皆さんはカメラの液晶画面やボディを拭くときどんなクリーニングクロスをお使いですか?さまざまなクリーニングクロスが世にありますが、今回ご紹介するのは天然皮革を使用した春日キョンセームクロスです。
長い歴史と伝統に裏打ちされたキョンセームクロスは、そんじょそこらのセームクロスとは訳が違います。半ば伝説とさえ言える春日キョンセームクロスの魅力をご覧ください。
■キョンセームクロスとは?
キョンセームってなんの革?
カメラ店などに行くとキョンセームクロスという鹿皮のクリーニングクロスが売られていますが、そういった一般的なセーム革のクリーニングクロスは悪いものではないものの硬くゴワゴワしています。揉みほぐすことである程度柔らかくなるものの、ある程度です。
キョンセームクロスのキョンとは鹿の種の名前で、ホエ鹿の一種であるこのキョンは体長70-100cm、体重10-15kgの小さな鹿です。オスには短い角と牙があり、中国・台湾と日本の一部(房総半島、伊豆大島)に生息しています。
このキョンのなめし革は非常にきめ細かく、セーム革の中でも最高級品とされており、楽器やカメラ、骨董品、刀剣などの手入れのほか、理美容用品の素材としても使われています。
実物を触ってみると分かりますが、キョンセームクロスは一般の家電店で販売しているセーム革のクロスとは全く手触りが違います。非常にふわふわとした柔らかい感触で、他のどんなクロスとも似つかない感触があります。
■キョンセーム・クリーニングクロスの何がすごい?
キョンセームクロスは極小の繊維を持ち、人工クリーニングクロスと比較して非常に非常に高い拭きとり能力を持ちます。
一般的なクリーニングクロスは指紋など油分の汚れの場合サッと拭いても汚れが伸びてしまうだけで、何度もこすらないと汚れが落ちません。キョンセームクロスは汚れが伸びにくいため、より少ない回数で楽に素早く汚れを落とすことが出来ます。
キョンセーム革を使用したクリーニングクロスは幾つかありますが、最も有名なのは春日のキョンセームクロスでしょう。様々なサイズのクロスが用意されていますが、一般的なカメラ用クロスとしては20×20cmのものや大きめの場合30×30cm程度のものが使いやすいでしょう。
■キョンセームクロスの注意点
優れた拭きとり能力を持つキョンセームクロスですが、天然皮革であるため取り扱いには人工クロスとは違い少し気を使う面もあります。
- 天然皮革なのでピッタリ正方形とは限らない
- ぬるま湯で優しく手洗いしないと洗濯機では破れる場合がある
- 吊るして干すと変形しやすいので涼しい場所で平置きで乾かす
- それでも変形を完全に防ぐことは難しい
- 洗濯後乾くとゴワゴワになるので揉みほぐして使う必要がある
といったように、人工クロスにはない面倒な部分があるのは天然皮革ならではのデメリットと言えるでしょう。
しかしキョンセームクロスは他の天然皮革や人工繊維のクロスでは得難い格別の柔らかさと拭きとり能力が高く評価されてきました。
人工繊維のクリーニングクロスのオススメは?
こうした天然皮革の面倒さはちょっと…という方には、エツミのミクロディアがオススメです。
キョンセームクロスほどではないものの、非常に高い拭きとり能力と扱いの良さがあり、一般的に非常にオススメ出来るクリーニングクロスと言えるでしょう。
ちなみに私は両方持っていますが、愛着が湧くのはキョンセームクロス、総合的な使い勝手が良いのはミクロディアなので一般的にはミクロディアがオススメですが、マニア心をくすぐるのは断然キョンセームクロスかと思います。
Reported by 正隆