに連動して発光しますが、シャッタースピードの上限がカメラごとに決まっているのでお気をつけ下さい。一般的には1/125秒程度で良いでしょう。
無線接続が売りのProfoto B1 500 Air TTLでは使用頻度が少ないため目立たないこの場所にシンクロケーブルのコネクタがあります。
12.IRスレーブ
カメラ本体のコマンダー発光機能など、赤外光によるスレーブ発光も可能です。
一般的な機種ではIRスレーブの代わりに本体背面にフォトセルのスイッチがあります。ある一つのライトを発光させるとその発光をフォトセルが検知して連動して発光するもので、多灯ライティングの際に使用します。
ジェネレーター+フラッシュヘッドでは、ジェネレーターが同期を行いますが、ものブロックストロボは優先で同期しようとするとカメラから各モノブロックストロボに何本ものシンクロケーブルを生やす必要がありますので煩わしくなります。そのためにフォトセルを使って同期します。
モノブロック本体側ではP.CELLという表記が多いかと思います。
P.CELLをONにしておくと、カメラ本体、もしくはクリップオンストロボの発光に同期して、ものブロックストロボが発光します。
13.LCDディスプレイ
モノブロックの各種設定状況を表示します。Profoto B1 500 Air TTLは高級機であるため非常に多彩な表示が出来ますが、モニターが無いモデルも多数あります。
モニターが無い場合は、ダイヤルやスイッチの状態を直に読んで設定状況を把握します。
14.モデリングボタン
モデリングライトを点灯させます。モデリングライトは本発光の前に電球色のタングステンライトや最近は電球色LEDによる定常光によってライトの当たり方を見る仮のライトです。
定常光であるため本発光のストロボ光がどのように当たるかを把握できますが、大体のあたりをつけるといった程度です。本発光時にわざわざモデリングランプを消す必要はありません。
15.テストボタン
テスト発光を行います。一つは正しく接続されて各ライトが点灯するかを確認するため、もう一つは調光を行った際、前の設定の発光量でコンデンサにチャージされているため、それを捨てるためのいわゆる捨て発光の為に使います。
捨て発光を行わずにレリーズしてしまうと、調光していたとしてもその前の設定値で発光していますのでお気をつけ下さい。
発光さえさせてしまえば次にチャージされるのは調光後の設定値になるので、ストロボ本体のテストボタンを押す必要はなく、カメラ側で一度シャッターを切って捨て発光を行うか、Profoto B1 500 Air TTLの場合は、Air Remoteのカメラ側のリモート端末でもテスト発光ボタンで捨て発光を行えます。
Profoto B1 500 Air TTLでは電源ボタンを兼ねており、テストボタンを約1秒間長押しで電源ON、約3秒間長押しで電源OFFとなっています。
一般的なモノブロックストロボでは電源ON/OFFのトグルスイッチとなっており、この点に関しては一般的なモノブロックストロボの方が使いやすいように思います。
Profoto B1 500 Air TTLは高機能であるがゆえに起動と終了に数秒時間がかかるため電源ボタンを省略するためテストボタンの長押しでも良いという判断なのかも知れませんが、現場は慌ただしいので電源ONから発光可能まで数秒かかるのは構わないのですが、電源をサッと入れたら次の行動を行うために離れたいので長押しは煩わしく感じます。
16.出力/設定ダイヤル
調光バリエーターと呼ばれるダイヤルで、このダイヤルを回すことで発光量を調節します。
殆どのモノブロックストロボ共通の操作ですが、直接調光バリエーターを回さなくてもProfoto B1 500 Air TTLの場合はカメラ側からProfoto Airで無線調光できます。
こういった無線で発光量を調節出来るモデルが最近は増えており、モノブロックでもジェネレータータイプでもこれからの主流になっていくのは確実です。
17.レディボタン
発光後再チャージ完了時に音を鳴らして欲しい場合はレディボタンを押します。
機種に寄りますが、チャージが完全に行われていないとシャッターが切れない機種、もしくは設定で発光量は設定値に満たなくてもシャッターは切れるように設定できる機種などいくつかタイプがありますが、確実にチャージしてから発光したい場合、いざシャッターを切ろうとすると再チャージが完了しておらずシャッターが切れずにタイミングが合わなくてリズムが崩れる場合があります。
気になる場合はレディボタンを押してビープ音を鳴らして発光可能なタイミングを知ることができます。当然毎回ピピピピッとかピーといった音がなるのでうるさいのが気になる方は鳴らさない設定にしておけば良いでしょう。
Profoto B1 500 Air TTLのリサイクルチャージタイムはフル発光でも1.9秒ですのでレスポンスの良い撮影が可能です。
18.シンクロボタン
HSS(ハイスピードシンクロ)を行う際に押します。一般的なモノブロックストロボやジェネレータータイプのフラッシュヘッドでは出来ません。
大型ストロボでハイスピードシンクロ撮影が出来るのはProfoto B1 500 Air TTLの大きな魅力と言えるでしょう。
次にProfoto B1 500 Air TTLの表示の解説です。これは一般的なモノブロックストロボでは液晶表示が無いものが多いと思います。
19.モデリングライト設定
Profoto B1 500 Air TTLはモデリングライトの調光を調節できるため、何パーセントでモデリングランプを点灯しているかを表示しています。一般的な機種はモデリングランプを調光出来ないものが殆どなのでこの表示はありません。
20.チャージ完了設定
ビープ音を鳴らす設定かどうかを確認できます。
21.シンクロ/Air設定
