富士フイルムのXシリーズといえば、そのクラシックデザインが好きという方も多いかと思います。
また単にクラシックなデザインというだけで無く、高品質な外装の作り込みにも大きな魅力です。
先日ニコンからFM2をモチーフにしたしたZ fcが発表され、オリンパスは以前からフィルム時代のPENやOMをモチーフとしたミラーレス機(必ずしもオリジナルのPENやOMに似ているわけではないですが)を発売してきました。
しかしニコンやオリンパスと異なり、富士フイルムはXシリーズではフィルム時代のフジカなどに似せてきたというよりは、コンタックスのカメラに寄せているように見えます。
そこで今回は、富士フイルムのXシリーズとコンタックスのカメラのデザインを比較してみたいと思います。
■X-TシリーズとCONTAX RTS III
X-T4
CONTAX RTS III
X-T4やX-H1など、Xシリーズの中で一眼レフスタイルの機種のデザインの元ネタはCONTAX RTS IIIのように思います。
特徴的なのはクラシックな一眼レフスタイルとしてはペンタ部が平坦な台形となっている点で、フジカの一眼レフは一般的な一眼レフの様に尖っていましたが、X-TシリーズはCONTAX RTSシリーズ同様(むしろそれ以上に)上部が偏平になっています。
また2段式なっているダイヤルと下のレバーの組み合わせや、グリップのデザインにも共通点が見られます。
またX-T4のフロントのファンクションボタンもCONTAX RTS IIIのフロントボタンと同じ位置に配置されています。
ちなみにCONTAX RTS IIIの前面のボタンは一般的な一眼レフの絞り込みプレビューのボタンではなく、ファインダー表示点灯用のボタンでした(絞り込みプレビューのボタンはその反対側にあり、左手で操作するようになっています)。
CONTAX RTS IIIと比較すると、X-T4はよりビシッとエッジが立ったような印象があり、デザインの進化も見て取れます。
またXシリーズで特に拘りを感じるのは塗装ではないでしょうか。カメラは塗装で高級感がかなり違ってくるのですが、富士フイルムの一部の機種は非常に塗装に拘っており、X-T4の塗装も質感が高いものになっています。
対するCONTAX RTS IIIもとても高級感のあるカメラで実際お値段も高かったのですが、それと比較してもX-T4の外装は見劣りしない上質感があります。
■X-ProシリーズとCONTAX G1
X-Pro3
CONTAX G1
次にレンジファインダースタイルのX-Pro3とCONTAX G1を比較してみましょう。
こちらも似ており、特徴的なのはシャッターボタンやダイヤル部分出っ張らない様にボディが一段低くなるラインが、ライカMシリーズのように垂直に切り立った様なデザインではなく、スラントしている点でしょう。
また、ライカMシリーズと異なりグリップがあることでしょう。
ただこのフォルムは、CONTAX G1以外にもフォクトレンダーのBESSA R2など幾つもあったため、必ずしもCONTAX G1をモチーフにしたとは言い切れませんが、同じ系譜とは言えるかもしれません。
富士フイルムのフィルムカメラの歴史の中にも、GW690III ProfessionalやTX-2などX-Proシリーズに似たシルエットの機種がありました。
といった感じで、現在の富士フイルムXシリーズは、X-Tシリーズはコンタックスのデザインをモチーフに、X-Proシリーズはコンタックスと富士フイルムの過去の機種をミックスさせて、それぞれを進化させていったのではないかと思われます。
上位機種ならともかくほとんどのモデルでここまで外装にこだわるメーカーは現在ライカ以外には無いと思いますし、ライカはさらに上質とは言っても、値段もずっと高いわけですから当然でしょう。
素材や塗装の質感は高級感に直接影響するものなので、富士フイルムのデザインや質感に対するこだわりは今後も続けていただければと思います。
Reported by 正隆