2018年の平昌オリンピックやワールドカップ、また2020年の東京オリンピックなどアジアでの大きなスポーツイベントを控えています。
そこで今回は、オリンピックやワールドカップといった大規模な大会の撮影に臨む今時のプロスポーツカメラマンの機材をご紹介します。
■現代のプロスポーツカメラマンはどんな機材を使っている?
オリンピックなどの大規模スポーツカメラマンの機材
2016年のリオ・デ・ジャネイロオリンピックに参加したプロスポーツカメラマンであるSimon Brutyさんの機材をご紹介しましょう。
カメラとレンズの使用機材は以下の通り。
- EOS-1D X Mark II(5台)
- EOS-1D X(1台)
- EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×(1本)
- EF200mm F2L IS USM(1本)
- EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM(1本)
- EF11-24mm F4L USM(1本)
- EF20-35mm F2.8L USM(1本)
- EF16-35mm F2.8L II USM(1本)
- EF24-70mm F2.8L II USM(1本)
- EF70-200mm F2.8L IS II USM(1本)
- EF135mm F2L USM(1本)
- TS-E17mm F4L(1本)
- TS-E24mm F3.5L II(1本)
- TS-E45mm F2.8(1本)
- TS-E90mm F2.8(1本)
- EXTENDER EF1.4×III(1本)
これにリモートコントロール用のアクセサリーやケーブル類、さらにPCやライティング機材、三脚や一脚、バッテリーなど膨大な周辺機器が加わるわけですから、その重量たるや大変なものになります。
カメラは何が何台必要か?
まず最も重要なカメラボディに関しては、Simon Brutyさんはハイエンド一眼レフであるEOS-1D X Mark IIを5台とその前モデルとなるEOS-1D Xを1台の合計6台体制となっています。
よく「サブ機」という言われ方をしますが、この場合はサブ機としての意味合いだけでなく、大規模なスポーツ会場ではカメラを設置して複数台を同時に使うために、大量のボディが必要になるというわけです。
そのためにリモートコントロールに対応したハイエンド一眼レフが6台も必要になるというわけです。
レンズは何が必要か?
レンズはまさにメーカーのサービスセンターかカメラ販売店の大型店舗かと思われるほどのラインアップで、
- 魚眼レンズ
- 超広角
- 標準
- 望遠
- 超望遠
- アオリレンズ
まで揃えるフルラインアップで、使わないのはマクロレンズくらいという状態です。
スポーツ撮影=超望遠レンズというイメージが強いかも知れませんが、大規模スポーツ会場では、会場全景やスナップ的な物、会場内外も大量に撮影するため、魚眼レンズや超広角レンズも必要になります。
Simon Brutyさんの場合、アオリレンズも4本全てを使用するとのことで大変な量の機材となっていますが、Simon Brutyさん自身は「これでも一生懸命機材を減らした結果」とのことです。
遠隔操作のためのアクセサリー
現在の大規模スポーツ会場では、カメラだけを設置して操作や撮影はリモートで行う場合も多く、Simon Brutyさんはそのための機材(ノートPC、リモートコントロールアクセサリー、ケーブル類など)も大量に持ち込むとのこと。
- キヤノン:EOS-1D X Mark II+ワイヤレスファイルトランスミッターWFT-E8B+EOS Utility
- ニコン:D5+ワイヤレストランスミッター WT-6+Camera Control Pro 2
といった組み合わせで、カメラをリモートコントロールすることが可能です。
もちろんカメラから離れた場所で操作するわけですから、カメラを設置するための小型三脚も複数本必要になります。
ちなみにカメラマン自身が大口径超望遠レンズを長時間使用する場合、レンズの重量を支えるために一脚も持ち込みます。
一脚は一度に1本しか使いませんが、多くのオリンピックカメラマンは壊れる可能性も想定して2本程度会場に持ち込むようです。
プロスポーツカメラマンはタフガイ
Simon Brutyさんによると、リオ・オリンピックに航空機に持ち込んだ荷物は、50ポンド(22.680kg)のバッグを3つ(これだけで68kg)と、機内持ち込みのthinkTANKphotoのローラーバッグ1つとバックパック1つ、以上の合計5つのバッグを持ち込むとのこと。おそらくは100kg前後もある機材を一人で持ち運ぶというわけです。
スポーツカメラマンだけでなく、コマーシャルフォトなどでも大量の機材を使用する場合はありますが、この場合は複数のスタッフで事前に車に積み込むか、スタジオに元々備え付けられている機材を併用しますから、一人でこれほど大量の機材を持ち運ぶことは普通はありません。
これらの大量の機材を会場に持ち込み、かつ炎天下や雪が舞うような環境で長時間撮影するプロスポーツカメラマンの肉体的・精神的なタフさには驚かされるばかりです。
■東京オリンピックにはどんな機材を持っていくべきか?
オリンピックやワールドカップに臨む撮影機材
では先にご紹介した、リアル・オリンピックカメラマンであるSimon Brutyさんの機材を参考に、2018年のW杯や2020年の東京オリンピックのカメラマンがどのような機材を会場に持ち込むか?をキヤノンとニコンのバージョンでご紹介します。
2020年の東京オリンピック時点では、例えばEOS-1D X Mark IIIやD6などボディ・レンズなど後継モデルが出ている場合もあるでしょうから、その場合は後継機を選ばれると良いでしょう。
こんなに大量の機材を海外まで運ぶだけでなく、オリンピックのために新設された未経験の会場などで撮影しなければならないカメラマンの緊張はどれほどでしょうか?凄いですね。
Reported by 正隆