カメラマンは儲かる?122人のプロカメラマンの年収を調査してみた

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写真教室や撮影の仕事をしていると、お客様とある程度打ち解けた際などに「カメラマンって食っていけますか?」と聞かれることがあります。

果たしてカメラマンはどの程度儲かるのでしょうか?カメラマンになりたい、あるいは単に興味があるという方も多いかと思います。

今日はコーマシャルフォト2015年2月号に掲載されていた、フォトグラファー白書2015を参考に、カメラマンの年収をご紹介したいと思います。

またそれに合わせて各年収ゾーンでのフォトグラファーがどのような活動をしているかをお話ししたいと思います。



■フォトグラファー122人の年収分布図


まずは122人を対象に調査された年収の分布を見てみましょう。

単位は万円
200未満 200-400 400-600 600-800 800-1000 1000-1500 1500-2000 2000以上
5% 19% 16% 16% 16% 17% 5% 5%

年収200万円未満:5%

まずは200万円以下が5%ということですが、年収が200万円以下の場合生活が厳しい時があるのは事実ですが、フリーになりたてのカメラマンやアシスタント的な立場では決して珍しくありません。誰しもここからスタートであると考えても良いでしょう。

カメラマンとしての収入で年収200万円程度あれば、一人暮らしや実家暮らしであれば生活は可能です。

また仮にカメラマンとしての年収が100万円以下だったとしても、アルバイトなどを掛け持ちで食い繋ぎながら一人前のカメラマンを目指すのも良いでしょう。

年収200-400万円未満:19%

次に200-400万円未満のゾーンですが、一気に増えて19%となります。これは今回の調査で最も該当者が多いボリュームゾーンとなります。

200-400万円が最も該当者が多いというのは夢も希望もない職業と感じるかも知れませんが、大きな仕事をする必要はなく単価の安い仕事でもコンスタントにこなせれば達成できる金額であることを考えると、実際には多くのカメラマンが仕事を得ること自体に苦戦している現実が伺えます。

年収400-600万円未満:16%

こちらもボリュームゾーンと言って良く、日本の民間企業給与所得者の平均とも一致する状態になります。カメラマンとしてもコンスタントに仕事があり、家庭を持つことも十分に可能です。

一見地味なように見えても、自分の力で生活を成り立たせ、まして家庭を支えているのならそれだけで誇れることであると私は思います。

さらにステップアップするためには、より大きな仕事を受けていく必要があり、それに対応出来る高い技術の習得やポートフォリオの充実、営業活動の重要性などが増してきます。

この年収帯は安定した仕事をこなしている状態ですが、ステップアップするためにはさらなるチャレンジが必要になります。

年収600-800万円未満:16%

生活に余裕が出てくるレベルで、年収面ではフリーカメラマン全体平均よりも上に位置します。このあたりに達するころには、カメラマンとしてやっていけるノウハウと自信が十分に身についているでしょう。

謂わゆる「社カメ(会社に従業員として所属するカメラマン)」の場合はこのあたりが一般的な上限かと思います。

フリーのカメラマンとしても仕事が充実していると感じられ、複数スタッフの共同作業による案件などを安定して受け始めます。またフリーカメラマンの場合、適切な節税を行うことも効果的です。

年収800-1000万円未満:16%

カメラマンとしてその撮影ジャンルではそれなりに名前が知られるようになります。十分な機材を揃えられ、希望すれば自前のスタジオを構えることも可能です。

頻繁にスタジオ撮影を行うカメラマンであれば、自前のスタジオがあることで撮影効率や利益率が上がる場合がありますが、固定費が増えるためそのあたりはしっかりとした経営計画が求められます。

またスタジオが空いている日は、レンタルスタジオとして貸し出すという方法も一般的です。

年収1000-1500万円未満:17%

年収1000万円の大台を超えるゾーンです。潤沢な機材を揃え、必要であれば自前のスタジオを経営したり、場合によってはアシスタントやスタッフを雇うことが可能です。

このあたりになると単にたくさん仕事を受けるというだけでは達成するのが難しく、単価の高い仕事をこなしていく必要があります。年収1000万円以上は全体の27%ということで、おおむね4人に1人ということになります。

データによると1000-1500万円未満のゾーンに該当するのは17%ということで、600-800万円未満や800-1000万円未満の16%よりも増えています。

2014年度の調査では200-400万円未満をピークに年収が上がるほどに割合が減る傾向にありましたが、今回の調査では200-400万円未満のゾーンがピークであることは変わらないものの、800-1000万円未満のゾーンもわずかながら増加しており、カメラマンの年収が二極化傾向にあることが伺えます。

