私の夢の一つに壮大なスタジオを建てるというのがあるのですが、今日は一般的に「スタジオを借りたい、スタジオで撮影してみたい」と思った時になにを調べて良いかということの参考にもなるかも知れないし、ならないかも知れない記事です。
■ホリゾントスタジオとハウススタジオ
まずスタジオには大きく分けて2種類あり、それがホリゾントスタジオとハウススタジオです。 なにが違うかと言うと、
・ホリゾントスタジオ
簡素な白壁で外光をカットしているところが多く壁の隅にアールが付いているスタジオ
・ハウススタジオ
洋館や高級住宅、リゾートやキッチンスタジオなど、実際の生活空間をモチーフにして造られた、あるいは実際使用している建物を撮影用にレンタルしているようなスタジオ
ホリゾントスタジオは外光を基本的にカットしています(最近はそうでないスタジオもあります)から、ライティングはストロボなどを使用してカメラマンなどが作り上げていきます。
対してハウススタジオはライティング機材もある程度ある場合も多いですが、外光なども利用してライティングしていきます。 ホリゾントスタジオは1からイメージを作り上げたい撮影に適していますが、殺風景な環境ですからなにも準備がなければ背景紙程度のシンプルな撮影になります。
ハウススタジオはホリゾントスタジオのように1から全て作り上げるというよりは、その環境を生かしてその場にあるものと絡めて写真を作り上げていくというスタジオです。
例えばバーで飲んでいる男性のポートレートを撮りたいとなった場合、ホリゾントスタジオにバーの内装を作り上げるというのは予算的にも時間的にも現実的ではありません。 そのような場合はバーのセットをあらかじめ組んでいるハウススタジオを利用するわけです。
逆に人物のプロフィール写真など背景はシンプルに全身を撮るような撮影では、ハウススタジオの内装は邪魔ですし、大きな背景紙を設置するスペースももないためホリゾントスタジオを利用するといった具合です。
また既存の環境ではないイメージを作り上げたいような場合もまっさらな空間に作り上げる方が容易であるため、ホリゾントスタジオを使用します。その場合は予算的にも時間的にも非常に大掛かりな撮影になる場合が多いかと思います。
■ホリゾントスタジオの選び方
遮光された広いスペース、白壁、電源、大きな背景紙、ジェネレータなどのライティング機材、ライティングアクセサリーなどが必要で、基本的には「白くて広い空間に、大きな背景紙とライティング用機材各種」があればスタジオとして機能します。
ハウススタジオと違う点はライティング機材が必須ということです。多くのハウススタジオではある程度のライティング機材も常備していますが、ハウススタジオではライティング設備は持ち込みで使用されることも多くそれほど大掛かりな物は用意されていません。
それと比較してホリゾントスタジオでは内装やセットを売りにする訳ではないので、ライティング機材などの充実度も選ぶ際のポイントになります。設備が十分に用意されているスタジオであれば、カメラマンはカメラとレンズなどシンプルな機材で撮影に行くことができます。
ホリゾントスタジオを選ぶポイントとしては、機材の充実度、スペースの広さ、スタッフが常駐しているかどうかなどです。値段の安さだけに釣られて選ぶと、鍵だけ渡されて行ってみたら倉庫同然というスタジオもあります。
機材リストを見て十分な機材と常駐スタッフがいるようなスタジオであれば大抵まともなスタジオですが、その分料金はそれなりにします。
実際に使う使わないということではなく、機材が充実していないスタジオや常駐スタッフが居ないスタジオは、管理もそれなりのものである可能性が高いということです。
人物撮影、商品撮影など、あらゆる撮影に使われるのがホリゾントスタジオです。
■ハウススタジオの選び方
ハウススタジオではライティングの設備を重要視される事はあまりありません。機材が充実しているから選ばれるのではなく、内装などのセットが求める写真のイメージに近いかという点で勝負していきます。また外光を生かした撮影が多くなるため、十分に光が入ってくるかという点も選ばれるポイントになります。
純粋に機材だけでライティングを作り上げていくホリゾントスタジオと違い、ハウススタジオはシチュエーションとそれにマッチする自然光を生かしたライティングで撮影されることも多く、全般的にホリゾントスタジオと比べると備え付けのライティング機材は少なくなる傾向にあります。
そのため十分な自然光が入るかどうかは1つのポイントになります。
より魅力的な空間を提供できるかどうかがハウススタジオにとって必須で、大きいハウススタジオでは、建物の中に学校の教室を丸ごと再現していたり、リゾートホテルのような南国の植物と大きなプール付きの庭を作っているところ、大きな洋館を建てて丸ごとスタジオとしているところなど様々なスタイルのハウススタジオがあります。
ホリゾントスタジオは作り込まないと単なる背景紙しかありませんから、人物撮影などでは雰囲気を出すためにハウススタジオが使用されることが多くあります。また商品撮影などでも、その商品を使用する状況をイメージさせるために、ハウススタジオのセットと絡めて撮影されることもあります。
■スタジオ機材の使い方は難しい?
