今日はカメラのクリーニングアクセサリーのお話です。
カメラは道具。使えば汚れるのは当然で、レンズやカメラ内部が汚れたままでは写真にも影響してしまいます。大切な撮影機材のメンテナンスをするための便利なアクセサリーとその使い方や選び方のポイントをご紹介します。
■クリーニングクロス(液晶画面、カメラボディ、レンズ鏡筒)
まずは定番のクリーニングクロスです。もっとも手軽で頻繁に使う掃除道具と言えるでしょう。クリーニングクロスは基本的には液晶画面やカメラボディ、レンズ鏡筒などのクリーニングに使用します。
質の良い一部のクリーニングクロスは保護フィルターやファインダーの掃除にも使うことが出来ますが、カメラボディを拭くクリーニングクロスと保護フィルターやファインダーを拭くクリーニングクロスは別にし、しっかりとホコリを飛ばした状態で使用してください。
もちろんクリーニングクロス自体が汚れていないことも重要です。ホコリを噛んだ状態でこすってしまうと大切な機材に傷が付いてしまうため、基本的にレンズや保護フィルターやファインダーはシルボン紙のような使い捨てのものを使用するのがオススメです。
クリーニングクロスに関しては素材と大きさが重要になってきます。化繊のものが多く、一部セーム革などの天然素材のものがあります。セーム革のクリーニングクロスは汚れた際にはぬるま湯でもみ洗いし、平置きして干します。
洗濯バサミなどで吊り下げてしまうと伸びて歪んでしまうためです。また洗濯後はゴワゴワになりますが揉みほぐすことで再度柔らかさを取り戻しますが、やはり耐久性やメンテナンス性では質の良い化繊クロスに劣る部分もあります。
しかしながら質の良いセーム革の拭き取り能力は最新の化繊以上のものがあり、柔らかく手触りも非常に良いのが特徴です。春日のキョンセーム革が有名で、カメラアクセサリーメーカーから出ているセーム革とは質がかなり違います。
セーム革を使ってみたい方は春日のキョンセーム革がオススメです。私も使っていましたが、天使の衣かと思うほど非常に柔らかくふわふわしていて、指紋などの汚れも一発で落ちます。
しかし天然素材はそれ自体の洗濯に気を使う点や、価格面で高価になりがちです。そのため私は現在ETSUMIのミクロディアを使用しています。
東レが開発したトレシーによって化繊クロスは劇的に普及しましたが、トレシーがザラザラと引っ掛かりがあるのに対して、ミクロディアは非常に柔らかく、天然素材に匹敵する拭き取り能力と高いメンテナンス性を両立しています。
ミクロディアはカラーバリエーションがあるため、カメラや用途別に使い分けるのにピッタリですね。
■ブロアー(レンズ、フィルター、イメージセンサー)
カメラのクリーニンググッズとして真っ先に思い浮かぶのはコレではないでしょうか?空気を吹き付けて飛ばすため、カメラのあらゆる部分に使えてしかも手軽なブロアーは必ず一つは欲しいところです。
ブロアーの選び方のポイントとしては、一つに風量、二つ目にノズル形状、三つ目に素材です。大きければ大きいほど風量も多くホコリを飛ばす力が強く、小さいブロアーは風量が小さいためにその力が弱くなってしまいます。
手で握りやすい程度で大き目のものを選ぶと良いでしょう。またカメラバッグに入れておきたい場合もそこそのの大きさのものを入れておきましょう。
次にノズル形状ですが、先端がブラシのようになっているものは一見便利そうですが毛が抜けてカメラ内部に入る場合があり、また風量も少ないブロアーがほとんどでお勧めしません。
先端が長過ぎるものや太いものは握りこんだ際にズレが大きくピンポイントで当てにくいため最近ではノズルが短めのものが良いとされています。
最後に素材についてですが、ゴムのブロアーは安価ですが硬く、少し高めのブロアーはシリコンが使われており触り心地が良く、握りこむ力も少ない力で済みます。
ゴム素材のブロアーが実用上ダメということではありませんが、シリコン素材のものの方が快適にお使い頂けますから、無くさない限りずっと使えるアクセサリーですから少し良いものを購入してみても良いかも知れません。
最近では時計用ブロアーメーカーがカメラ用としてブロアーを売っている場合がありますが、これは細かい部品を扱うためより転がりにくい形状になっています。
