2020年東京オリンピックフォトグラファーの皆さんこんにちは。
各カメラメーカーが、東京オリンピックに自社製品を送り込まんと高速連写機や超望遠レンズのラインナップに力を入れてきています。
目次
- 現代のオリンピックフォトグラファーの撮影機材
- キヤノンユーザーのオリンピックフォトグラファーの撮影機材
- ニコンユーザーのオリンピックフォトグラファーの撮影機材
- キヤノン東京オリンピック撮影機材
- EOS-1D X Mark IIIで挑む東京2020
- ニコン東京オリンピック撮影機材
- D6で挑む東京2020
- ソニー東京オリンピック撮影機材
- α9 IIで挑む東京2020
- オリンパス東京オリンピック撮影機材
- OM-D E-M1Xで挑む東京2020
そこで今回は、2020年東京オリンピックに臨むための機材を、キヤノン、ニコン、ソニー、オリンパスでご紹介したいと思います。
■現代のオリンピックフォトグラファーの撮影機材
キヤノンユーザーのオリンピックフォトグラファーの撮影機材
オリンピックフォトグラファーは今現在どのような機材で撮影しているのか?について調べてみましょう。
2016年のリオ・デ・ジャネイロオリンピックに参加したプロスポーツカメラマンである、Simon Brutyさんのカメラとレンズの使用機材は以下の通りです。
- カメラボディ
- EOS-1D X Mark II:5台
- EOS-1D X:1台
- ズームレンズ
- 単焦点レンズ
- TS-E17mm F4L:1本
- TS-E24mm F3.5L II:1本
- TS-E45mm F2.8:1本
- TS-E90mm F2.8:1本
- EF135mm F2L USM:1本
- EF200mm F2L IS USM:1本
- テレコンバーター
なんと超望遠レンズはもとより、会場全景や競技場の撮影用に、魚眼レンズやアオリレンズまでフルラインナップして持って行くそうです。
アオリレンズは無いと撮れないというほどでは無いでしょうが、ボディがサブ機も含めて6台、レンズが13本というのはオリンピックフォグラファーならではでしょう。
ニコンユーザーのオリンピックフォトグラファー撮影機材
同様にニコンを使用している日本人スポーツプロフォトグラファーである岸本勉さんの機材を見てみましょう。
岸本勉さんは現在ボディはD5を使用しているとのことですが、良く使うレンズは、
- カメラボディ
- D5:3台
- ズームレンズ
- 単焦点レンズ
- テレコンバーター
岸本さんによると、基本は望遠レンズですが、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDは陸上競技をあおって撮影する場合に使うとのこと。
またAF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gは選手のポートレート用として使うそうです。
ボディはD5を3台を使い、
- D5+AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
- D5+AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
- D5+大口径超望遠レンズ(400mm/600mm/800mm)
といった組み合わせでセットし、両肩に下げて持ち運ぶそうです。また大口径超望遠レンズに関しては一脚を付けて撮影するそうです。
またこのインタビューは2016年に行われたものですので、現在はその後発売されたAF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E EDやAF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VRも使われているのではないかと予想されます。
さらにオリンピックフォトグラファーは、これに加えてリモートコントロール用のアクセサリーやケーブル類、PCや大量のライティング機材、三脚や一脚、バッテリーなど膨大な周辺機器が加わるわけですから、その重量たるや大変なものになります。
■キヤノン東京オリンピック撮影機材
ボディ | EOS-1D X Mark III | 5台 |
ズーム | EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM | 1本 |
EF11-24mm F4L USM | 1本 | |
EF16-35mm F2.8L II USM | 1本 | |
EF24-70mm F2.8L II USM | 1本 | |
EF70-200mm F2.8L IS II USM | 1本 | |
EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4× | 1本 | |
単焦点 | EF600mm F4L IS II USM | 1本 |
テレコン | EXTENDER EF1.4×III | 1本 |
ストロボ | スピードライト600EX II-RT | 5台 |
一脚 | GM4532 | 2本 |
三脚 | GK2542-82QD | 2本 |
ミニ三脚 | ULTRA 553mini | 2本 |
ノートPC | MacBook Pro | 1台 |
EOS-1D X Mark IIIで挑む東京2020
東京オリンピックで使われるカメラの大本命はやはりキヤノンであると言わざるを得ないでしょう。
2018年12月20日-12月24日に行われた、第87回全日本フィギュアスケート選手権大会でも、撮影機材の80%程度がキヤノンでした(ちなみに残りの20%程度がニコンで、この2社でほぼ全てのシェアを占めていました)。
これまでに蓄積したカメラの作り、超望遠をはじめとする豊富なレンズラインナップ、ファイル転送システムやリモート操作システムの充実度、会場サポート体制など、キヤノンは盤石の体制であるため、東京オリンピックでも最も使われるであろう機種は順当に行けばEOS-1D X Mark IIの後継機となる、EOS-1D X Mark IIIとなるでしょう。
■ニコン東京オリンピック撮影機材
ボディ | D6 | 5台 |
ズーム | AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED | 1本 |
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED | 1本 | |
AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR | 1本 | |
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR | 1本 | |
