フォトマスター検定の予想問題です。合格目指してさっそく問題です!フォトマスター検定勉強法も掲載しています。
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合格目指してさっそく問題です!
難易度:1級レベル
問:ストロボ同調最高シャッタースピードが1/250秒までのカメラを使用し、遮光され室内灯なども消した状態のスタジオでモノブロックストロボの光だけを使用して撮影した。
ストロボの発光量やISO感度、絞り、撮影距離など他の撮影条件を変えなかった場合、シャッタースピードが1/60秒と1/250秒の場合で露光量はどうなるか?次の中から選べ。
① シャッタースピード1/60秒の方が明るく写る
② シャッタースピード1/250秒の方が明るく写る
③ シャッタースピードが1/60秒でも1/250秒でも露光量は同じ
正解はこのあとすぐ!
■正解は①(シャッタースピード1/60秒の方が明るく写る)
※2021年08月19日加筆
現在では技術革新により大型ストロボの有効閃光時間が大幅に短縮されてきており、この記事が執筆された時とは状況が大きく変わってきました。
そのためこの記事の内容が当てはまるケースもあれば、当てはまらないケースも出てきているため、①と③の両方を正解とします(②になることはありません)。
この記事本文の内容は古いタイプの大型ストロボのみに該当し、また今後はそうしたストロボも寿命を迎え新しいストロボと切り替わっていくため、参考までにとどめておいて頂ければと思います。
大型ストロボの落とし穴
一見すると環境光の影響がない場合、ストロボの設定が同じであれば、シャッタースピードが異なってもシャッター幕が全開の状態で行われるので露光量は変わらないように思います。
この理屈そのものは間違いではありませんが、実は一般的な大型ストロボの閃光時間はクリップオンストロボほど速くないために、シャッタースピードに応じて露光量に変化が起きます。
その大型ストロボの閃光時間による影響を表す指標として「有効閃光時間」や「総閃光時間」といったものが使われます。
ストロボの「閃光時間」と「有効閃光時間」とは?
ストロボでは「総閃光時間」と「有効閃光時間」という2つの基準があり、総閃光時間の事をT 0.1、有効閃光時間の事をT 0.5と表記しています。
- 総閃光時間(T 0.1)→最大光量の10%を超えてから、再び10%まで落ちるまでにかかる時間(最大発光量の10%以上で光っている時間)
- 有効閃光時間(T 0.5)→最大光量の50%を超えてから、再び50%まで落ちるまでにかかる時間(最大発光量の50%以上で光っている時間)
この発光量の変化をグラフにしたものが上図の「フラッシュカーブ特性図」となります。
上の図で表されるように、ストロボのフラッシュ光は一定ではなく、最初が強く徐々に弱くなり、やがてゼロになります。
閃光の全てを利用できないので露光量が変わる
機種によって閃光時間の違いはあるものの、一般的に大型ストロボの閃光時間はクリップオンストロボよりも長く、シャッタースピードを1/250のように速く設定してしまうと発光が全て終わらないうちにシャッター幕が閉じられてしまいます。
そのため速いシャッタースピードではストロボ光の光量をロスしてしまうことになり、遅いシャッタースピードに設定した場合と比較して露光量が減ってしまうというわけです。
そうした理由から、スタジオポートレート撮影などで大型ストロボを使用する場合は、カメラのストロボ同調最高シャッター速度が1/250秒であったとしても、シャッタースピードを1/125秒程度で固定して撮影するのが一般的な撮影手法となっています。
極端にシャッタースピードを遅くすると?
「それならいっそ、ストロボ光のロスを防ぐためにもっと遅く、1/30秒や1/15秒でも良いのでは?」と思われるかも知れませんが、実際のスタジオは外光や環境光を完全にカットしているとは限りません。
作業性を考慮して室内灯を(照度を落として)点けたまま撮影するのも現実にはそれほど珍しいことでもありませんし、ハウススタジオのようなそもそも外光を完全にカットすることが難しいスタジオも多々あります。
そうした場合、極端に遅いシャッタースピードではストロボ発光が終了した後の露光時間中に室内灯や外光がライティングに影響を与えたり、それらの光によって被写体ブレが写し込まれてしまう場合もあります。
そのためストロボ光のロスを防ぐということと、環境光によるライティングや被写体ブレ・手ブレの影響を抑えること、その両方を考慮しバランスをとったシャッタースピードが1/125秒程度というわけです。
現在ではアイキャッチ画像になっているbroncolorやProfotoなど一部の高級メーカーから、ストロボ光の総閃光時間と有効閃光時間を近づけ、速いシャッタースピードでも設定値に出来るだけ近い発光量を得られるように配慮された大型ストロボも徐々に登場してきています。
Reported by 正隆