オリンピックに挑むプロスポーツカメラマンはニコンD5をどう見たのか?

ニコンフラッグシップ一眼レフ、D5が発売されましたが、ニコン公式の「ニコンを極める vol.21」にプロスポーツカメラマン、岸本勉さんのインプレッションが掲載されていましたのでご紹介します。



■岸本勉さんの撮影機材


使用ボディとレンズ

岸本勉さんは現在ボディはD5を使用しているとのことですが、良く使うレンズは、

岸本さんによると、基本は望遠レンズですが、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDは陸上競技をあおって撮影する場合に使い、小さな大会ではAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR IIAF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VRを使用するとのこと。

またAF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gは選手のポートレート用として使うそうです。

ボディとレンズをどう組み合わせるか?

ボディはD5を3台も使い、

といった組み合わせでセットし、両肩に下げて持ち運ぶそうです。また大口径超望遠レンズに関しては一脚を付けて撮影するそうです。

■プロスポーツカメラマンがカメラボディに求めること


スポーツ撮影向けのカメラとは?

岸本さんがスポーツ撮影で使用するカメラを選ぶ上で重視するポイントは、

  • 被写体を追える「オートフォーカス」
  • 選手の動きや表情が良く見える「ファインダー」
  • 速いシャッタースピードを切るための「高感度性能」

とのことです。

D5を使用してみた際のオートフォーカスの印象

通常はエリアモードのダイナミックAF(25点)を使用しているとのことで、D4Sから大幅に測距点が増えたことで、D5ではピンと抜けがほとんど起こらないとのこと。

またレンズを振って被写体を変更するような動作を行っても、AFは迷うことなく被写体を補足してくれるとのこと。

撮影の7-8割はダイナミックAFを使用し、水泳競技のように水しぶき越しに選手の顔にピントを合わせたい時は、シングルポイントAFを使用するそうです。

オートエリアAFは侮れない!

岸本さんによると、D5のオートエリアAF(カメラが自動で測距点を選択するモード)はD4Sから格段に良くなっているということで、選手の顔が見える状況であれば、測距点選択をカメラ任せにするオートエリアAFで問題ないそうです。

これはフィギュアスケートのアイスダンスや空中ジャンプするようなシーンでも捉えてくれるそうです。

D5のファインダーのキレはD4S以上!

岸本さんは2週間ほどD4SD5を併用したそうですが、D5のファインダーはD4Sよりもファインダー像の消失時間が格段に短く感じるとのことで、言い換えればそれだけ長い間選手の動きや表情を見続けられるとのこと。

しっかりと追いかけている感覚がある分撮りやすかったそうです。

シャッタースードはどの程度に設定されているか?

意図的に被写体をブラしたり流したりする場合は、シャッタースピードを遅くすることもあるそうですが、通常の撮影では1/1600〜1/2000秒に設定しているとのことです。

その際、高感度に非常に強いD5は、躊躇なく感度を上げられるため十分なシャッタースピードを稼ぐ事が出来るとのこと。

■岸本勉さんのプロフィール


岸本勉(きしもと つとむ)
  • 1969年生まれ、東京都出身。
  • 1990年、スポーツ写真を撮り始める。
  • 1992年スポーツ・フォト・エージェンシー(株)フォート・キシモト入社。
  • 2003年退社後に事務所 PICSPORT(ピクスポルト)を設立。
  • 主にサッカー、陸上/マラソン、フィギュアスケート、スキー(ジャンプ、クロスカントリー)等、オリンピックスポーツを中心にさまざまな環境下でスポーツを撮影。
  • 夏季・冬季オリンピックはともに1992年アルベールビル、バルセロナ両大会から2012年のロンドン大会まで、サッカーのFIFAワールドカップは1994年のアメリカ大会より2014年のブラジル大会まで連続取材。
  • ほかに世界フィギュアスケート選手権、世界陸上、世界水泳、世界柔道、世界体操、アジア大会、サッカーアジアカップなどさまざまな国際大会を取材。
  • 2015年ロシアのカザンで開催された世界水泳選手権ではオフィシャルフォトグラファーを務めた。

「THE MOMENT」FINA / Nikon GALLERY 2015

国際スポーツプレス協会 会員(A.I.P.S.)
日本スポーツプレス協会 理事(A.J.P.S.)

画像:Nikon

Reported by 正隆