遂にキヤノンからEOS 5D Mark IVが登場しました。果たして4年ぶりに登場したEOS 5D Mark IVはEOS 5D Mark IIIからどれだけ進化したのでしょうか!?
今回はこの大ヒットフルサイズ一眼レフ最新モデル、EOS 5D Mark IVを前モデルとなるEOS 5D Mark IIIとの比較などさまざまな角度から見ていきたいと思います。
■外観デザインから見るEOS 5D Mark IV
正面
EOS 5D Mark III | EOS 5D Mark IV |
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フロントデザインに関しては、ペンタ部分のカットが少し変更されており、EOSが上にズレ、従来フロント右下にあったMark XXの表示が右上にまとめられています。従来Mark XXの表示があった場所にはリモコン端子が移設されています。
レリーズリモコンは風景撮影などで長時間接続したままになる場合があるため、従来の形状ではレリーズリモコンを接続している間、他の端子がむき出しになってしまい防塵防滴を確保出来なくなっていました。 EOS 5D Mark IVではレリーズリモコンを接続した場合も他の端子カバーは閉じたままとなるため、防塵防滴性能を維持したまま使用することが出来るようになっています。 |
背面
EOS 5D Mark III | EOS 5D Mark IV |
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背面デザインはほとんど変わっていませんが、右手側中央付近に測距エリア選択レバーが新たに追加されています。
また背面液晶はタッチパネルに対応し、デュアルピクセルCMOS AFの搭載もあり、光学ファインダー・ライブビューいずれにおいても、よりレスポンスの良い撮影が可能となっています。 |
上面
EOS 5D Mark III | EOS 5D Mark IV |
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本体上面に関してはボタンやダイヤル類の変更は見られず、EOS 5D Mark IIIからの買い替えでもストレスなく操作出来るように配慮されています。 |
下面
EOS 5D Mark III | EOS 5D Mark IV |
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下面デザインに大きな変更はないようです。 |
左側面
EOS 5D Mark III | EOS 5D Mark IV |
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本体左側面はリモコン端子が省かれ、本体正面側に移設されています。 |
右側面
EOS 5D Mark III | EOS 5D Mark IV |
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本体右側面を見てみると、グリップ形状には大きな変更は見られませんが、ラバー部分がわずかに増えており、より手への当たりが良くなっていることが分かります。また、NFC対応マークが加えられています。 |
■EOS 5D Mark IVの特徴と前モデルEOS 5D Mark IIIからの進化点
EOS 5D Mark IVのEOS 5D Mark IIIからの進化点を見ていきましょう。
2230万画素から3040万画素と向上した高感度性能
画素数はEOS 5D Mark IIIから約800万画素増え3040万画素となっていますが、5Dシリーズらしいバランスのとれた画素数となっています。
EOSシリーズには高画素モデルであるEOS 5Ds/EOS 5Ds Rもラインナップされていますが、解像力と高感度耐性を両立したEOS 5D Mark IVはまさにオールラウンダーなフルサイズ一眼レフとして、あらゆるジャンルの撮影で活躍することでしょう。
また、EOS 5D Mark IVでは、EOS 5D Mark IIIの常用感度がISO12800からISO32000まで高感度耐性が向上しています。
新搭載された独自RAW記録「デュアルピクセル RAW」システム
EOS 5D Mark IVでは、デュアルピクセルCMOSイメージセンサーを利用したデュアルピクセル RAWが新たに搭載されています。
デュアルピクセル RAWの特徴としては、RAWファイルに画像データと視差情報を同時記録し、キヤノン純正RAW現像ソフト、DPP(Digital Photo Professional)の「Dual Pixel RAW Optimizer」を使用して次の3つの特殊な現像処理を行うことが出来るとのこと。
- 解像感補正
- ボケシフト
- ゴースト低減
「解像感補正」は被写体の立体的な距離情報に基づき解像感の微調整を可能にする機能で人物撮影などで効果的とのこと。
「ボケシフト」は前ボケを横方向に動かす機能となっており、前ボケを移動させることで例えば被写体に被ってしまった前ボケの位置をある程度調整することが可能となっているとのこと。
「ゴースト低減」は画像に現れたゴーストやフレアを領域を指定し部分的に低減することが出来る機能となっています。
ボケの最適化やゴーストの低減など、非常に面白い機能となっており、デュアルピクセルCMOSイメージセンサーの様々な発展性を感じさせるものとなっています。またキヤノンとしてはこれらの新機能によって、他社イメージセンサーに対抗していきたいという考えなのでしょう。
4K動画&動画からの静止画切り出しに対応
EOS 5D Mark IIIはFHDでしたが、EOS 5D Mark IVでは4K動画に対応し、約880万画素相当の静止画切り出し機能も搭載しました。4K動画切り出しはパナソニックが「4K PHOTO」としていち早く世に広めましたが、EOSシリーズでも可能となりました。
