東工大(東京工業大学)によると、東工大とオリンパスが共同で、カラー画像と近赤外線画像を同時撮影可能なシステムの開発に成功したと報じています。
カラー画像も近赤外線画像も写真業界では馴染み深いものですが、同時記録とは一体どういうことなのか?どんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
■現在のイメージセンサーの構造
現在普及しているデジタルカメラは、一部を除いてそのほとんどが単板のイメージセンサー+カラーフィルターアレイの組み合わせを採用しています。
カラーフィルターアレイは、R・G・Bそれぞれのカラーフィルターを平面上に配置したものです。カラーフィルターアレイはイメージセンサー上に配置され、各画素のRGBのうちの1つのカラーを記録します。
カラーフィルターアレイを通して得られるデータはモザイクデータとなり、このモザイクデータをデモザイキング処理(カラーフィルターアレイを通して撮像素子に記録されるモザイク状のデータを補間し、フルの画像を生成する処理)を行うことで画像データを生成します。
■カラー画像と近赤外線を撮影する意味は?
近赤外線カメラでは夜間撮影が可能であることから、車載カメラや監視カメラでカラー画像と近赤外線画像を同時利用した環境認識や防犯対策が期待されています。
しかし現在のカメラはカラー画像または近赤外線画像のどちらか一方のみを撮影するのが一般的でした。しかし今回開発された方法では、カラーフィルターアレイに近赤外線フィルターを加えることにより、カラー画像と近赤外画像の同時撮影を実現するというものです。
■どうやって実現させたのか?
どうやってカラー画像と近赤外画像の同時記録を実現したかというと、従来はR・G・Bのみであったカラーフィルターアレイに、近赤外フィルターが新たに加えられており、上図のNと書かれた画素が近赤外フィルターに相当します。
この方式では、従来のイメージセンサーと比較してもほぼ同じコストで実現できるメリットがありますが、画像処理アルゴリズムは新設計が必要となります。
今回東京工業大学とオリンパスはこの新型カラーフィルターアレイを搭載したシステムのプロトタイプを開発したとのことで、カラー画像と近赤外画像をリアルタイムに同時出力出来るとのこと。
今後このイメージングシステムを、リモートセンシング(遠隔観測システム)・セキリュリティ・ロボティクス・農業・医療等幅広い分野での発展が期待されており、引き続き実用化に向けた研究を行うとのことです。
Reported by 正隆