転がりにくいように本体が太いいと、一眼レフなどでミラーボックス内にノズル先端を入れてイメージセンサーのホコリを飛ばそうとした場合、撮像面素子面が見難くなってしまいます。
使えないということではありませんし、使い良いと感じる場合もありますが、本来用途が違うものですのでその点はご注意ください。
少しお値段はしますが、UNのシリコンショットブローは十分な風量がありながら大きさもほどほどで、ノズルも長すぎず使いやすいブロアーとしてオススメです。
ブロアーは撮像素子のホコリやゴミを吹き飛ばす際には、カメラのマウント開口部をやや下に向け、ゴミに向かって吹き付けて下さい。ホコリが入りにくくする為で、あまり適当にガンガン吹き付けてしまうと、ミラーボックス内のホコリが舞い上がって、フォーカシングスクリーンの裏側など取り除きにくい内部に入ってしまう事がことがあります。
■クリーニングブラシ(カメラボディ、レンズ鏡筒)
カメラボディやレンズ鏡筒は凹凸が多くホコリが溜まりやすいもの。そこでカメラ用のブラシを使用してみるのもオススメです。細く柔らかいブラシを使うことで凹凸に溜まったホコリも綺麗にとりさる事が出来ます。
ボディなどに溜まったホコリ自体は写真に写るものではありませんが、ホコリまみれのボディを放置しておくとレンズ交換などの際にカメラ内部に入ったり、レンズに付着してしまう可能性が高まります。定期的な清掃がそういったリスクを下げることになります。
化粧用の熊野筆は価格が高いというデメリットはありますが、非常に柔らかく細かいホコリもとれるのでこだわりの一品としてオススメです。天然素材で揃えたいという方は、春日のキョンセーム革とともに揃えてみてはいかがでしょうか?
■クリーニング液とシルボン紙(レンズ、イメージセンサー)
レンズやイメージセンサーを清掃するための道具がクリーニング液とクリーニングペーパー(シルボン紙)です。シルボン紙は使い捨てます。もったいないからと使いまわすと汚れが付着したりゴミが付いた状態で傷つけてしまうため避けましょう。
シルボン紙やクリーニングペーパーは枚数や種類でいくつかありますが、NikonやHCL(堀内カラー)などから出ているものが定番です。クリーニング液にもさまざまありますが、同じくHCLからレンズ用のLENSクリーナーやローパスフィルター用のデジタルクリーナーが出ており、定番品では他にCURAのクリーニング液などがあります。
クリーニング液では薬局などで変える無水エタノールも使えますが、若干拭き跡が残りやすい場合があります。拭き跡が出やすいかどうかはクリーニング液の成分の種類でも多少差がありますが、上手い人は大抵のクリーニング液で綺麗に拭き取れてしまいます。
また工業用品に使うようなクリーナーの中には、強力すぎてコーティングを痛めてしまうものもあるため使用しないように気をつけましょう。
クリーニング液は落とす力よりもレンズやローパスフィルターのコーティングを痛めないことが第一になります。
一般的なカメラ用クリーニング液で落ちないような汚れがレンズやイメージセンサーに付着した場合には、より強力なクリーニング液を使うより、カメラメーカーのサービスセンターに持ち込むのが一番間違いがありません。
クリーニング液を使用する場合には、クリーニングスティック(専用品もありますが、割り箸の背の平たくなっている部分や綿棒でも代用可能です)に巻きつけたシルボン紙に1滴か2滴を垂らし、レンズであればレンズ中心から円を描くように外側に拭いていきます。
イメージセンサーのローパスフィルターの場合は、中心から時計回りに回って左下で終わらせます。中心部分は円で、外周ではセンサーの淵に合わせて四角く拭いていきます。レンズもイメージセンサーもクリーニング液が残らないようにするための工夫です。
液を付ける場合はボトルから直接1滴ずつシルボン紙に垂らしても良いのですが、よりよい方法としてはハンドラップと呼ばれる微量液体抽出ビンを使用するとより作業性が上がります。
■イメージセンサークリーニングキット(ローパスフィルター)
撮像素子のローパスフィルターに付着したゴミの清掃にはクリーニング液とシルボン紙を使う方法の他に、PENTAXなどから出ている専用のスティック状クリーナーを使用する方法もあります。
