XQD vs CFast、メモリーカード戦争に勝つのはどちらだ!?

Lexar XQD CFast

XQD vs CFast。ニコンD5D500がXQDを採用、キヤノンEOS-1D X Mark IICFastを採用し、ニコン・キヤノンの2大メーカーが別々のメディアを採用したことで果たしてどちらが時代の主流になるのか注目されています。

果たして次世代メモリーカードの覇権を握るのはどちらなのか!?今日はXQDCFastについて考えてみましょう。



■XQDメモリーカード陣営と採用機種


Lexar XQD 128GB

XQDメモリーカードは、

  • SONY
  • Lexar

から発売されています。スチールカメラでの採用例は、

などです。加えてSONY製シネマカメラなどに採用されています。XQDカードはその書き込み速度から高速連写や高画素機、また4K動画のようなデータ量の多い動画にも適していますが、意外にもXQDカードの実質的なボスであるSONYにはスチールカメラでXQDカードを搭載している機種がなく、業務用シネマカメラのみで採用されています。

XQDメモリーカードは外形寸法が約38.5 × 29.6 × 3.8mmということで、CFastカードと比較すると小型ですが、SDXCカードの32.0 × 24.0 × 2.1mmと比較すると一回り大きいサイズとなっています。

SONYで高速メディアが適しているスチールカメラとしては、α7R IIのような高画素機や4K動画撮影が可能なモデルですが、SONYのミラーレス機は小型軽量であることも大きなセールスポイントであるため、SDXCカードで対応可能なモデルは出来る限りより小型に設計可能なSDXCカードを採用しているのではないかと予想されます。

また記録メディアのコストという意味でもSDXCカードはXQDよりもリーズナブルであり、メモリースティックのみ対応であった時代にコンパクトデジタルカメラ事業で苦戦を強いられた過去のあるSONYとしては、一般ユーザー向けの機種に関しては出来る限りSDXCを使いたいということなのかも知れません。

■CFastメモリーカード陣営と採用機種


Lexar CFast 256GB

CFastメモリーカードは、

  • SunDisk
  • Lexar
  • Transcend
  • GREEN HOUSE

などから発売されています。現在(2016年3月24日時点)スチールカメラでのCFast採用例はEOS-1D X Mark IIのみとなっており、その他ではCanonのCINEMA EOSなどの業務用動画機などに採用されています。

CFastメモリーカードの外形寸法は36.4 × 42.8 × 3.3mmとなっており、CFメモリーカードと同サイズです。しかしカード間に互換性はないため、CFastカードをCFカードスロットに入れたり、CFカードをCFastカードスロットに挿入する事は出来ません。名称とカードサイズが似通っているために紛らわしさがありますが、間違って挿入出来ないようになっています。

CFastメモリーカードとCFメモリーカードの互換性が無いのはコネクター形状が異なるためで、CFカードは接点ピンがスロット内部で曲がってしまうトラブルが相次いだためで、CFastメモリーカードではピンの破損を防いでいます。

■XQDメモリーカードとCFastメモリーカード性能比較


XQDメモリーカードの仕様

データ転送インターフェース:PCI Express
速度理論値:XQD Ver. 2.0:5.0Gbps(XQD Ver. 3.0:8.0Gbps)
容量理論値:2TB
外形寸法:38.5 × 29.6 × 3.8mm
質量:約10g

CFastメモリーカードの仕様

データ転送インターフェース:SATA3
速度理論値:CFast 2.0:6.0Gbps
容量理論値:なし
外形寸法:36.4 × 42.8 × 3.3mm
質量:約10g

現在(2016年3月24日時点)発売されているXQDメモリーカードではLXQD128CRBJP2933(読込440MB/秒、書込400MB/秒)、CFastメモリーカードではLC256CRBJP3500(読込525MB/秒、書込445MB/秒)などが最速クラスのモデルとなります。

現状ではCFastの方がやや速いモデルが発売されていますが、転送速度に関してはXQDCFastもまだ高速化の途中であるため現在の転送速度はあまり気にする必要がありません。

XQDはインターフェースに互換性の高いPCI Expressを採用しているため、今後より高速なXQD Ver. 3.0(8.0Gbps)が登場しても、同じメディアスロットでXQD Ver. 2.0のXQDカードを使用出来るといったメリットがあり、更にその先であるXQD Ver. 4.0も策定が進められています。

対してCFastで使われているSATA3(Serial ATA Revision 3.0)はデータ転送の上限速度が6.0Gbpsとなっており、SATA3はSATAやSATA2とデータ転送そのものには互換性があるものの、コネクタ形状の違いから物理的に接続することが出来ません。

SATA3のデータ転送速度は限界が見えており、今後コネクタ形状の統一化が図られなければ、実質的にCFastカードのデータ転送速度の限界が見えているとも言えます。

こうなるとXQDの方が将来性があるように見えますが、メモリーカードの主流になるかどうかはまた別で、その点について次の章で考えてみましょう。

■メモリーカードの主流になるのはどちらなのか?


記録メディアが主流になれるかどうかは、その規格が性能的に優れているかどうかよりも、「より多くのメーカーに採用されるか否か」に左右されます。

記録メディアが優れているから普及するのではなく、機器に付随して記録メディアが普及してくわけですから、規格としての優劣=普及率ではありません。

また現在スチールカメラ・ムービーカメラに関してはSDXCメモリーカード採用機が圧倒的に多数派で、そのサイズや価格からXQDCFastがスチールカメラの主流になる事はまず無いでしょう。

またもう一つ、XQDCFastが採用されていくモデルとしては、ニコンであればD500D810後継機、D5(XQDモデル)、キヤノンであればEOS 7D Mark II後継機、EOS-1D X Mark IIといった一眼レフ上級機で採用されていくと予想されますが、カメラ側のデータサイズは高画素化や動画性能の向上によってよりデータ量は増え続けていきます。

XQDCFastは今後も高速化・大容量化されていくため、書き込み速度や容量を気にするのであれば、製品サイクルの長い上位機では、古いメディアを所有していたとしても、カメラボディを買い換えるたびにメディアもその時点で買い替えることになる可能性が高いわけです。

そう考えると結局、XQDCFastのいずれが主流になったとしてもユーザー側はあまり気にする必要は無いのかも知れません。

画像:Amazon

Reported by 正隆