スタジオ機材といってもジェネレーターやモノブロックのような一般的な大型ストロボのところが多く、操作に専門的な知識を必要とするようなライティング機材を置いてあるようなスタジオは確実に常駐スタッフがついてくれるのでそれほど心配は要りません。
ジェネレーターの使い方がわからない場合は超詳細!ゼロから学ぶジェネレーターの使い方を参考にして頂いても良いですし、そもそもそれほど難しい操作ではありませんから、時間に余裕をもってスタジオを借りてスタッフに操作を聞いて覚えてみるのも良いでしょう。基本的な操作は1時間もあれば覚えられます。
スタジオ撮影=プロだけの領域といふうな考えは不要です。やってみれば基本的な操作は大して難しいものではありませんから、気楽に使ってみると良いでしょう。
■どう撮ればいい?
特に撮り方は決まっていませんが、ホリゾントスタジオなら背景紙を引いてストロボをアンブレラで当てるくらいのシンプルなことから始めると良いでしょう。ハウススタジオなら環境光を生かして「あなたのセンスで切り取っちゃって!」というわけです。
スタジオ撮影は使いながら少しずつ詳しくなっていくもので、詳しくないと使えないというものではありませんから、写真撮影に適したレンタルスペースくらいの気持ちで気楽に挑戦してみてくださいね。
■なにを持っていけばいい?
カメラとレンズとバッテリーとメディアです。あとハウススタジオならクリップオンストロボもついでに持って行ってみましょう。大型ストロボを持ち込んでも良いですが、お持ちの方は限られるでしょうし、そもそもスタジオ備え付けの設備として用意されていることも多いです。
シンクロコードも大抵のスタジオにありますが、ハードに使われすぎて緩くなってすっぽ抜け易くなっていたり、断線気味のケーブルもあるのでお持ちであればもっていくと良いでしょう。長めのものが使いやすいかと思います。
要するに普段撮影に行く時と同じようなものをもっていけば大丈夫です。三脚は用意されているスタジオとそうでないところがあるので使い慣れたものがあれば持っていくのも良いでしょう。
■レンタルスタジオ代って高くない?
高いといえば高いです。最低3時間からといった縛りもあったりするところが多いので、それほど大きなところでなくても1〜2万は覚悟しておくと良いかと思います。ハウススタジオを1日借りたりすると、場所によっては数十万というところもあります。
まずは安めのところを借りてみて、大型ストロボの使い方に慣れたらいい場所を借りても良いかと思います。写真仲間を誘って割り勘で借りても良いかと思います。
■この記事はなにを書きたかったのか?
本当は私の妄想スタジオの話をしたかったんです。
スタジオの中に滝とか渓谷とかあったり、ウユニ塩湖とかカッパドキアにスタジオを建てたいとか、あんみつ屋を併設して儲けたいとか、色々プランはあるんですが、それを最初書いていたら「この記事は意味があるのか?」という疑念にとらわれまして急きょ路線変更したわけですね。
大きなスタジオは世にいくつもありますから、面白くて快適なスタジオを作りたいですね。ハンモックとかある。
Reported by 正隆