今日は今年発売が予想される、ニコンの人気プロ用一眼レフ、D810の後継機である、D850とそのスペックについて予想してみたいと思います。
■D850の画質面での進化点
D800シリーズは3600万画素という当時突出した画素数でカメラ業界に衝撃を与え、その後D810によるマイナーチェンジによって磨きをかけられました。
D750の登場によってラインアップ的にもバランスが取れたため、D800シリーズは高画素機としての方向性を確立したと言っても良いでしょう。そのD810の後継機であるD850もより高解像を目指していくのは間違いないでしょう。
D850で採用される確率的が高いものとしては現在SONYがα7R IIやRX1R IIで搭載している、有効画素数約4240万画素の裏面照射型CMOSセンサーです。
高解像と高感度耐性を両立したこのフルサイズセンサーは、現在DxO Markによる測定ではスチールカメラ用フルサイズイメージセンサーでは最高の性能を誇り、特にその画素数からは考えられないような高感度耐性の高さを実現しています。
機種 | α7R II | EOS 5Ds R | D810 |
総合点 | 98 | 86 | 97 |
ポートレート(色深度) | 26bit | 24.6bit | 25.7bit |
風景(ダイナミックレンジ) | 13.9EV | 12.4EV | 14.8EV |
スポーツ(許容できる最高ISO感度) | ISO3434 | ISO2308 | ISO2853 |
現在発売されている35mm判フルサイズセンサーを搭載したレンズ交換式カメラの中から高画素機と呼ばれるモデルを比較してみると、α7R IIの高感度性能がいかに突出したものかがお分り頂けると思います。
ニコン自身はイメージセンサーを製造していませんが、高い設計技術を持っており、自社開発センサーを採用したモデルもあるため、より進化した撮像素子をD850に搭載してくる可能性もありますが、現在市場にあるイメージセンサーの中ではα7R IIに採用されているSONY製4240万画素裏面照射型CMOSイメージセンサーも有力な候補と言えるでしょう。
■オートフォーカス性能はどうなるのか?
ニコンはD5とD500で久しぶりにフルサイズ用のフルモデルチェンジされた新型オートフォーカスモジュールを搭載しました。
このマルチCAM20Kオートフォーカスセンサーモジュールは、フォーカスポイント153点(選択可能55点)・クロスタイプセンサー99点(選択可能35点)・F8対応15点(選択可能9点)という、一眼レフ用のオートフォーカスとしてはとてつもない性能を誇るスペックのオートフォーカス性能を実現しています。
ニコンは当分の間はこのオートフォーカスモジュールをニコンラインアップの上位モデルに搭載されていくでしょうから、D850にもマルチCAM20Kオートフォーカスセンサーモジュールが搭載されるのはほぼ間違いないでしょう。
装着レンズの機種ごとに厳密なピント合わせを行うために、AFのピント位置を調節を自動で行えるAF微調節機能も当然搭載してくることが予想されます。
■連写性能はどうなるのか?
連写に関してはEXPEED 5がD5で2080万画素秒間12コマを実現していますから、処理速度としては仮に4200万画素程度を想定すると、7コマ以上の処理が可能という事になります。
D810が秒間6コマであることを考えると、恐らくは秒間7.5〜8コマ程度が落としどころではないかと考えられます。高画素機でありながら153点AFとD810から更に連続撮影速度が引き上げられれば、非常に強力なオールラウンダーと呼べる機種になりそうです。
■気になる記録メディアは?
記録メディアは画素数の増大と連写枚数、何よりも時代の流れを考えるとD500と同じくXQDとSDXC( UHS-II対応)を採用してくるものと考えられます。
D5のような同一のJPEGファイルをバックアップ記録することが多いプロスポーツや報道用機種と違い、D850はRAW+JPEGの分割記録や予備としての順次記録、またメディア間のコピーなどでも使用されるため、メディアそのものの汎用性も重要になってきます。
しかしながら動画や連射時の記録速度も無視できない状況になっているため、CF→XQDに、SDXC(UHS-I)→SDXC(UHS-II)へと変更が図られるのではないかと考えられます。
■4K動画は搭載されるのか?
