今日は国内の主要カメラメーカーの特長をまとめてみました。果たしてそれぞれのメーカーはどのような特長を持っているのでしょうか?
どのメーカーがどんな被写体を撮影するのに向いているのでしょうか?長所短所を両面から見ていきたいと思います。メーカー選びにお迷いの方の参考になればと思います。
■キヤノンの特長
キヤノンのここがイイ!
- シェアNo.1でアクセサリーの購入などが容易
- ボディ&レンズ&アクセサリーのラインアップが豊富
- サードパーティ製レンズ&アクセサリーの豊富さ
- オートフォーカスが非常に速い
- 判りやすい操作性
キヤノンのここがダメ!
- イメージセンサーの性能で他社に遅れている
- マゼンタ(赤)被り傾向のホワイトバランス
- コストパフォーマンスが悪い
- オートフォーカスの精度がイマイチ
- 初心者向けモデルは機能が大幅に省かれている
キヤノンが向いている被写体
- お子さんの運動会
- プロスポーツ
- モータースポーツ
- 結婚式(ブライダル)
- 女性ポートレート
- 野鳥
キヤノンってどんなメーカー?
キヤノンは1937年設立のフィルム時代から長い歴史を持つカメラ・映像機器などを主力とするメーカーで、現在は売上の主力はOA機器へと移っていますが、デジタルカメラの分野においても世界・国内共にシェアNo.1(2016年現在)のカメラメーカーです。
コンパクト・ミラーレス・一眼レフなどフルラインアップしており、プロ・アマ問わず多くのフォトグラファーに愛用されています。
さまざまなプロの現場でも広く使用されており、特にブライダル・ポートレート・スポーツの分野に強く、オリンピック報道では毎回ニコンとしのぎを削る争いをしています。
またエントリークラスのEOS Kissシリーズはパパママに絶大な時々を受けており、レタッチなしでお子さんを綺麗に撮りやすい、運動会に強いオートフォーカスの速さなどの特長を生かし、エントリーユーザーにも人気があります。
■ニコンの特長
ニコンのここがイイ!
- ボディ&レンズ&アクセサリーが豊富
- 精度の高いオートフォーカス
- サードパーティ製レンズ&アクセサリーの豊富さ
- 実物に忠実なホワイトバランス
- 細かい操作カスタマイズが可能
ニコンのここがダメ!
- 実物に忠実すぎるホワイトバランス
- 分かりやすそうで実は複雑なマウント規格
- ライブビュー時のオートフォーカースの遅さ
- 分かりにくい型番
- 初心者にはとっつき難い操作系
ニコンが向いている被写体
- 風景
- 男性ポートレート
- 商品(ブツ撮り)
- 建築物
- 乗り物
- 野生動物
ニコンってどんなメーカー?
ニコンは1917年設立の非常に長い歴史を持つ光学機器メーカーで、もともとは軍事用光学機器などを製造していましたが、戦争の終結と共にその主力をカメラ及び半導体露光装置へと移していきました。
キヤノンと共にカメラ業界の2強と呼ばれ、プロ・アマ問わず多くのフォトグラファーに愛用されています。
質実剛健でタフなカメラとして有名で、従軍記者などにも愛されました。現在では風景・報道・建築などの分野を中心に多くのプロカメラマンに使用されています。
実物に忠実かつ高精細な画質がハイアマチュアやプロカメラマンに評価が高く、またフィルム時代からNASAの公式カメラとしても使用されており、過酷な環境で撮影を行うネイチャーフォトグラファーにも人気があります。
■ソニーの特長
ソニーのここがイイ!
- 世界最先端のイメージセンサー
- ミラーレス最速のオートフォーカス
- 高い動画撮影機能
- ミラーレスメーカーで数少ないフルサイズ機が選べる
- 小型軽量化が得意
ソニーのここがダメ!
- モダンなデザインだが突き抜けきれていない
- マーケティングがお粗末
- 高級高画質なレンズはあるが安くて写りの良いレンズが少ない
- アクセサリーが少ない
- プロ機がない
ソニーが向いている被写体
- ポートレート
- 夜景
- 動画
- スナップ
ソニーってどんなメーカー?
ソニーは世界最先端の半導体開発技術をもったメーカーで、イメージセンサーの分野においても突出した開発力と世界トップのシェアを有する企業で、現在のデジタルカメラに使用されている撮像素子の多くはソニー製となっています。
裏面照射型CMOSイメージセンサー、積層型CMOSイメージセンサーなど、数々の革新的な撮像素子を開発・製造しており、その性能において他社を圧倒しています。
世界初のフルサイズミラーレス機を発売したことでも知られており、数多くのハイアマチュアに愛されています。
プロカメラマンの市場では現在はあまりシェアを獲得できていませんが、近年プロサービスを始めたこともあり、少しずつプロカメラマンにも使用されています。
その高いイメージセンサー開発力を生かして、高精細なモデルや暗所に非常に強いカメラなど、さまざまなコンセプトを打ち出していますが、同時に民生用・業務用ムービーカメラにも非常に強いメーカーで、静止画のみならず動画撮影機能でも業界屈指の技術力を持っています。
■オリンパスの特長
オリンパスのここがイイ!
- 強力な手振れ補正
- 豊富なレンズラインアップ
- 防塵防滴機種の豊富さ
- デジタルフィルターの充実度
- 水中ハウジングの充実度
オリンパスのここがダメ!
