フォトキナでの発表が有力視されているSONYミラーレス機のフラッグシップにしてEマウント初のプロ機、それがα9(ILCE-9)です。
果たしてα9はどんな機種になるのでしょうか?今回はα9の詳細スペックを予想してみたいと思います。
■画質面での進化点
α9は高速連写機なのか、高解像度機なのか?
α9は、プロ機としてリリースされることが想定されますが、現在の時点でSONYがプロスポーツ系を想定してプロ機に仕上げてくる可能性は少ないでしょう。
と言うのも、SONYは像面位相差AFの高い技術を持っていますが、超望遠レンズがまだ充実しておらず、EVFやバッテリー持ちの問題があり、動体を大量の枚数撮影することになるプロスポーツカメラマンに直ぐに採用させるのは難しいでしょう。
α7R IIIには7000-8000万画素のイメージセンサーを採用するという話もあり、SONYがα9でプロ市場を狙っていくとすれば、高解像を必要とするコマーシャルフォトのようなジャンルからの進出を狙うのが自然な流れでしょう。
イメージセンサーのタイプとしては、裏面照射型イメージセンサー(Exmore R)、積層型イメージセンサー(Exmore RS)、多層型イメージセンサーなどのいずれかである可能性が考えられます。が恐らくは裏面照射型イメージセンサーになるのではないかと予想されます。
SONYが目指すプロ市場は?
高画素にするほどデータ量は増大し、秒間コマ数や連続撮影枚数は低下します。
スポーツ撮影に重点を置き画素数を抑えるか、大判印刷に耐えるように高解像に重点を置くか考えた場合、現在のSONYのレンズラインアップやプロ市場での使われ方を考えると、α9は高解像度と動画性能に重点を置いたコンセプトとなるのが自然な流れと言えるでしょう。
ただし後述するようにα9・α9R・α9Sのようなバリエーション展開が行われるのであれば、α9は24〜28MP程度に抑えられた高速連写機として登場する可能性は考えられます。
■α9もα9R・α9Sのような別バージョンが登場する?
SONYは現在α7シリーズで、α7 II・α7R II・α7S IIの3機種をラインアップしていますが、α9でもセンサー違いでα9・α9R・α9Sなど複数機種ラインアップしてくる可能性はあるのでしょうか?
現実にはフラッグシップの3機種ラインアップは不自然に思いますが、かつてNikon・Canonがフラッグシップ機で高速連写機と高画素機の2バージョンをラインアップしていた事を考えれば、イメージセンサーの開発力に長けたSONYが、高速連写機と高画素機の2モデルをラインアップしてくる可能はあるかと思います。
その場合、α9が2400-3600万画素の高速連写モデル、α9Rが7000-8000万画素程度の高画素モデルとなると考えられます。
■オートフォーカス性能はどうなるのか?
ミラーレスだからこそ可能なオートフォーカスの進化
かつての動体はミラーレスより一眼レフという時代は何処へやら、近年のSONY機の像面位相差AFの進化は目覚ましく、α6300では425点の像面位相差AFセンサーと169点のコントラストAF、加えて画面全域をカバーするオートフォーカスエリアという、一眼レフでは実現が難しいオートフォーカス性能を手に入れました。
速度に関しても非常に高速化され、静止画・動画を問わず、画面全域で被写体を追い続けることが可能となりました。
SONYはα6300の開発者インビューによると、オートフォーカスの精度や速度を上げるには、測距点の密度を上げる事で被写体を常に複数の測距点で常に追い続ることが重要とのこと。
より多点化するオートフォーカス
フルサイズ一眼レフで画面周辺部まで測距点を配置する事が難しい理由は、1つは画面周辺部はレンズの収差や減光が大きくオートフォーカスの精度が出しにくい事、もう1つはオートフォーカスセンサーモジュールはボディ下部に収めるために、ボディの大きさの制約を受けるため際限なく大きなものを載せる事が出来ないためだと言われています。
像面位相差AFでは、レンズの収差や減光はともかく、オートフォーカスセンサーモジュールの大きさの制限はないため、SONYミラーレス機では一眼レフよりもオートフォーカスのカバーエリアが大幅に広くなっています。
測距点数を増やすほどに処理能力は増大するため、ニコンD500やD5、キヤノンEOS-1D X Mark IIのような上位機種では、AEやAF専用のエンジンを画像処理エンジンとは別に搭載しています。α6300でも劇的に測距点を増やした事で、処理アルゴリズムが複雑化し開発者を悩ませたとの事です。
像面位相差AFなら際限なく測距点を増やせるというわけではありませんが、APS-C機であるα6300で425点を実現しているSONYなら、フルサイズフラッグシップ機となるα9では測距点を倍近くまで伸ばしてくる可能性はあるかも知れません。
■連写性能はどうなるのか?
