プロフォトグラファーの皆さんこんにちは。
YouTuberやカメラメーカーの広告塔となること自体を仕事としている所謂アンバサダーなどではない、写真撮影を収入のメインとしている「本物のプロフォトグラファー」たちは、どんなカメラを使って仕事をしているのでしょうか?
広告写真の専門誌であるコマーシャル・フォト2019年2月号に、コマーシャルのプロフォトグラファー205人を対象に行ったアンケート、「フォトグラファー白書 2019」が掲載されています。
目次
- プロフォトグラファーたちが本当に使っているカメラは?
- コマーシャルフォトグラファーに使われている機種
- メーカー別の割合は?
- 一眼レフとミラーレスはどちらが多い?
- 今もキヤノン・ニコンが圧倒的に強いプロの世界、今後戦場はミラーレスへ
- プロフォトグラファーの現在
- 一眼レフ、ミラーレス、フィルムカメラなどの所有率は?
- コマーシャルフォトグラファーの今が分かる専門誌
そこで今回はこのフォトグラファー白書を参考に、プロフォトグラファー達が実際に使っている機種やメーカー、カメラの種別などをご紹介します。
■プロフォトグラファーたちが本当に使っているカメラは?
コマーシャルフォトグラファーに使われている機種
アンケートは広告業界のプロフォトグラファー205人を対象にメインで使用している機種を聞いています。
プロフォトグラファー205名を対象に調査/コマーシャル・フォト | ||||
順位 | メーカー | 機種名 | 人数 | シェア |
1位 | キヤノン | EOS 5D Mark IV | 31人 | 15.1% |
2位 | キヤノン | EOS 5D Mark III | 23人 | 11.2% |
3位 | ニコン | D850 | 17人 | 8.3% |
4位 | キヤノン | EOS 5Ds/EOS 5Ds R | 11人 | 5.4% |
5位 | キヤノン | EOS-1D X Mark II | 10人 | 4.9% |
6位 | ソニー | α7R III | 7人 | 3.4% |
7位 | ニコン | D810 | 6人 | 2.9% |
7位 | ソニー | α9 | 6人 | 2.9% |
9位 | キヤノン | EOS-1D X | 5人 | 2.4% |
9位 | ニコン | D5 | 5人 | 2.4% |
11位 | ニコン | D750 | 3人 | 1.5% |
11位 | フェーズワン | IQ260 | 3人 | 1.5% |
13位 | ニコン | D800 | 2人 | 1.0% |
13位 | ライカ | M10 | 2人 | 1.0% |
13位 | 富士フイルム | X-H1 | 2人 | 1.0% |
その他 | その他 | 72人 | 35.1% |
最もコマーシャルフォトグラファーに使用されていたカメラは予想通り、現在のプロフォトグラファーの定番キヤノンのEOS 5D Mark IVでした。
EOS 5D Mark IV、EOS 5D Mark III、EOS 5Ds/EOS 5Ds RなどのEOS 5Dシリーズで、シリーズ全体では31.7%にも及ぶという結果となりました。
5Dシリーズの次に使われていたのは、やはりこちらも予想通り定番のニコンD800シリーズでシリーズ合計で12.2%、3位はソニーのα7シリーズの3.4%でした。
- キヤノン/EOS 5Dシリーズ:31.7%
- ニコン/D800シリーズ:12.2%
- ソニー/α7シリーズ:3.4%
上位は最近のフルサイズ機が中心ですが、各1名しかメインでの使用者がいなかった「その他」にカテゴライズされている機種としては、一眼レフのフルサイズの旧機種・APS-C機、中判デジタルカメラが多いようです。
また、コマーシャルフォトのフォトグラファーを対象にした調査で、EOS-1D X Mark II、D5、α9のようなスポーツや報道のイメージが強いフラッグシップ機が入っていることに違和感を感じられる方もおられるかもしれませんが、実はこれは今に始まったことではありません。
コマーシャルフォトでも常に高解像が必要というわけではないため、連写性能ではなく使い勝手や堅牢性を求めてフラッグシップ機を使っているコマーシャルフォトグラファーは意外と多く、そうしたフォトグラファーたちは、高解像が必要ない撮影ではフラッグシップ機をメインで使用しているというわけです。
メーカー別の割合は?