- 見た目重視の戦略
- 小さいセンサーサイズ
- 暗所撮影に弱い
- 動画撮影機能で他社に遅れている
- シャープネスが強すぎる画質
オリンパスが向いている被写体
- スナップ
- 自撮り
- 日中の野生動物
- 昆虫
- 水中
オリンパスってどんなメーカー?
オリンパスは長い歴史を持つ光学機器メーカーで、医療分野でも高いシェアを誇っています。
一眼レフ時代はニコン・キヤノンの強さに苦戦させられましたが、もともと小型カメラの開発が得意であり、ミラーレスの登場と共に一気に躍進しました。
またカメラ女子ブームの火付け役でもあり、宮崎あおいをイメージキャラクターとして起用したことで、それまでレンズ交換式カメラをあまり買わなかった女性層に大幅に広く浸透しました。
クラシックカメラを現代的に昇華したデザインで男女問わず人気があり、またボディ内手振れ補正の高い技術力も売りとなっています。
■パナソニックの特長
パナソニックのここがイイ!
- 動画性能が高い
- 動画からの静止画切り出しや優秀
- 小型軽量
- レンズが豊富
- 自撮り撮影対応機種が多い
パナソニックのここがダメ!
- モダンにもクラシックにもなりきれないデザイン
- 動画性能に力を入れすぎている
- 小さいセンサーサイズ
- アクセサリーが少ない
- 本格的な静止画撮影モデルがない
パナソニックが向いている被写体
- 動画
- 自撮り
- スナップ
パナソニックってどんなメーカー?
パナソニックは1917年設立の長い歴史を持つ世界的な大手電機メーカーですが、デジタルカメラ・デジタルビデオカメラの販売にも力を入れており、世界で初めてミラーレスカメラを発売したメーカーとしても知られています。
現在のパナソニック機の特長はその高い動画撮影機能にあり、4K動画に加えて4K動画から静止画を切り出す4Kフォトが高い評価を受けています。
またドイツの老舗カメラブランドであるライカとの協業でも知られており、ライカへのカメラボディのOEM供給や技術提供、ライカの認証を得たライカブランドのレンズをラインアップしていることでも有名です。
画質面では動画及び動画からの切り出し静止画の質が高く、動画で撮影し良い瞬間を静止画として切り出すという先進的な発想で注目を集めるメーカーです。
■ペンタックスの特長
ペンタックスのここがイイ!
- 自然風景を鮮やかに写しやすい
- ボディ内手振れ補正
- 防塵防滴対応機種が多い
- 上質なファインダー
- リアル・レゾリューション・システムによる高い解像感
ペンタックスのここがダメ!
- ボディの選択肢が少ない
- サードパーティ製レンズが少ない
- オートフォーカスが弱い
- アクセサリーが少ない
- 開発ペースが遅い
ペンタックスが向いている被写体
- 天体
- 自然風景
- 建築物
- 山岳
ペンタックスってどんなメーカー?
1919年設立のペンタックスは当初から光学製品の開発メーカーとして発足しましたが、日本初の35mm判一眼レフを発売したことでも知られています。
アサヒペンタックスなどのヒット商品を生み出し隆盛を誇りましたが、デジタルカメラ時代になって経営状態が悪くなったことでHOYAに買収され、その後RICOHを親会社として現在はブランド名としてカメラを販売しています。
根強いファンに支えられ、デジタル中判カメラ、ミラーレスなどへの進出も行い、近年では主力である一眼レフも念願のフルサイズ機の開発によってシェアを徐々に盛り返しています。
画質面では自然風景を鮮やかに写す傾向があり、ボディ内手振れ補正を利用したリアル・レゾリューション・システムによる高い解像感を売りとしています。
■フジフイルムの特長
フジフイルムのここがイイ!
- 血色の良い肌色再現
- クラシックカメラのような操作性
- 写りの良い単焦点レンズのラインアップ
- 色モアレの出にくい独自カラーフィルター
フジフイルムのここがダメ!
- 遅いオートフォーカス
- ミラーレスにしては大柄なボディ
- アクセサリーが少ない
- サードパーティ製レンズが少ない
- フルサイズの無いラインアップ
フジフイルムが向いている被写体
- 女性や子供のポートレート
- 料理
- 夜景
フジフイルムってどんなメーカー?
1934年設立のフジフイルムは写真用フィルムの開発・販売のメーカーとして成長しました。
デジタルカメラ時代に入ってからはニコンからボディのOEM供給を受け、デジタル一眼レフの販売も行っていましたが、近年ではミラーレス機のシリーズへとその戦場を変え、クラシカルなデザインと操作性を取り入れたシリーズが古くからのカメラファンを中心に人気を博しています。
画質面ではフィルム時代から培った色表現の評価が高く、特に肌色の表現においては他社の追随を許しません。オートフォーカスは強くありませんが、動きの少ないお子さんや赤ちゃんを撮影するにはその肌表現から非常に綺麗に写すことが可能です。
また単焦点レンズの開発に意欲的で、電子ダイヤルではありますが絞り環を配するなど、クラシックカメラの操作性に慣れ親しんだ方にも高評価を受けています。
■結局どこのメーカーを選べばいいのか?
どのメーカーでなければ良い写真が撮れないといったことはありません。アクセサリーなどの充実度を考えるとプロカメラマンを目指すのであればニコンかキヤノンがオススメです。
しかしそれ以外のメーカーでもプロカメラマンはいますし、趣味で撮影されるのであれば尚更メーカーにこだわる必要なないでしょう。
それぞれのメーカーに得意ジャンルがありますから、上記の特長を参考に、ご自身のフィーリングや好みでお選び頂ければと思います。
Reported by 正隆