このあたりの年収ゾーンになると法人化している人も増えてきます。法人化すると手間も増えるため、節税効果などの法人化するメリットと労力などのデメリットを総合的に判断して決めると良いでしょう。

年収1500-2000万円未満:5%

医師並の年収ということですが、カメラマンでこのレベルの収入を得ることが出来るのは現実には一握りになります。自身が所属する撮影ジャンルでトップクラスでなければこのあたりまでは到達することが出来ません。

また撮影技術だけでなく、撮影スタッフを取り仕切る手腕も求められるようになります。法人化のメリットが大きくなるため、節税のために法人化するカメラマンが過半数となります。

年収2000万円以上:5%

2000万円オーバーというと、開業医並みの年収となりますが、カメラマンとしては一般的な撮影業務だけではまず達成することが出来ません。

どういったものかというと、有名な製品や企業の大掛かりな撮影業務を日常的に行う、または著書が多数ありカメラ・写真系の書籍として常に売り上げ上位にある、スタジオを複数経営し利益を上げている、といったカメラマンがこの年収ゾーンに属すかと思います。

このあたりになると有名なカメラマンが多くなり、写真業界関係者ではない一般の方にもそれなりの知名度がある人が増えてきます。

■カメラマンは食っていけるのか?


フリーカメラマンの収入源

私の個人的な意見として、カメラマンは人並みに努力すれば十分に生活可能な職業だと思っています。また歳をとっても、写真教室やスタジオの経営などで安定した収入を得ることは可能です。

しかし技術だけ、営業力だけというのでは難しく、その両方が求められるのがフリーカメラマンの難しい部分かも知れません。単に写真が上手い人や営業に慣れているという方は世の中に沢山おられますが、どちらか片方ではやっていくのは難しいでしょう。

ちなみに私の場合、

  • 撮影業務
  • 写真教室
  • 著作権料
  • カメラや写真関係の記事執筆
  • サイトの広告収入

などが写真関係の収入源となります。写真作品のパネル作品やグッズによる著作権料はある程度安定した収入があるものの、他の収入に関してはその年やシーズンごとにかなり変わってきます。

一つにかけるのは潔い美学だとは思いますが、さまざまな収入源を確保するのも安定した生活を得るための一つの手段ですから、「撮影業務以外は絶対にやりたくない」とか、「写真作家として作品撮り以外は絶対にやりたくない」といった事でなければ、出来るだけ多くの収入源を確保しておくのがオススメです。

写真業界の現実

カメラマンがそれなりに生活していける仕事であると言っても、やはり開業医のような高収入で有名な職業ほど年収の平均値は高くありません。

金持ちになるためにカメラマンを目指すのは効率的な考え方とは言えませんし、華やかな世界と勘違いされがちですが現実のカメラマンは華やかな仕事でもありません。

撮影前の多くの打ち合わせや、撮影後のレタッチや納品作業、金銭管理など、カメラマンは撮影だけやっていれば良いという仕事ではありません。

しかし自由時間が多いことや、好きなことを職業に出来る部分では楽しくまたやりがいのある仕事です。そして自らのアイデアを実践出来るというのも、自営業ならではの魅力と言えるかも知れません。

フリーカメラマン向きの体質

私はサラリーマン経験がありますが、良いアイデアがあっても実践させてもらえないという経験を沢山してきました。今となってはそれが本当に良いアイデアであったのか確かめる術はありませんが、そういったことは私に限らず世の多くのサラリーマンが経験していることかと思います。

フリーカメラマンになって最も良かった点は、こうすればもっと良くなるというアイデアを、会社や上司の許可なく次々と実践していける事でした。

逆にそういった「次の一手」を考えることが嫌いな人に自営業は難しく、フリーになっても仕事がこない、あるいは最初こそサラリーマン時代のコネで仕事があっても、徐々に仕事が来なくなり謂わゆる茹でガエル状態に陥ってしまって、気がつけば困窮してしまうというのがありがちなパターンです。

カメラマンは一部の業種のように「業界全体が食えない」といったことはありませんが、逆にバブリーな業界でもありません。アンケート結果からも分かるように、実に平均的な収入の業界です。

多くの自営業者がそうであるように、フリーカメラマンもやっていける人とそうでない人がおり、「こうすればより良い撮影が出来るのに」とか、「こうすればもっと業績が伸びるのに」というアイデアが溢れて仕方がない人がフリーカメラマン向きと言えるのかも知れません。

参考:コマーシャルフォト

Reported by 山﨑将方