α9の秒間コマ数に関しては画素数にもよるため静止画の画素数からでは予想するのが難しい部分があります。
しかしながらα9は動画記録に関して4K/60pと6k/30p以上が搭載される可能性が高いとされています。
α9ではRAWでの無限連写が可能に?
6K/30p記録が可能な画像処理エンジンであれば、7000-8000万画素でも秒間7コマ程度の記録が可能になります。
またフラッグシップ機であればBIOZ Xを複数機搭載する事も可能でしょうから、α9が高画素機、あるいはα9Rのような高画素バージョンが登場するとしても、秒間5〜7コマ程度の連続撮影速度は実現してくるでしょう。
またα9はメモリーカード容量が許す限り、RAW記録で無制限の連続撮影が可能との噂があります。
■気になる記録メディアは?
記録メディアですが、SDカードでは6K動画の撮影に支障が出ますし、α9がRAWで無制限の連続撮影が可能という噂とも整合性が取れません。4K/60pや6K/30pなどの動画記録、高画素化など様々な条件を考えれば、XQDが採用されるのは間違いないかと思います。
またフラッグシップ機という事で、ボディサイズへの制約も減る事を考えると、XQDのデュアルカードスロットが採用される可能性が非常に高いと考えられます。
■動画性能はどうなる?
動画性能は次世代の一眼動画のトップを走るためにも6K/30pと4K/60pは必ず実現してくると予想されます。パナソニックのLUMIX GH4後継機、LUMIX GH5にも6K/30pの搭載される可能性が高いと言われています。
ハイスピード動画に関しても、α6300ではFHDの120fpsが搭載されていますが、α9ではより進化したFHD 240fpsが搭載される可能性も高いでしょう。
■ボディデザインは?
α9は動画機能も耐久性やバッテリー寿命、加えて動画の連続撮影時間にもプロレベルのものが求められるでしょう。だとすれば、ボディ筐体もα7シリーズとは自ずと異なってくる可能性が高いと予想されます。
- 長時間の連続撮影を可能にするバッテリーライフ
- 高温環境や長時間の動画撮影を可能にする排熱構造
- プロレベルでの使用にも耐えられる防塵防滴構造
- デュアルXQDカードスロットの採用
まずプロ機として問題となる点の1つに一眼レフ上級機と比較した場合のバッテリーライフの短さがあります。
Eマウントミラーレス機でお馴染みのNP-FW50ではなく、専用の大型バッテリー、もしくはNP-FW50を2つ詰める事、次に動画の連続撮影可能時間の制限を緩和するために排熱に配慮する必要があり、ある程度のスペースや排熱に配慮したボディ形状が必要なります。
更に今後ラインアップされるであろう超望遠レンズでの使用にも耐えられるボディ強度や、厳しい撮影環境で使用する事の出来る本格的な防塵防滴構造が求められます。
それらを考慮した場合、α9はα7R IIと比較して明確な大型化が図れれるでしょう。
■α9の発表・発売時期・価格は?