機種詳細が不明な「その他」の機種を除いたメーカーシェアは以下のようになります。
順位 | メーカー | シェア | 人数 | 機種数 |
1位 | キヤノン | 60.2% | 80人 | 5機種 |
2位 | ニコン | 24.8% | 33人 | 5機種 |
3位 | ソニー | 9.8% | 13人 | 2機種 |
4位 | フェーズワン | 2.3% | 3人 | 1機種 |
5位 | ライカ | 1.5% | 2人 | 1機種 |
6位 | 富士フイルム | 1.5% | 2人 | 1機種 |
これも皆さんの予想通りだったのではないかと思いますが、メーカー別でもトップはキヤノンとなりました。
2位はこれまたいつものニコン、3位はムービー撮影でも躍進したソニーとなりましたが、この割合は私の実感とも合っている数値のように思います。
一眼レフとミラーレスはどちらが多い?
同様にカメラのタイプ別では以下のような割合となります。
タイプ | 一眼レフ | ミラーレス | レンジファインダー |
割合 | 87.3% | 11.3% | 1.5% |
人数 | 116人 | 15名 | 2名 |
タイプ別ではプロフォトグラファーが使っているのは今も圧倒的に一眼レフが多いという結果になっています。
1-2年でこの差が逆転することはないでしょうが、ミラーレスも11%を超え、じわじわとプロフォトグラファーにもミラーレスの導入例が増えているようです。
今もキヤノン・ニコンが圧倒的に強いプロの世界、今後戦場はミラーレスへ
広告写真業界は超望遠レンズやリモートシステム、メーカーのサポートブースなどを必要としない分、スポーツフォトや報道よりもキヤノン・ニコン以外のメーカーが比較的参入しやすいジャンルです。
今回のアンケート結果で判明したのは、その広告写真業界でさえ、今もキヤノン・ニコンで約85%を占有しているということであり、スポーツや報道ではさらにキヤノン・ニコンの割合が高いと思います。
しかしもしこれが5年前であれば、キヤノン・ニコン以外のカメラを使用しているコマーシャルフォトグラファーに実際に会うのは、PHASE ONEのような中判機以外は、本当に年に1人とかそのようなレベルでしたから、プロの機材も少しずつ多様化してきているという見方も出来ます。
また87.3%のコマーシャルフォトグラファーは一眼レフをメインに使用しているものの、キヤノン・ニコンがフルサイズミラーレスを投入したことで、今後はプロフォトグラファーたちもミラーレスへの移行が加速していくことになるでしょう。
■プロフォトグラファーの現在
一眼レフ、ミラーレス、フィルムカメラなどの所有率は?
アンケートで結構意外だったのは、「フィルムカメラを所有していない」というフォトグラファーが23%もいることで、仕事で使っていないというのは分かりますが、「所有もしていない」という人が23%もいるというのは時代が変わっていることを感じさせます。
カメラの種類 | 持っている | 持っていない |
一眼レフ | 94% | 6% |
ミラーレス | 59% | 41% |
デジタルバック | 31% | 69% |
フィルムカメラ | 77% | 23% |
今後はさらに「フィルムカメラを一度も使ったことがない」というプロも増えていくことになるのでしょう。
しかし機械式フィルムカメラなどは、一枚一枚を集中して撮る習慣をつけるための良い練習になり、マニュアルフォーカスの練習にもなるので、一度はフィルムカメラやマニュアルフォーカスレンズを集中的に使ってみることをおすすめします。
コマーシャルフォトグラファーの今が分かる専門誌
コマーシャル・フォト 2019年2月号の「フォトグラファー白書 2019」では、この他にもさまざまなデータが掲載されていますので、フォトグラファーを目指している方、またフォトグラファーの実態にご興味のある方は、ぜひ購入して読んでいただければと思います。
参考:コマーシャル・フォト 2019年2月号
画像:Amazon
Reported by 正隆