動画からの静止画の切り出しは近年の動画解像度の向上によって、非常に実用性の高い動体撮影機能として注目されており、王道でありながら時代の流れにしっかりと追随した形となっています。更にカメラ内でのタイムラプス動画にも対応しています。
オートフォーカスと連続撮影速度
連続撮影速度はEOS 5D Mark IIIの約6コマ/秒から約7コマ/秒ということで1コマ向上しています。
EOS 5Dが最高約3コマ/秒、EOS 5D Mark IIは最高約3.9コマ/秒、EOS 5D Mark IIIが最高約6コマ/秒となっており、EOS 5D Mark IIからEOS 5D Mark IIIでは約2.1コマ向上したことからも、期待値としては約8コマ/秒を実現して欲しかったところではありますが、着実な進化と言えるでしょう。
しかしながらデュアルピクセルCMOS AFの採用もあり、ライブビュー時のAFの劇的な高速化など、体感的なレスポンススピードはEOS 5D Mark IIIからの進歩を確実に感じさせる作りとなっています。
GPS/Wi-Fiなど画像転送機能の搭載
GPSとWi-Fiなど画像転送機能を搭載し、撮影場所の記録や写真の共有、データ転送が容易になっています。
またEOS-1D X Mark IIではGPSを搭載するにあたりペンタ部の一部を樹脂製にした際不自然な出っ張りが出てしまいましたが、EOS 5D Mark IVでは同様にGPSのためにペンタ部上側が樹脂製になっているものの、自然なラインを実現しており、デザイン上の不自然さを感じさせない作りとなっています。
■EOS 5D Mark IIIとEOS 5D Mark IVの基本スペック比較
EOS 5D Mark IIIとEOS 5D Mark IVのスペックを比較してみましょう。
EOS 5D Mark III vs EOS 5D Mark IV仕様比較 | ||
機種 | EOS 5D Mark III | EOS 5D Mark IV |
総画素数 | 約2340万画素 | 約3170万画素 |
有効画素数 | 約2230万画素 | 約3040万画素 |
撮像素子 | 約36×24mm | 約36×24mm |
画像処理エンジン | DIGIC 5+ | DIGIC 6+ |
記録媒体 | CF(Type I/UDMA 7) SDXC(UHS-I対応) |
CF(Type I/UDMA 7) SDXC(UHS-I対応) |
回折補正機能 | なし | あり |
フリッカーレス撮影 | 非対応 | 対応 |
ファインダー視野率 | 上下/左右約100% | 上下/左右約100% |
ファインダー倍率 | 約0.71倍 | 約0.71倍 |
アイポイント | 約21mm | 約21mm |
シャッタースピード | 1/8000~30秒 | 1/8000~30秒 |
ストロボ同調速度 | 1/200秒 | 1/200秒 |
連続撮影速度 (AF追随) |
最高約6コマ/秒 | 最高約7コマ/秒 |
連続撮影枚数 (RAW/14bit) |
約13枚 | 約17枚 |
連続撮影枚数 (JPEG/FINE) |
約65枚 | 約110枚 |
常用ISO感度 | ISO100〜12800 | ISO100~12800 |
最高ISO感度 | ISO102400 | ISO102400 |
フォーカスポイント | 61点 | 61点 |
クロスタイプセンサー | 41点 | 41点 |
F8対応測距点 | 1点 | 61点 |
AF検出範囲 | -2~+18EV | -3〜+18EV |
調光センサー | 63分割TTL開放測光 | 15万画素RGB+IR測光 |
動画記録形式 | MOV | MOV/MP4 |
動画記録サイズ | 1920×1080:FHD 1280×720:HD |
4K(4096×2160) FHD(1920×1080) HD(1280×720) |
フレームレート | 30p/25p/24p:FHD 60p/50p:HD |
4K:30p/25p/24p FHD:60p/30p HD:120p/60p/30p |
圧縮形式 | H.264/MPEG-4 | H.264/MPEG-4 |
モニター種別 | 3.2型液晶モニター | 3.2型液晶モニター |
モニター解像度 | 約104万ドット | 約162万ドット |
タッチパネル | なし | あり |
電子水準器 | あり | あり |
Wi-Fi | なし | あり |
Bluetooth | なし | なし |
GPS | なし | 内蔵 |
バッテリー | LP-E6 | LP-E6N/LP-E6 |
バッテリー寿命 | 約850枚 | 約900枚 |
大きさ(mm) | 約152.0×116.4×76.4 | 約150.7×116.4×75.9 |
重量 | 約860g(ボディ) 約950g(CIPA準拠) |
約800g(ボディ) 約890g(CIPA準拠) |
■結局EOS 5D Mark IVは買いなのか!?
4年ぶりに登場したキヤノンフルサイズ一眼レフのメインストリーム、EOS 5D Mark IVですが、デュアルピクセルCMOS AFの搭載やデュアルピクセル RAWなどキヤノン独自の技術を盛り込みつつ、タッチパネル液晶モニター、Wi-Fi・GPSといったものも余すことなく搭載しています。
EOS 5D Mark IIIも登場時は画素数や連写速度の面ではインパクトが弱く市場の反応は今ひとつでした。しかしながらバランスのとれた性能と使い勝手の良さからロングセラーとなり、結局一番売れたフルサイズ一眼レフとしてその名を残しました。
EOS 5D Mark IVでは、EOS 5D Mark IIIのコンセプトはそのままに画質・機能ともに大幅に磨きをかけて登場しました。また小型・軽量化もなされており、今後4年間さまざまな撮影ジャンルで活躍するフルサイズ一眼レフとして、プロ・アマ問わずオススメできる機種と言えます。
価格がやや高めではあるものの、今後4年間存分に活躍してくれるモデル。懐具合が許してくれるなら間違いなく買い!
Reported by 正隆