気になるα9の発売時期ですが、早ければ2016年9月のフォトキナでの発表、10月の発売が有力視されています。
お披露目のタイミングとしては申し分ありませんが、震災などの問題もあり、2016年末や2017年にずれ込む可能性はあるでしょう。
しかし時代の一歩先行くSONYに対して人々が期待するのは、2016年年内のフラッグシップ機α9の発売でしょう。
SONYミラーレス機初となる、「プロカメラマンも使う事がある」ではなく、「プロカメラマンのために開発された」ミラーレス機となるα9はα7R IIよりも確実に高価なモデルとなるでしょう。
α7R IIの登場時の価格が45万円だった事を考えると、α9はニコンD5やキヤノンEOS-1D X Mark IIと同価格帯となる、60〜70万円程度にはなるのではないかと予想されます。
■α9の仕様とα7R IIの仕様比較
α7R II vs α9(予想)仕様比較 | ||
機種 | α7R II | α9 |
有効画素数 | 約4240万画素 | 約7200万画素 |
撮像素子 | 約35.9×24.0mm | 約35.9×24.0mm |
画像処理エンジン | BIONZ X | デュアル BIONZ X |
記録媒体 | SDXC(UHS-I対応) | XQDデュアルカードスロット |
ファインダー | 235万ドット | 360万ドット |
ファインダー視野率 | 上下/左右とも約100% | 上下/左右とも約100% |
ファインダー倍率 | 約0.78倍 | 約0.82倍 |
アイポイント | 約23mm | 約22mm |
シャッタースピード | 1/8000-30秒 | 1/8000-30秒 |
ストロボ同調速度 | 1/250秒 | 1/250秒 |
秒間コマ数(AF追随) | 最高約5コマ/秒 | 最高約7コマ/秒 |
連続撮影枚数(RAW/14ビット) | 約23枚 | Full |
連続撮影枚数(JPEG/FINE) | 約30枚 | Full |
常用ISO感度 | ISO100-25600 | ISO100-25600 |
最高ISO感度 | ISO102400 | ISO104800 |
フォーカスポイント | 399点 | 799点 |
コントラスト検出方式 | 25点 | 45点 |
AF検出範囲 | -2~+20EV | -4~+20EV |
調光センサー | 1200分割ライブビュー分析測光 | 3600分割ライブビュー分析測光 |
動画記録形式 | XAVC S、AVCHD規格 Ver.2.0準拠、MP4 | XAVC S、AVCHD規格 Ver.2.0準拠、MP4 |
動画記録画素数 | 4096×2160:4K 1920×1080:FHD 1280×720:HD |
6144×3072:6K 4096×2160:4K 1920×1080:FHD |
フレームレート | 4K:30p/24p FHD:60p/30p/24p HD:120p/30p |
6K:30p/24p 4K:60p/30p/24p FHD:240p/120p/60p/30p/24p HD:240p/120p/60p/30p |
圧縮形式 | XAVC S: MPEG-4 AVC/H.264 AVCHD: MPEG-4 AVC/H.264 MP4: MPEG-4 AVC/H.264 |
XAVC S: MPEG-4 AVC/H.264 AVCHD: MPEG-4 AVC/H.264 MP4: MPEG-4 AVC/H.264 |
モニター種別 | 3.0型TFT液晶モニター | 3.2型TFT液晶モニター |
モニター解像度 | 約122万ドット | 約162万ドット |
タッチパネル | なし | あり |
GPS | なし | なし |
Wi-Fi | あり | あり |
バッテリー寿命 | ファインダー使用時:約290枚 液晶モニター使用時:約340枚 |
ファインダー使用時:約550枚 液晶モニター使用時:約650枚 |
大きさ | 約126.9×95.7×60.3mm | 約138.2×136.2×70.4mm |
重量 | 約582g(ボディのみ) 約625g(CIPA準拠) |
約720g(ボディのみ) 約825g(CIPA準拠) |
Reported by 正隆