クリーニング液とシルボン紙で清掃する方法はやや面倒な部分やテクニックを要するのに対して、こちらのスティックは通称「PENTAXのぺったん棒」と呼ばれており、単にローパスフィルターをペタペタしてはゴミ取り用の紙で棒を掃除、またローパスフィルターにペタペタを繰り返すことで、粘着力のあるスティック先端部がゴミを吸着することでローパスフィルターに付着したゴミを除去するというものです。
方法がシンプルなためにテクニックはほとんど必要なく非常に人気のある商品ですが、PENTAXが自社カメラ用に発売しているもので、PENTAX機以外での使用は推奨されていません。
機種によってローパスフィルターや撮像素子の種類や取り付け方が違うため、上手くゴミや汚れを吸着出来なかったり、逆にぺったん棒の吸着力の方が強いためにセンサーを痛める可能性もあるので対応機種は確認した方が良いでしょう。
イメージセンサーについては掃除する場合自信がなければメーカーのサービスセンターに持ち込むのが確実かつ安全です。ご自身でやる場合は完全に自己責任となりますから、その点を十分に理解した上でクリーニングを行いましょう。
特にブロアーのようなリスクが少ない方法以外は本来はできればサービスセンターに持ち込むのがオススメです。
■レンズペン(レンズ)
レンズペンは先端にセーム革がついており、そこにカーボン粉末が付着しています。このカーボン粉末が汚れを除去し、静電気の発生を抑えます。
レンズペン先端は凸レンズの湾曲に沿うように湾曲しており、効率良く周辺部までクリーニングしやすくなっています。
先端部にカーボン粉末を使っているということでレンズにカーボンの粉が付着するのではないか?と思われる方もおられるでしょうが、カーボンの粉はレンズに付けることはほぼ不可能で、レンズに鉛筆で書こうとしてもカーボンの粉が付着せず書けないのと同じように、レンズペン先のカーボン粉末がレンズに付着することはまずないようです。
カーボン粉末はレンズの絞り羽根の滑りを良くするために使用されていたこともあり、レンズに付きにくい素材なのでしょう。
清掃方法はいたって簡単で、セーム革チップの反対側のヤギの毛のブラシで大きなホコリを払い落としてから、セーム革チップでシルボン紙のようにレンズの中心部から円を描くように外側に回しながら汚れを拭き取っていきます。
多くのレンズは前玉(レンズ被写体側の一番前にあるレンズ)が凸レンズまたはメニスカスレンズとなっていますが、凹レンズの場合もあり、その場合フィット感は多少落ちますが使用自体は可能です。
■クリーニングキット(カメラ、レンズ全般)
バラバラに揃えるのが面倒という方は、セットになっているクリーニングキットがありますからそちらを買ってしまうのも手です。
何と言っても定番品はNikonのクリーニングキットプロ2 CK-P2です。
クリーニングキットプロ2 CK-P2 セット内容
説明用DVD:カメラボディー、レンズ、イメージセンサー等の清掃方法や手順、注意点が詳しくわかりやすく解説されています。
ブロアー:カメラやレンズに付着したホコリやゴミを吹き飛ばすために使用します。
ブラシ:ボディー等に付着した大きなゴミを取り除くために使用します。
シルボン紙:レンズ、フィルター面に付いたブロアーでは落とせない汚れを取るクリーニングペーパーです。別売のクリーニング液や無水エタノールを染み込ませて使用します。
クリーニングスティック:シルボン紙を巻き付け、クリーニング液を使用してレンズやイメージセンサーをクリーニングします。
ハンドラップ:クリーニングに使用するクリーニング液や無水エタノールを入れる容器です。頭部を軽く押し下げるだけで、微量の液体が出せる仕組みのため、作業が楽に行えます。
クリーニングクロス:カメラボディーやレンズのクリーニングに使用します。使いやすいハンカチサイズです。
となっています。
これにクリーニング液か無水エタノールを別途購入すればほとんどのカメラの清掃は行えます。
何と言っても使い方のDVDが秀逸で、Nikonのプロサービスマンによる解説を見ながら正しいメンテナンス方法を学ぶことができます。深い知識と経験がある方たちの解説は参考になること間違いなしです。
■カメラのメンテナンスは撮影へのモチベーションを高める
というわけで、最後にNPS(Nikon Professional Service)によるD4Sの分解と組立ての鮮やかな手際を見ながらお別れしましょう。ではまた明日〜!
画像:Amazon
Reported by 正隆