アメリカの人気女性ファッションモデル、カーリー・クロスさんがファッション誌VOGUE 2017年03月号で日本の芸者風スタイルでのファッションフォトが掲載されてたところ、その姿に批判が起こり、カーリー・クロスさんがツィッター上で謝罪する事態に至ったとのこと。
この批判の理由というのが最近話題になることの多い「文化の盗用」によるものだということ。今回はこの「文化の盗用」に関する話題です。
■文化の盗用って?
そもそもこの「文化の盗用」とは何か?という問題ですが、簡単に言うと、「多数派民族の人間が少数派民族の文化を理解せずに、商業的な理由などからその文化を利用する行為」を「文化の盗用」と呼んでいるようです。
さまざまな人種が混在するアメリカでは、ちょっとしたことでも人種差別として受け取られるということがあるようで、これがこの文化の盗用の背景にあるようです。
例えばアイドルがコンサートでインド人風のステージ衣装を着て歌う、芸能人がハロウィンの仮装でアメリカ先住民(いわゆるインディアン)風のコスプレを行った際などにもこの「文化の盗用」にあたると批判が起こりました。
つまり、「少数派民族の文化をパクっている」「少数派民族をバカにしている」ということのようです。またこの特集のテーマが「多様性」であったことから、「本当に多様性というなら白人ではなく日本人モデルを採用するべき」といった批判もあったとのことです。
■謝罪したカーリーさんと当の日本人の反応
カーリーさんは批判に対し自身のツィッター上で、
「私は自分のものではない文化を盗用し、(他国の)文化に対して配慮しない撮影に参加したことを申し訳なく思います。私の目標は常に女性の立場を良くし、インスピレーションを与えることです。私は今後の撮影において、そうした目標から外れないことをお約束します。」
と謝罪しています。
これに対し、文化を盗用されたとされる当の日本人からは、「なにも不快には思わない」「何処が悪いのかわからない。むしろ美しい」というカーリーさんに好意的な意見が多数寄せられているようです。
カーリーさんの写真に関しては、純粋な和風というより中国や韓国の雰囲気も混じっているように思いますが、いずれにせよ日本人の多くはこの写真に対して、日本人や日本の文化をバカにしているとは感じていないようです。
また「和服を着るなら日本人モデルを採用するべき」という点においても、白人が和風の世界観の中にいるというのは日本人モデルが和服を着て写るのとはまた違う魅力がありますし、白人が和服を着るのが「日本文化の盗用」であるなら、例えば日本人が背広を着るのも、「イギリス文化の盗用」ということになってしまいます。
アメリカのような多民族国家では常に人種問題が注目されがちですが、皆さんはこの「文化の盗用」という問題、どう思われたでしょうか。
参考:Karlie Kloss,THE HUFFINGTON POST
画像:Ira Madison III
Reported by 正隆