皆さんウェアラブルカメラやアクションカムを持ってますか?最近GoProの経営状態が悪化しているとのニュース報道が各所で流れていますが、なぜウェアラブルカメラは話題になることは多くても実際使っている人をほとんど見かけないのか不思議ですよね。
今日はそんなアクションカムの最大手、GoPro苦戦の理由について考えてみます。
■GoProの現状
GoProは2015年Q4(第4四半期)の業績が下回ることを発表しており、連日株価が低迷しています。前年同月比で大幅な売上高減というのが株価低迷の原因であり、GoProの出資者たちはカメラ販売の拡大と新たな収益プランを産み出すことを求め続けていますが、現状好材料がないといった状態です。
加えて先日GoProは1500人の従業員中7%の人員削減を行うことも決定していて、この2年間で50%も社員を増やしたことが負担となっている格好です。リストラ費用として500万ドルないし1000万ドルのコストが必要とのこと。
GoProが株式を公開したのは2014年のことで、35ドルの株価があっという間に89ドルまで上昇しました。しかしそこを天井に徐々に株価は低迷を続け、数週間のうちに資産価値を半分に減らすような状況もありました。
また最新の機種となるHero 4 Sessionの売り上げが前機種ほどに伸びていないことも苦戦の要因となっています。
先週開催されたCES 2016の席上でGoProは新製品は何も発表しておらず、更に今回、1年を通じて商品がもっとも売れる10~12月期の業績が前年同期比で大幅減となったことが判ったことを受けて、市場ではGoProの経営不安説が流れ始めています。
GoProは小型軽量でスポーツ撮影に対応したビデオ映像を撮影することができるウェアラブルカメラを業界で初めて市場投入することでこれまで先行利益を独占してきました。
しかし市場では昨年あたりからこの市場がドローンに流れる状況が続いており、GoProが付けていた地位をドローン大手のDJIに奪われる状況となっています。
DJIは昨年3軸制御のスタビライザーを装備した4K対応のウェアラブルカメラを市場投入しましたが、こうしたカメラはGoProは販売はしてはおらずGoProは業界首位の座をDJIに奪われつつあります。
■ウェアラブルカメラやアクションカムはなぜ頭打ちになったのか?
客観的なデータはさておき、ここからは私の勝手な想像ですが、なぜウェアラブルカメラは流行らないのでしょうか?
言葉だけはよく聞きますし、YouTubeでもエクストリームスポーツの凄まじい映像を見かけることも多いのですが、実際身の回りで使っている人いますか?ほとんどおられないのではないでしょうか。
派手な映像ばかりが先行していますが、私も含め多くの一般人はYouTubeで見かけるような命がけのスポーツ映像を撮ろうとは思いませんし、そもそも出来ません。
では日常的な使い方をして面白いのか?ということですが、面白いかどうかは別にして、ウェアラブルカメラで撮影した動画を保存し見返すというのは結構手間で苦痛なのです。
日常的な動画であれば、スマホが最も手軽ですし、お子さんの運動会などであればズームの利くビデオカメラが最適でしょう。
またウェアラブルカメラでも日常の映像を撮影することも可能ですが、ああも派手なエクストリームスポーツの映像ばかり見せられたのでは、「ウェアラブルカメラやアクションカムは一部のプロスポーツ選手の映像を記録するためのもので、平凡な日常を記録して楽しむものではない」、という先入観が出来てしまいます。
GoProのCEOであるニック・ウッドマン氏は、「GoProで日常の思い出を記録し楽しんで欲しい」という発言をされていましたが、多くの人にとってそれはハンディカムのようなズームの利く小型ビデオカメラのイメージが定着しています。
それに対してウェアラブルカメラやアクションカムは、「エクストリームスポーツなど非日常を本人の目線で記録するためのもの」というイメージが付いてしまっています。
そのため映像だけはよく見かけるが、自身には縁遠いものとして認識されているように思います。一時的に衝撃的な映像で話題にはなっても、そこから先、世間一般に広がっていく力がないのではないかと考えています。
それは今話題のドローンも同じで、これから先ウェアラブルカメラやドローンが、一般的なスチールカメラやビデオカメラと同じように長く生き残るためには「自分や身内で楽しむための日常を撮るために使うもの」といった地味な方向性での広告戦略が必要なのではないかと思います。
■でもやっぱりエクストリームスポーツですよね
というわけで、今後もGoProにもDJIにも、エクストリームスポーツなど凄い映像を見せて頂きたいなと思う次第です。
参考:businessnewsline,techcrunch
動画:YouTube
Reported by 正隆