デジタルカメラの画質は本当にフィルムカメラを超えたのか?

フィルム vs デジタル

on landscapeに、アマチュア写真家ティム・パーキンさんによるデジタルカメラvsフィルムカメラの画質対決記事が掲載されていました(と言っても2年前の)のでご紹介します。

フルサイズデジタル一眼レフ、デジタル中判、中判フィルムカメラ、大判カメラの画質比較、その驚きの結果やいかに!?



■チャート比較:フルサイズ vs 中判デジタル vs 中判フィルム(6×7cm)vs 大判フィルム(4×5インチ)


フィルム vs デジタル

記事は2014年12月のものであるため、使用機材はニコンD800E、PHASEONE IQ180とMamiya 7(FUJIFILM PROVIA,Velvia,ADOX CMS 20)と大判カメラ(EBONY?)と(FUJIFILM Velvia)が使用されています。

チャート撮影における解像力テストでは、36.3MPのD800Eはテスト機の中で最も早く解像限界を迎えており、モアレが盛大に発生しています。次にPHASE ONEのIQ180ですが、こちらも偽解像が発生し一部横線が縦線に変化してしまっています。

次に6×7フィルムを使用するMamiya 7ですが、カラーフィルムであるFUJIFILMのProviaでは色モアレなどは発生しなためD800EやIQ180と比較すると自然に見えますが、結局のところ解像は出来ておらず潰れてしまっています。

同じくMamiya 7でモノクロフィルム「CMS 20」を使用した場合、解像力は一気に高まり、Proviaを使用した大判の4×5インチ(シノゴ)を上回るほどの高い解像感を示しています。ADOX CMS 20は世界屈指の解像力(粒状性)を持つと言われるモノクロフィルムで、6×7判(Mamiya 7:56×70mm)と6×4.5判(IQ180:53.7×40.4mm)という違いはあるものの、同じ中判でありながら明確に中判デジタルバックのPHASEONE IQ180や6×7判のProviaを上回っています。

フィルム vs デジタル

D800E及びPHASEONE IQ180は画素数通りの高い解像力を示していますが、大判フィルムの4×5インチ(シノゴ)や8×10(バイテン)はフィルムとスキャニング次第では、4×5インチで300MP(3億画素)相当以上、8×10で600MP(6億画素)相当以上にも達しています。

ちなみにフィルムのスキャンにはドラムスキャナを使用しているそうです。

■実写比較:フルサイズ vs 中判デジタル vs 中判フィルム(6×7)vs 大判フィルム(4×5インチ)


室内撮影比較

フィルム vs デジタル

実写作例の一つ目は室内撮影となっており、画面中央部部のFM2(もしくはNewFM2)と思しきカメラを拡大しています。

D800E(モノクロ・カラー)vs Mamiya 7(Adox CMS20・Velvia 50)

フィルム vs デジタル

D800EMamiya 7による比較ですが、6×7判のMamiya 7の方がカラー・モノクロ共にD800Eよりも高い解像感を示しており、特にAdox CMS20は非常に高い解像感を得ています。

ただしVelvia 50はコントラストが高すぎるせいか、シャドー部は割とあっさりと黒つぶれしてしまっています。

IQ180(カラー) vs Mamiya 7(Velvia 50)

フィルム vs デジタル

6×4.5フィルムとほぼ同等の画面サイズを持つIQ180と6×7判のVelvia 50を比較した場合、Velvia 50はIQ180と比べて解像力はそれほど見劣りしないものの、コントラストが高すぎるVelvia 50はストラップの紐とカメラボディの境目が不明瞭になる程シャドー部は潰れてしまっています。

風景撮影比較

フィルム vs デジタル

続いて風景撮影の比較となっています。PHASEONE IQ180と大判(4×5インチ判)+Velviaでの比較となっています。

フィルム vs デジタル

人工物の撮影部分を比較した場合、解像に関してはそれほど大きな差は感じらません。Velviaが高コントラストであることもあり、IQ180の方がハイライト部の白とびやシャドー部の黒つぶれが抑えられています。

フィルム vs デジタル

植物の部分をクローズアップした場合、Velviaの方が一見すると解像感が感じられます。

これはフィルムならではの粒状感が起こさせる一種の錯覚で、解像そのものは大きな差はないものの、Velviaを使う4×5インチ判の方が締りのある画作りとなっています。

■デジタルの進化とフィルムの底力


デジタルはイメージセンサーの解像力の範囲内であれば高いコントラストを持つものの、解像力の限界を超えると急激にコントラストが落ちてしまうのに対し、フィルムは解像力の限界を超えても粘り強いとのこと。

実画面サイズで比較すると、比較したD800EMamiya 7で約4.5倍、IQ180とMamiya 7では約1.8倍、IQ180と4×5インチ判では約5.8倍の差があること、また2年前のテストということでデジタルカメラはD810α7R IIEOS 5Ds/5Ds R、XF 100MPといったさらなる高画素化・高画質化を遂げていることなどを考えると、少なくとも同じフォーマット同士で比較すればデジタルは既にフィルムの画質を超えていると言えるでしょう。しかしながらフィルムも思いの外検討しており、条件によってはデジタルを上回るケースも少なくありません。

今やほとんど語られる機会さえ無くなってしまったデジタルvsフィルムの面白い画質比較でした。

画像:on landscape

Reported by 正隆