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR | 1本 | |
AF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VR | 1本 | |
単焦点 | AF-S NIKKOR 600mm f/4E FL ED VR | 1本 |
テレコン | AF-S TELECONVERTER TC-14E III | 1本 |
ストロボ | スピードライトSB-5000 | 5台 |
一脚 | GM4532 | 2本 |
三脚 | GK2542-82QD | 2本 |
ミニ三脚 | ULTRA 553mini | 2本 |
ノートPC | MacBook Pro | 1台 |
D6で挑む東京2020
D5が高い評価を受けているニコンは、今年発表が予想される後D6をもって東京オリンピックでのEOS-1D X Mark IIIの最大の対抗馬となることは間違い無いでしょう。
現在スポーツカメラマンに最も使われているカメラはEOS-1D X Mark IIですが、ニコン側も待望のAF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VRも揃いオリンピック対決に盤石の状態を整えたと言えるでしょう。
またオリンピックやワールドカップのような大規模スポーツ大会を撮影するプロフォトグラファーの多くは、実は円形の会場全景を見せるために超広角ズームレンズだけでなく、魚眼レンズの使用者も多く、キヤノンのEF8-15mm F4L フィッシュアイ USMに対抗するAF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E EDが2017年に出たことも好条件となっています。
キヤノン・ニコンにとって最後になるかもしれない、一眼レフフラッグシップ機によるオリンピック対決は、まさに両社最高のシステムの充実度をもって、2020年に実現しそうです。
■ソニー東京オリンピック撮影機材
ボディ | α9 II | 5台 |
ズーム | FE 16-35mm F2.8 GM | 1本 |
FE 24-70mm F2.8 GM | 1本 | |
FE 70-200mm F2.8 GM OSS | 1本 | |
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS | 1本 | |
単焦点 | FE 400mm F2.8 GM OSS | 1本 |
テレコン | SEL14TC | 1本 |
SEL20TC | 1本 | |
ストロボ | HVL-F60RM | 5台 |
一脚 | GM4532 | 2本 |
三脚 | GK2542-82QD | 2本 |
ミニ三脚 | ULTRA 553mini | 2本 |
ノートPC | MacBook Pro | 1台 |
α9 II挑む東京2020
スポーツのプロフォトグラファー市場を積極的に狙っているソニーですが、昨年ついにFE 400mm F2.8 GM OSSをリリースしたことで、待望の大口径超望遠レンズをラインナップをすることができました。
と言ってもその準備はまだ始まったばかりで、キヤノン・ニコンのWT-6やWFT-E8Bのようなワイヤレスファイルトランスミッターのような充実したFTP接続のシステムがない状況では、大規模スポーツへの対応出来ないため、現時点でのαのシステムではオリンピックやワールドカップで使用することは難しいでしょう。
また現在スポーツのプロフォトグラファーに最も人気があるレンズは、EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×やAF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VRのようなテレコン内蔵の大口径超望遠ズームレンズであるため、ソニーとしては、テレコン内蔵の大口径超望遠ズームレンズ、リモート操作及びファイル転送システムの充実と、α9 IIが猛暑の夏季オリンピックや厳寒の冬季オリンピックでも安定動作するカメラになることが課題となります。
■オリンパス東京オリンピック撮影機材
ボディ | OM-D E-M1X | 5台 |
ズーム | M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO | 1本 |
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO | 1本 | |
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO | 1本 | |
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO | 1本 | |
M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.0 IS PRO 1.25x | 1本 | |
単焦点 | M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO | 1本 |
テレコン | M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14 | 1本 |
フラッシュ | FL-900R | 5台 |
一脚 | GM4532 | 2本 |
三脚 | GK2542-82QD | 1本 |
ミニ三脚 | ULTRA 553mini | 2本 |
ノートPC | MacBook Pro | 1台 |
OM-D E-M1Xで挑む東京2020
あくまでもマイクロフォーサーズ規格でオリンピックに挑もうというのがオリンパスです。
新シリーズとなるオリンパスフラッグシップ機、OM-D E-M1XXと、噂されている超望遠ズームレンズ、M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.0 IS PRO 1.25xがその主力機材となるでしょう。
キヤノンやニコンのようなワイヤレストランスミッターやリモート撮影関連のアクセサリーの充実など、マイクロフォーサーズシステムにはまだ数多くの課題がありますが、逆にそうしたノウハウを効率よく蓄積するためにも、オリンパスとしては僅かでも東京オリンピックに機材を送り込みたいところでしょう。
また、オリンピックのような場でのプロサポート体制の経験の蓄積のためにも、OM-D E-M1Xが僅かでもオリンピックで使用されるなら、何としてもメーカーブースは用意して欲しいところです。
画像:Quesabesde
Reported by 正隆