冠布の裏面が赤色なのは何のため?

冠布

フォトマスター検定の予想問題です。フォトマスター検定勉強法も掲載していますので、参考にして頂ければと思います。

過去の各級の予想問題のまとめ

合格目指してさっそく問題です!

難易度:準1級レベル

問:大判カメラでの撮影時に使用するアクセサリーに「冠布(カンプ)」と呼ばれるものがあるが、この冠布は表面が黒色になっているのに対して、裏面は赤色になっているものがある。この冠布の裏面が赤色になっているのは何のためか?次の中から選べ。

① 夏場など熱が篭るため赤色側を外側にして、温度上昇を避けるため
② 山中などで撮影する際に赤色側を外側にして、目立ち易くするため
③ 内側が黒では暗すぎて操作性が悪いので、フィルムに影響の少ない赤色を内側にすることで操作性を上げるため

正解はこのあとすぐ!

■正解は②(山中などで撮影する際に赤色側を外側にして、目立ち易くするため)


冠布の裏が赤いのは熊や鹿と間違われないため

冠布の多くは、裏面が赤色かグレー(またはシルバー)になっています。

そして冠布の裏面が赤色である理由は、もともと大判カメラが山岳写真に使われることが多かったことに由来しています。

撮影者が黒色の冠布を被った状態では、遠目には熊や鹿と同じ黒い塊に見えてしまうため、猟師に間違って撃たれてしまう危険性がありました。

そこで山中など猟師がいる可能性がある場合は、冠布の赤色側が表になるようにして被ることで、目立ち易く、熊や鹿と間違って誤射されるリスクを下げる事が出来るというわけです。

ちなみに猟師が着用する「狩猟ベスト(※ファッションとしてのハンティングベストではない)」が、濃いオレンジ色であるのも、他の猟師から間違って撃たれないための工夫です。

というわけで、選択肢②の「山中などで撮影する際に赤色側を外側にして、目立ち易くするため」が正解となります。

現在では大判カメラを山で使う方は少なくなりましたが、現在もその名残から冠布の裏面が赤色になっているものが多く存在します。

冠布の裏側がグレーのものは夏場の温度上昇を防ぐため

また冠布には裏面がグレー(またはシルバー)のものもあり、こちらも片面が赤色の冠布と同様に、黒を内側、グレーやシルバーの面を表にして使用します。

この裏面がグレーやシルバーの冠布には、夏場などに直射日光の熱の吸収を減らすことで、冠布内の温度上昇を防ぐ意味があります。

つまり、冠布を山中など猟師がいる可能性がある場所で使用する場合は、黒色&赤色のものを選んで赤色の面を外側にして使用し、そうでない場所では、黒色&グレー(またはシルバー)のものを選びグレー(またはシルバー)の面を外側にして使用するというわけです。

冠布の表面が黒である理由

冠布は先ほど申し上げたように、赤色やグレー(またはシルバー)の面を外側にして使用しますが、それなら表面を赤色、裏面をグレー(またはシルバー)で作ればリバーシブルで使用できるように思います。

しかし、冠布の内側は黒色である方がより暗くなり、ピントグラスが見やすくなるため、ほとんどの冠布の片面は黒色になっており、この黒色の面を内側にして使用するというわけです。

また、常に黒色の面を内側にするのであれば黒色の面が裏側のように思いますが、多くの冠布では片面が黒色であることは共通しているため、黒色の面を表面、赤色やグレー(またはシルバー)の面を裏面と呼んでいます。

現在の冠布の使われ方

現在では大判カメラが使われるケースが減っており、それに伴って冠布が使われることも減りましたが、冠布を大判カメラのピントグラスを見易くするためではなく、デジタルカメラのライブビュー撮影時の液晶フード的な意味合いとして使用されることもあるようです。

画像:Amazon

Reported by 正隆