ハウススタジオとホリゾントスタジオはなにが違う?

Photo by 正隆

フォトマスター検定の予想問題です。フォトマスター検定勉強法も掲載していますので、参考にして頂ければと思います。

過去の各級の予想問題のまとめ

合格目指してさっそく問題です!

難易度:2級レベル

問:洋館や住宅などを再現した形のスタジオを総称して「ハウススタジオ」と呼ばれることがあるが、ハウススタジオと異なるスタジオの形態に「ホリゾントスタジオ」と呼ばれるものがある。

この「ホリゾントスタジオ」とはどのような形態のスタジオか?最も適切に説明していると思われるものを、次の中から選べ。

①  七五三や成人式の撮影を行う貸し衣裳を備え付けたスタジオ
② 料理撮影を想定した調理と写真撮影を行えるスタジオ
③ 外光をカットし壁と床の接合面をアールで繋いでいるスタジオ

正解はこのあとすぐ!

■正解は③(外光をカットし壁と床の接合面をアールで繋いでいるスタジオ)


衣装備え付けの場合もある営業写真館

選択肢①の「七五三や成人式の撮影を行う貸し衣裳を備え付けたスタジオ」というのは、街中で見かけることも多い「営業写真館」と呼ばれる形態です。

子供写真館などもこの営業写真館の形態の一つで、七五三などの衣装も数多く備え付けられている場合があります。

また営業写真館では成人式などの撮影でも使われるため、振袖などの貸し衣裳がある写真館もあります。

営業写真館の多くは布バックや背景紙を利用して撮影を行う形態でしたが、最近はハウススタジオ風に外光を取り入れたり、家具などを配して高級家屋のイメージを作り上げているスタジオもあります。

一部の営業写真館では、後述する「ホリゾント壁」を備えている場合も有りますが、選択肢の中で最も適切に「ホリゾントスタジオ」を説明しているとは言えないため①は不正解となります。

調理も出来るキッチンスタジオ

選択肢②の「料理撮影を想定した調理と写真撮影を行えるスタジオ」は「キッチンスタジオ」と呼ばれる形態です。

キッチンスタジオ最大の特徴は何と言っても本格的な調理が行えるようになっていることで、一般的なハウススタジオにもキッチン風の調理器具などが置かれている場合も有りますが、ハウススタジオの調理器具がインテリアとして置かれていることが多いのに対し、キッチンスタジオに備えられている調理器具は実際に使用できるものとなっています。

そのため本格的な調理が可能で、「調理や食事を楽しみ、ついでに写真も残す」という利用の仕方もあれば、「本格的な料理写真を撮影する目的で使う」という場合も有ります。

キッチンスタジオには写真映えするように高級住宅をイメージしたインテリアが備え付けられているスタジオもありますし、大勢が料理を作れるようにコンロやシンクなどの設備を大量に備えたレストランの厨房のようなスタジオもあります。

■ホリゾントスタジオとは?


ホリゾントスタジオとは?

選択肢③の「外光をカットし壁と床の接合面をアールで繋いでいるスタジオ」がホリゾントスタジオの解説となります。

ちなみにアイキャッチ画像は単なる白背景紙で、ホリゾントではありません。

本格的なホリゾントスタジオは、外光を取り込んで撮影に生かすことを想定したハウススタジオと異なり、作り上げたライティングに外光が影響することがないよう、窓を無くし撮影スペース全体が外光が入らないような作り、あるいは窓があっても外光を完全にカットすることが出来るような作りになっています。

ホリゾントスタジオの「ホリゾント」は「Horizon(地平線)」という言葉が元になっていますが、写真業界では「壁と床の接合面が緩やかな緩やかなアールで繋がっている、背景に適した白壁」のことを「ホリゾント」「白ホリゾント」「白ホリ」などと呼んでいます。

こうしたことから、一般的には「外光をカットできるように設計され、背景となる壁もしくは背景の壁及び側壁にホリゾントを備えたスタジオ」のことを「ホリゾントスタジオ」と呼んでいます。

ホリゾントスタジオのメリット

ホリゾントは壁と床が緩やかな半径1-2m程度のアールで繋がっているため、壁と床の繋ぎ目に影が出来にくく、背景紙や布バックを使用することなくそのまま白背景として使用することが可能です。

背景紙や布バックをいちいち引っ張り出したりする必要がないため、スピーディーな撮影が可能で、しかも壁面全体を背景として使用できるので、背景紙や布バックと比較して背景が見切れにくく、複数人の人物撮影や大きな被写体の撮影も行いやすいのが特徴です。

背景のみがホリゾントになっている場合を「1面Rホリゾント」、背景と両サイドの壁までホリゾントになっているものを「3面Rホリゾント」といった呼び方をします。

ホリゾントを使用する場合の注意点

ホリゾントは背景紙や布バックを使用することなくそのままで白背景として使用することが出来ますが、メンテナンスフリーでずっと使えるわけではなく、背景紙や布バック同様汚れや傷は付くため、靴の裏で汚したり傷つけたりしないように十分に注意する必要があります。

またそうした注意をしていても、ある程度使用していればホリゾントは汚れたり痛んでいくため、長期の使用中には、定期的な清掃や、場合によってはパテで傷を塞いだりホリゾントを塗り直す必要もあります。

殆どのホリゾントは白ホリと呼ばれる白色で塗られたホリゾントですが、一部のスタジオではクロマキー合成のためにグリーンやブルーのホリゾントを備えたスタジオも存在します。

コマーシャルフォトの王道ホリゾントスタジオ

こうしたホリゾントスタジオは、他のスタジオ形態と比較して本格的なライティング機材が充実していることも多く、商業写真や大掛かりな写真作品撮影などで広く使われています。

本格的なホリゾントスタジオをご覧になりたい場合は、こちらの月島スタジオなどを参考にして頂ければと思います。

Reported by 正隆