写真展やポートフォリオ用の本格的な写真作品作り、昔はお店やプロラボでされていた方も多かったと思いますが、現在ではインクジェットプリンターの進化や、出来上がるまでの時間の短縮や納得がいくまでプリントし直したいという理由から、ホームプリントされる方も多いかと思います。
そこで今回は、作品作りにも十分に対応できるA3ノビ対応インクジェットプリンターを比較してみたいと思います。
■A3ノビ対応フォトプリンターの主な特徴
比較する機種
比較するプリンターは以下のようなものとなっています。
インクジェットプリンターの2大ブランド、キヤノンとエプソンの写真用プリンター3機種となっています。まずはこの3機種の主な特徴をご紹介したいと思います。
キヤノン:PIXUS PRO-10Sの主な特徴
- 10色顔料インクの採用で色再現領域が拡大。微妙な階調表現が可能で、被写体の質感や奥行きを精緻に描きます
- 暗部の色再現を向上させる「3色の黒インク」で、暗部の色再現領域も大きく拡大。より深みのある表現を可能にします
- 表現のクオリティーを高めるクロマオプティマイザーで暗部の色域が拡大。暗部に締まりのある画像が得られます
キヤノン:PIXUS PRO-100Sの主な特徴
- グレー/ライトグレーインクを採用し、染料インクの特長である発色性・光沢感がさらに向上しています
- 滑らかなモノクロの階調表現を実現する「3色の黒インク」を採用、ハイライト部の粒状感を抑え階調滑らかなモノクロ表現を実現しました
- カラー/モノクロともにプリントスピードが大きく向上しており、A3ノビ(フチあり)のカラーを約1分30秒でプリント可能。高い生産性を実現しています
エプソン:Colorio EP-50Vの主な特徴
- 写真作品印刷の幅を広げるA3ノビサイズに対応しながら、スタイリッシュなデザイン
- レッドとグレーを加えた6色インクでカラリオ最高画質を実現、広い色域の鮮やかなカラー表現と階調豊かなモノクロ表現を1台で両方実現します
- L判1枚約12.7円のインクコストで、作品作りも日々のスナップ写真やドキュメントも気軽にプリントできます
■顔料インクと染料インクの違い
顔料インクのメリットとデメリット
顔料インクはインクの粒子が用紙の表面にとどまることで着色し、用紙に染み込まないために高階調・高精細な色再現が可能とされています。また黒の表現に優れ、重厚感のある仕上がりも特徴です。
加えて顔料インクは耐水性に優れ、印刷時と時間経過による色の変化が少ない点から、仕上がり時に判別が行いやすいという魅力があります。
ただし紙の表面にインクの粒子がとどまっているため、擦れや剥がれに弱く、染料インクと比較して平滑性が低いため光の加減によってはムラが見えやすいという弱点があります。
染料インクのメリットとデメリット
染料インクはインクが用紙に染み込むことで着色します。
顔料インクと異なり用紙の表面にインクの凸凹ができないために平滑性に優れ、発色が良く鮮やかな仕上がりになります。そのため染料インクは特に平滑な光沢紙での発色に優れています。
また染料インクモデルは顔料インクモデルと比較してプリント速度が比較的速いのも特徴で、染料インクモデルは顔料インクモデルと比較して約2倍程度高速です。
逆に染料インクの弱点としては、水濡れに弱く、また光や空気に触れると時間とともに色が薄くなりやすいため、印刷直後と時間が経過した状態では色が変わって見える場合があります。
そのため印刷直後は良しと思っていたものが、時間が経って見てみるとイメージが異なり再プリントするというケースもあります。
■A3ノビ対応フォトプリンター性能比較
A3ノビ対応写真用プリンター比較
ではこのプロレベルの印刷に対応するフォトプリンター3機種の性能を比較してみましょう。
メーカー | キヤノン | キヤノン | エプソン |
モデル名 | PIXUS PRO-10S | PIXUS PRO-100S | Colorio EP-50V |
最高解像度(dpi) | 4800×2400 | 4800×2400 | 5760×1440 |
インク種別 | 顔料インク | 染料インク | 染料インク |
インク数 | 10色 | 8色 | 6色 |
A3ノビ給紙枚数 | 150枚/普通紙 | 150枚/普通紙 | 50枚/普通紙 |
A3ノビ給紙枚数 | 40枚/写真用紙 | 40枚/写真用紙 | 20枚/写真用紙 |
A3ノビ印刷速度 | 約3分35秒 | 約1分30秒 | 約2分23秒 |
L判印刷コスト | 約22.7円 | 約20.4円 | 約12.7円 |
外形寸法(mm) | 約689×385×215 | 約689×385×215 | 約476×369×159 |
質量 | 約20.0kg | 約19.7kg | 約8.5kg |
発売日 | 2015年2月中旬 | 2015年2月中旬 | 2017/11/09 |
価格(2017/09) | 54,414円 | 59,190円 | 48,169円 |
■結局どれがおすすめなのか?
PIXUS PRO-10Sの魅力
まず発売時期から言うと、PIXUS PRO-10SとPIXUS PRO-100Sは2015年2月発売であり、前モデルとなるPIXUS PRO-10やPIXUS PRO-100は2012年11月上旬発売であったことから、後継機が2018年あたりに登場する可能性があるかとは思います。
ただプリンターはデジタルカメラほど進化の速度が速くないため、それほど気にする必要は無いのかも知れません。
PIXUS PRO-10Sはこの中で唯一の顔料インクモデルということで、顔料インクならではの精細感や重厚な発色を好まれる方や、時間経過による発色の変化を嫌う方はPIXUS PRO-10Sがおすすめとなります。
PIXUS PRO-100Sの魅力
発色の鮮やかさやプリント速度を重視される方は染料インクモデルがおすすめとなりますが、これに該当するのがPIXUS PRO-100SとColorio EP-50Vとなります。
PIXUS PRO-100Sはブラック、グレー、ライトグレーの3色の黒系インクを含む8色インクを使用しており、鮮やかなカラー印刷だけでなく滑らかなモノクロの階調表現を実現しているのが特徴で、また他の2機種よりも印刷速度が速い点も大きな魅力です。
Colorio EP-50Vの魅力
PIXUS PRO-100Sが黒の表現と印刷速度を特徴としているのに対し、Colorio EP-50Vは非常にローコストでのプリントが可能です。またPIXUS PRO-10SやPIXUS PRO-100Sよりも圧倒的にコンパクトで軽量であるため、取り回しが容易な点もColorio EP-50Vの特徴となっています。
- PIXUS PRO-10S
- 精細感と重厚感に優れた発色
- 優れた耐水性
- 時間経過による色変化の少なさ
- PIXUS PRO-100S
- 鮮やかな発色
- 高速な印刷速度
- モノクロ印刷での豊かな階調
- Colorio EP-50V
- 非常に低い印刷コスト
- コンパクトかつ軽量なボディ
- 低価格な本体
さて目的に合ったプリンターは見つかりましたでしょうか?
現在のインクジェットプリンターは非常に高品質なプリントが可能であるため、写真展用の作品作りやポートフォリオの作成といった本格的な印刷に十二分に対応できるものとなっていますので、この機会に是非検討されてみてはいかがでしょうか。
参考:Canon,EPSON,デジカメWatch
画像:Amazon
Reported by 正隆