現在のシンクロ方法を表示します。スレーブは無線であること、AirはAir Remoteコントローラーで繋がっていることを表示しています。
22.バッテリー残量表示
バッテリーで駆動出来るProfoto B1 500 Air TTLならではの表示です。多少離れたところからでも、一目で分かるように大きく表示されているのは好感が持てます。
23.出力設定
発光量を表示しています。発光量の表示は相対 f ストップスケールで表示 されます。最大エネルギー(500 W)は、10 として表示されます。
24.フリーズモードインジケータ
リサイクルチャージタイムを優先するFreezeモードと、色温度の安定化を優先するNormalモードがあります。基本はNormalモードを推奨しますが、レスポンス重視の撮影ではFreezeモードを選択します。
25.色温度制限インジケータ
内蔵過熱保護を有効化する温度レベ ルに到達した場合に点灯します。これが発生した場合、温度レベルが許容可 能レベルに戻るまでパフォーマンスは制限されます。
26.自動フラッシュ露光(TTL)インジケータ
フラ ッシュ出力がカメラによって自動的に設定されるたびに、自動フラッシュ露出 インジケータに「AUTO」が点灯します。インジケータは、リモートから TTL フラッシュコマンドを受信後10 秒間点灯します。
■操作手順
ではようやくですが、実際の操作手順についてご紹介していこうと思います。
操作手順
1. バッテリーを充電する。
※一般的なモノブロックストロボの場合はコンセントに挿すだけですから充電の必要はありません。
2. バッテリーをB1本体に取り付ける。
※一般的なモノブロックストロボの場合はコンセントに挿すだけですから充電の必要はありません。
3. リフレクタ/フロントガラス [5] から保護キャップを取り外します。(要するにカバーを外して使える状態にするだけです)
4. スタンドアダプター [3] をライトスタンドに取り付け、クランプネジ [4] でとめます。
※しっかりと締め付けることは重要ですが、不必要に目一杯締め付けることはクランプのねじ山を潰ししてしまう原因になりますので、適切な力で締め付けましょう。
5. ロックノブ [2] を緩めてフラッシュのチルト位置を調整します。
6. テストボタン [15] を長押しして、ユニットの電源をオンにします。
※Profoto B1 500 Air TTLはテストボタンの長押しですが、一般的には電源スイッチはトグルタイプ(ON/OFF)が付いていることが多いです。
7. 出力/設定ダイヤル [16] を長押しし、その後、テストボタン [15] を短く押して、フリーズ/ノーマルモードを選択します。
※特に選択しない場合は必要ありません。
8. 出力/設定ダイヤル [16] を使って、出力を設定します。
※TTL調光やリモートコントローラーで調節する場合は不要です。
9. テストボタン [15] を押して、テストフラッシュをリリースします。
※調光が行われる前のチャージ分をリリースしておく事で前の設定の発光量から現在の設定の発光量をチャージさせます。
10. シンクロボタン [18] を使って、シンクロ設定 [21] を選択します。
※一般的なモノブロックでは、SYNC(シンクロコード)とP.CELL(フォトセル)の切り替えスイッチなどが多いかと思います。
11. モードボタン [14] を使って、モデリングライト設定 [19] を選択します。
※モデリングランプを使わない場合は操作不要です。一般的な機種では、モデリングランプの点灯スイッチがあります。
12. レディボタン [17] を使って、チャージ完了設定 [20] を選択します。
※チャージ完了時に音を鳴らしたり鳴らさなかったりする設定です。そのままで良ければこちらも操作不要です。
13. リフレクタ ー/アンブレラを取り付けてください。
※アンブレラを取り付ける場合は、B1本体の丈夫にある穴にアンブレラの芯を通して固定します。モノブロックの機種によっては本体の下側にアンブレラ固定用の穴が空いていますので、そちらでも大丈夫です。
ザックリとですがProfoto B1 500 Air TTLの操作についてご説明させて頂きました。
文章で読むとややこしそうに見えるかも知れませんが、B1にしろ一般的なモノブロックストロボにしろ、操作が絶対に必要な場所はそう多くはありません。
分かりやすくするために一般的なモノブロックストロボの簡易版操作手順も書いておきます。
■簡易操作手順
1.ライトスタンドにモノブロックストロボを取り付け、コードもしくはバッテリーをつないで電源スイッチを入れる。
2.テスト発光をする。
3.カメラとのシンクロ方法を設定する(コントローラーを使ったラジオスレーブなのか、クリップオンストロボやポップアップストロボに連動させるフォトセルや赤外線でのスレーブなのか、シンプルななシンクロケーブルによる有線接続なのか)。
4.アンブレラなどのライティングアクセサリーを付ける。
5.モデリングランプを点灯させて光の当たり方を確認する。
6.本発光させながらテスト撮影をしながら発光量に調整を加えていく(調整した場合には必ず一度チャージ分を捨てて下さい)。本発光の際モデリングランプを消す必要はありません。
7.本番の撮影を行う。
■モノブロックストロボは実は簡単
如何でしたでしょうか?実際にやってみれば操作そのものは決して難しいものではありません。
あとは勉強や試行錯誤を繰り返してライティングを身につけていきます。その過程の方が機材の操作よりもはるかに長い時間を必要とするでしょう。
大型ストロボを使ったライティングはプロだけのものと怖じ気付かずに、是非この機会に本格的なストロボライティングにレッツトライ!
画像:Profoto
Reported by 正隆