皆さん積層されてますか?私は積層されています。
この度ソニーから発表されたα9は、世界初のフルサイズ3層積層型CMOSイメージセンサーとなるExmor RSを搭載した点も大きな革新として注目されています。
イメージセンサーにはさまざまな種類がありますが、3層積層型CMOSイメージセンサーとは一体どんな特徴があるのか?今回はこの3層積層型CMOSイメージセンサーがどういったものかをご紹介します。
■裏面照射型CMOSイメージセンサーと積層型CMOSイメージセンサーの違い
裏面照射を更に進化させた積層型
通常のCMOSイメージセンサーと裏面照射型CMOSイメージセンサーの違いはもう皆さんご存知だと思いますので、ここでは割愛させていただきます。
まず、裏面照射型CMOSイメージセンサーと積層型CMOSイメージセンサーの違いですが、積層型CMOSイメージセンサーでは、センサー部と論理回路部を別々に製造した後で積層します。裏面照射型CMOSイメージセンサーの支持基板に論理回路を搭載します。
図をご覧いただければ分かるように、積層型CMOSイメージセンサーでは、回路領域をフォトダイオードの裏側に配し支持基盤を有効活用することで、従来の裏面照射型CMOSイメージセンサーよりも更に受光領域を広げることが出来ています。
■積層型CMOSイメージセンサーと3層積層型CMOSイメージセンサー
DRAMを加えた3層積層型
さて、では本題の3層積層型CMOSイメージセンサーはこれまでの積層型CMOSイメージセンサーと何が違うのかについて見てみましょう。
3層積層型CMOSイメージセンサーは、従来の積層型CMOSイメージセンサーのように裏面照射型の画素部分と信号処理回路部分の2層構造の間にさらにDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)層を積層した構造となっています。
各画素にDRAMを配したことで、従来の積層型CMOSイメージセンサーと比較して非常に早い読み出しを実現しています。イメージセンサーから他のLSIへ信号を転送するのはインターフェースの速度の制約のためにタイムラグが生じます。DRAMを各画素に積層したことでフォトダイオードから読み出した信号を一旦DRAMに高速で保存し、その後出力することが可能になります。
進化を続けるソニーのイメージセンサーテクノロジー
3層積層型CMOSイメージセンサーは、DRAM層を加えることによって従来よりも読み出し速度の大幅な高速化が可能になりました。
これによって、ローリングシャッター歪み(画素信号を1行毎に読み出すために起こるCMOSイメージセンサー特有の画像の歪み)を抑制する、またFHDでのスーパースローモーションの動画撮影といったことが可能になっています。
裏面照射型CMOSイメージセンサー、積層型CMOSイメージセンサーと革新的なイメージセンサーを次々と世に送り出し、イメージングの業界をリードしてきたソニーが更にイメージセンサーの未来を切り開いた撮像素子、それが「3層積層型CMOSイメージセンサー」というわけです。
Reported by 正隆