D5、D500に搭載されている4K動画を搭載しない理由はありませんから、必ず採用してくるものと思われます。
問題は60Pになるかどうかで、D5・D500が30Pであることを考えるとEXPEED 5一基では4K/60pの搭載は難しいように思えます。ただし価格的な競合機であるEOS 5D Mark III後継モデルのEOS 5D Mark IVのスペックをニコンがどのように見ているかによっても変わってくるのではないでしょう。
■ボディデザインは?
ボディデザインはD5やD500のデザインが好評で、またニコン機は曲線よりも直線基調のデザインを希望するユーザーの方が多いこともあり、現在のなで肩からより男性的なフォルムへと移行していくのではないかと考えられます。
タッチパネルの採用は確実と思われますが、チルト液晶は機種のコンセプトやD750との兼ね合いを考えると非搭載となるでしょう。
ニコンのお得意の高剛性炭素繊維複合素材を使用した物コック構造も、このクラスでは薄型軽量よりも堅牢性を最重要と考えるユーザーも多く、マグネシウムボディが予想されます。
D5で好評のボタンイルミネーション暗所での操作性を大きく向上させるため是非搭載して欲しいところですが、どうなるかは今の所予想出来ません。
■D850の発売時期は?
予想されるD810後継機D850の発売時期は2016年9月発表、10月発売が濃厚であると考えられます。
■D810とD850の仕様比較
D810 vs D850(予想)仕様比較 | ||
機種 | D810 | D850 |
総画素数 | 約3709万画素 | 約4360万画素 |
有効画素数 | 約3635万画素 | 約4240万画素 |
撮像素子 | 約35.9×24.0mm | 約35.9×24.0mm |
画像処理エンジン | EXPEED 4 | EXPEED 5 |
記録媒体 | CF(Type I、UDMA対応) SDXC(UHS-I対応) |
XQD SDXC(UHS-II対応) |
ダブルスロット | ・順次記録 ・同時記録 ・RAW+JPEG分割記録 ・カード間コピー |
・順次記録 ・同時記録 ・RAW+JPEG分割記録 ・カード間コピー |
ファインダー視野率 | 上下/左右とも約100% | 上下/左右とも約100% |
ファインダー倍率 | 約0.7倍 | 約0.72倍 |
アイポイント | 約17mm | 約17mm |
シャッタースピード | 1/8000~30秒 | 1/8000〜30秒 |
ストロボ同調速度 | 1/250秒 | 1/250秒 |
秒間コマ数(AF追随) | 最高約5コマ/秒 | 最高約8コマ/秒 |
連続撮影枚数(RAW/14ビット) | 約28枚 | 約100枚 |
連続撮影枚数(JPEG/FINE) | 約100枚 | 約200枚 |
常用ISO感度 | ISO64~12800 | ISO64〜51200 |
最高ISO感度 | ISO51200 | ISO 1640000 |
フォーカスポイント | 51点 | 153点 |
クロスタイプセンサー | 15点 | 99点 |
F8対応測距点 | 11点 | 15点 |
AF検出範囲 | -2~+19EV | -4~+20EV |
調光センサー | 91KピクセルRGB測光 | 180KピクセルRGB測光 |
動画記録画素数 | 1920×1080:FHD 1280×720:HD |
3840×2160:4K UHD 1920×1080:FHD |
フレームレート | 60p/50p/30p/25p/24p:FHD 60p/50p:HD |
30p/25p/24p:4K UHD 60p/50p/30p/25p/24p:FHD |
ファイル形式 | MOV | MOV |
圧縮形式 | H.264/MPEG-4 AVC | H.264/MPEG-4 AVC |
音声記録方式 | リニアPCM | リニアPCM |
モニター種別 | 3.2型TFT液晶モニター | 3.2型TFT液晶モニター |
モニター解像度 | 約122.9万ドット | 約236万ドット |
タッチパネル | なし | あり |
Wi-Fi | なし | なし |
Bluetooth | なし | あり |
GPS | なし | なし |
バッテリー寿命 | 約1200コマ | 約1240コマ |
外形寸法 | 約146×123×81.5mm | 約150×128×82.5mm |
重量 | 約880g(ボディのみ) 約980g(CIPA準拠) |
約895g(ボディのみ) 約995g(CIPA準拠) |
画像:Nikon
Reported by 正隆