以前にカメラショーで展示されていたことをご紹介したニコンの超高級双眼鏡が正式に発表されましたのでご紹介します。
このWX 7×50 IF/WX 10×50 IFは対物レンズ50mm後継の双眼鏡としては世界最高峰の見え味を実現した双眼鏡で、非常に高価ではあるものの、星見や風景観望など双眼鏡ファンにとって憧れの双眼鏡となりそうです。
■WX 7×50 IF/WX 10×50 IFの異次元の光学性能
- 赤丸内:WX 10×50 IF(実視界7.3°)
- 全体:WX 7×50 IF(実視界10.7°)
とにかく広い視野角
WX 7×50 IF/WX 10×50 IFは超広視界を実現しており、星野観望や風景観望に非常に優れた特性を持っています。バードウォッチングにも使えないことはありませんが、重いのとインディビジュアル方式のフォーカシングであるため、基本的には三脚等に設置して観ることに適した双眼鏡となっています。
WX 7×50 IF/WX 10×50 IFは中心部の非常に先鋭な視界と同等の像質を周辺部まで実現しています。そのため視界周辺部を覗いた際も像の歪みや流れを感じることなく快適な観望を実現しています。
単に視界が広い双眼鏡は他にもありますが、多くの場合広視野角の双眼鏡は周辺像の質が悪くなりがちなのですが、WX 7×50 IF/WX 10×50 IFは超広視野角でありながら、中心と変わらない周辺像を楽しむことが出来るようになっています。
呆れるほど素晴らしい像質
実際にWX 7×50 IF/WX 10×50 IFを覗いてみると分かりますが、その像質は、
世界屈指の双眼鏡と呼ばれるこれらよりもさらに優れていると感じました。
もちろん上記の3モデルはWX 7×50 IF/WX 10×50 IFよりも安価かつ遥かに軽量ですし、センターフォーカス方式(中央のピントリングを回すことで左右同時にピント合わせができる方式)であるため、バードウォッチングなどにも使える非常にオススメの双眼鏡です。
対してWX 7×50 IF/WX 10×50 IFはバードウォッチングや手持ちで使うには使い勝手や重量の面からオススメできないものの、三脚等に設置して使用できるのであれば、その見え味は間違いなく世界最高峰のものと言えるでしょう。
あらゆる面で徹底した作り込み
双眼鏡の像質を上げるための要素として、対物レンズ、接眼レンズと並ぶ重要な要素として、プリズムがあります。WX 7×50 IF/WX 10×50 IFに使われているのは非常に優れた性能を誇るアッベ・ケーニッヒプリズムを採用しています。
アッベ・ケーニッヒプリズムは全ての反射面で全反射を行い、かつダハ面には位相差補正コーティングを採用しています。この位相差補正コーティングというのは、プリズム内で反射する像の僅かな位相ズレを補正するもで、解像力をより高める効果があります。
双眼鏡を見たい方向に振った際に像が歪んで動いているように見える場合があります。WX 7×50 IF/WX 10×50 IFはこのスイング時の不自然な像の歪みを防ぐために、意図的にわずかな糸巻き収差を残しているとのこと。単純に歪曲収差を0にするのではなく、実際に使った時のトータルの見え味を追求した作りと言えるでしょう。
■WX 7×50 IF/WX 10×50 IFの仕様
WX 7×50 IF | WX 10×50 IF | |
倍率(倍) | 7 | 10 |
対物レンズ(mm) | 50 | 50 |
実視界(°) | 10.7 | 9.0 |
見掛視界(°) | 66.6 | 76.4 |
1,000m先の視界(m) | 188 | 157 |
ひとみ径(mm) | 7.1 | 5.0 |
明るさ | 50.4 | 25.0 |
アイレリーフ(mm) | 17.7 | 15.3 |
最短合焦距離(m) | 12.3 | 20.0 |
高さ(mm) | 272 | 291 |
幅(mm) | 171 | 171 |
厚さ(mm) | 80 | 80 |
質量(g) | 2,420 | 2,505 |
眼幅調整範囲(mm) | 58〜78 | 58〜78 |
視度調整範囲(m) | -6〜+4 | -6〜+5 |
防水性能(m)-(分) | 5-10 | 5-10 |
JANコード | 4571137 589127 | 4571137 589141 |
希望小売価格(税別) | ¥640,000 | ¥670,000 |
■ニコンの原点、100年の到達点
ニコンの歴史は双眼鏡から始まりました。
高級双眼鏡は今となってはマニアックな製品で、この時代に60万円を超える超高級双眼鏡がどれほど売れるのかは難しい問題ですが、100周年を迎えるニコンがその長い歴史の出発点であった双眼鏡において世界最高の双眼鏡を目指して開発したのが、このWX 7×50 IF/WX 10×50 IFです。
また台数限定ではありますが、100周年記念モデルWX 7×50 IF/WX 10×50 IFも発売されるとのこと。
全ての双眼鏡マニアに実際に手にとって心ゆくまで観て欲しい、双眼鏡となっています。
ニコン100年の到達点、次の100年への出発点…。
画像:Nikon
Reported by 正隆