ビデオ雲台のトルクとカウンターバランス機能を解説

RH25D

一眼動画撮影や超望遠レンズを使用した撮影にも人気のビデオ雲台。しかしビデオ三脚には一般的なスチール用三脚では聞きなれない「トルク(スピード)」や「カウンターバランス」という機能があります。

そこで今回は本格的なビデオ雲台に採用されている、「トルク(スピード)」や「カウンターバランス」とはどのような機能なのかをご紹介します。

■ビデオ雲台「RH25D」の構造


ビデオ雲台の「トルク」とは?

本格的なビデオ雲台で特徴的なのが「カウンターバランス」と呼ばれる機能です。

スチール用の雲台では「フリクションコントロール」といった機能が搭載されている場合があり、動きに対して抵抗感を出すことで微妙なフレーミングをしやすくしたり、ロックを解除した際に急激に機材が傾くことを防ぐことで、重い機材を扱いやすくしています。

「カウンターバランス」とは?

本格的なビデオ雲台では、トルクと呼ばれるフリクションコントロールに似た抵抗感を生む機能に加えて、スチール用の3ウェイ雲台や自由雲台には通常搭載されていない、「カウンターバランス」と呼ばれる機材の傾きに反発するためのバランス機能があります。

なぜビデオ雲台にはカウンターバランスが必要なのか?

単に抵抗を生むトルクユニットだけでは、カメラをスムーズに動かしたり急激な倒れこみは防げるものの、カメラを上や下に向けて手を離すと重心が傾いた方にカメラはゆっくりと倒れこんでしまいます。

写真撮影ではシャッターを押すまで画像は記録されないため、トルクだけでもそれほど問題がありませんが、動画の場合は映像を記録しながらフレーミングを保持する必要があります。

そのため動画を記録しながらカメラを動かし、カメラを動かすのをやめたところでカメラがピタリと静止してくれないと、カメラの揺れや傾いていくさまが映像として記録されてしまいます。

そこで「カウンターバランス」という機能が必要になるわけですが、このカウンターバランス機構は、雲台に内蔵したスプリングの反発力を利用してカメラが傾く方向と逆に押し戻すというものです。

このカウンターバランスが適切に設定され、カメラの重量とスプリングの反発が釣り合った状態なら、カメラをどの方向にチルト(傾けた)した状態でパン棒から手を離しても、カメラはそのままの位置でピタリと止まってくれます。

大口径超望遠レンズでも使い勝手の良いビデオ雲台

本格的なビデオ雲台は、マンフロットのナイトロテックN8フルードビデオ雲台のような特殊な構造を採用した例外もありますが、多くはRH25Dようにスプリングの力でカウンターバランス機構を実現しています。

カウンターバランスが適切に動作していると、カメラワークが非常に快適になるという点に関して、同じくビデオSALONのザハトラーFSB 6の解説動画が非常にわかりやすく説明しているため、ご覧いただければと思います。

近年ではスチールカメラでも、野鳥撮影などで大口径超望遠レンズを振り回すのにビデオ雲台が使われる事が増え、その中でもザハトラーのFSB 8は大定番となっており、400mm/F2.8から600mm/F4.0といった野鳥撮影に使われる事も多い大口径超望遠レンズと組み合わせて人気のあるビデオ雲台です。

その理由はやはり、重い大口径超望遠レンズを操作するのに軽い力で重い機材を振りまわせるビデオ雲台のカウンターバランス機能が非常に有効であるからです。

画像:Libec
動画:YouTube(ビデオSALON)

Reported by 正隆