写真技能士って意味あるの?試験内容・難易度・将来性など完全網羅!

大判カメラ

当サイトではフォトマスター検定の予想問題を多数掲載しており、フォトマスター検定の勉強法など様々な情報を掲載しています。

フォトマスター検定の他に、技能検定には「写真技能士」というものがありますので、今回はその写真技能士についてご説明させて頂こうと思います。



■写真技能士ってなに?


そもそも技能士とは?

技能検定とは、中央職業能力開発協会が行っている技能認定試験で、技能の程度を検定し、これを公証する日本の国家検定制度です。労働者の技能と地位の向上を図ることを目的に、職業能力開発促進法に基づき、1959年(昭和34年)度より実施されています。

写真技能士とは?

写真の用途も、広告写真、報道写真、肖像写真、芸術写真と様々なものがありますが、技能検定の「写真職種」は、いわゆる写真館で人物写真を撮影する肖像写真の撮影・製作の仕事を対象としています。

日本の伝統衣装である和装の撮影方法や知識、デジタルカメラによる撮影とコンピュータによる画像処理を含め、肖像写真を製作するのに必要な技能・知識を実技及び筆記テストにて判定します。

技能検定の受験資格

受験にはプロカメラマンとしての実務経験が必要で、3級で実務経験があること、2級では実務経験2年以上、1級では実務経験7年以上が求められます。

 

■写真技能士の技能検定試験内容


技能検定試験内容

試験内容に関してですが、実技試験はスタジオでの肖像写真撮影とレタッチ作業となります。

写真技能士1級実技内容
  1. 肖像写真制作 モデル(A:背広姿の男性、B:振袖姿の女性、C:羽織袴姿の男性)をそれぞれデジタルカメラで撮影し、画像の選択及び画像処理を行い、カラーポートレート写真を制作する(試験時間:2時間15分)
  2. 画像修復 支給される画像データの傷などを修復する(試験時間:45分)
  3. 筆記試験 カメラや写真、及び写真館業務に関する問題を25問(試験時間:120分)
写真技能士2級実技内容
  1. 肖像写真制作 モデル(A:背広姿の男性、B:洋服姿の女性)をそれぞれデジタルカメラで撮影し、画像の選択及び画像処理を行い、カラーの証明用写真及び、カラーポートレート写真を制作する(試験時間 1時間45分)
  2. 画像修復 支給される画像データを修復(色補正)する(試験時間 15分)
  3. 筆記試験 カメラや写真、及び写真館業務に関する問題を25問(試験時間:120分)

ちなみに写真技能士検定の1級に関して詳しく説明すると、

・背広七分身肖像写真撮影(男性)
・羽織袴全身肖像写真撮影(男性)
・振袖立ち全身肖像写真撮影(女性)
・振袖座り七分身肖像写真撮影(女性)
・振袖後ろ座り七分身肖像写真撮影(女性)
・肖像写真レタッチ5枚
・肖像写真修復1枚
・筆記試験

といった内容になっています。

 

■実技試験の難易度


実技試験の難易度は?

難易度に関しては「人による」というのが実際のところです。それは写真技能士検定は写真館協会が主催しているため、試験内容的が「写真館業務に極端に偏っている」ことが原因です。

実技試験は日頃写真館で働いている方にとって技術的には難しいものではありません。逆に写真館業務に携わっていない、あるいは写真館での経験がない方では、ベテランのプロカメラマンであってもかなり厳しい内容となっています。

実技試験の特徴

先に書いたように、写真技能士の実技試験、特に1級は「振袖や羽織袴を撮る」ということに特化されています。成人式の振袖や七五三、婚礼写真撮影を主な生業としている写真館にとって、そうした着物の撮影が最も重要であるためです。

試験内容は振袖や羽織袴を着たモデルをレンブラントライティングで撮影するというもので、ライティング自体は難易度の高いものではありませんが、着物を整えたり、着物特有のポージングでの撮影となります。綺麗に撮れていれば良いというわけではなく、厳密に決められた各ポーズを撮っていくというわけです。

フィギアスケートのショートプログラムのようなものと考えて頂ければと思いますが、着物の形の作り方、座る位置や手足の置く位置、袖の垂らす形など、さまざまな決まりごとがあり、このあたりが畑違いのカメラマンにとって難易度を上げている要因と言えます。

レタッチ&画像修復作業の注意点、PCと画像編集ソフトについて

写真技能士の実技試験には、以下の二つの作業が含まれます。

  • 撮影画像をレタッチして納品
  • 傷が入った画像の修復

この二つの作業での注意点ですが、使用するPCがiMac、ソフトウェアはPhotoshop(Bridge・Camera Raw・Photoshop)であるということです。

私は普段仕事でMac PCとWindows PCを併用し、Photoshopを使用しているため問題ありませんでしたが、今時のカメラマンは普段Windows PCをメインで作業をされている方も多いと思います。またソフトウェアもAdobe系でないものをメインに使用している方もおられるでしょう。

PCはiMacのみしか選択出来ないため、受験を考えられている方は、Mac&Photoshop(Bridge・Camera Raw・Photoshop)でのレタッチや修復作業に慣れておく必要があります。またLightroomは使用出来ませんのでお気をつけ下さい。

 

■実技試験に必要な機材


撮影機材、何があって何を持って行くべきか?

実技試験の機材ですが、

  • ジェネレーター × 1台(1200Ws)
  • フラッシュヘッド × 3灯(400Wsまで)
  • ハレ切り用カットレフスクリーン&ライトスタンド×1
  • カポック × 1枚
  • シンクロケーブル × 1本

などが会場に用意されています。カメラ・レンズ・メモリーカード・露出計は自分で用意していく必要があります。会場によってライティング機材のメーカーや出力は多少異なるそうです。

メインライトとフィルインライトの2灯でレンブラントライティングを組み、カポックでシャドーを持ち上げ、背景紙にもう1灯でバックグラウンドライトを当てるという、「いかにも写真館」なライティングを組みます。その上で先に申し上げたように、規定のポージングを撮影していきます。

レンズは標準ズームレンズがオススメ

カメラとレンズですが、シンクロケーブルが付けられれば何でも構いませんが、受験者は全員、フルサイズ機+ズームレンズを使用していました。

単焦点レンズがダメということではありませんが、試験会場は広さや背景紙がそれほど大きくないですし、レンズ交換の時間もありません。さまざまなポーズを撮影することを考えると、単焦点レンズで試験に挑むのはオススメではありません。

 

■筆記試験の難易度


筆記試験の傾向と対策

筆記試験問題に関しては実技試験ほど写真館業務に偏ってはいませんが、それでも写真館に関する問題が多く、中には「着物の生地の夏生地と冬生地の名称の区別」といったやはり一般的な写真・カメラの知識とは一風変わった内容になっているのも事実です。

勉強に関しては、フォトマスター検定1級の過去問や、写真文化という雑誌に写真技能士検定の過去問が掲載されていますから、そちらを勉強されるのが良いでしょう。

筆記試験の難易度は?

ちなみに私も写真技能士1級とフォトマスター検定EX(総合)を合格していますが、写真技能士1級に関しては、合格通知に正答率などは記載されておらず、合格ラインが80%以上、私自身の正答率は自己採点では94%程度だったように記憶しています。

問題自体の難易度に関してですが、写真とカメラに関する問題の難易度はフォトマスター検定1級と同等ですが、こちらも写真館特有の着物や写真館で撮影した写真の著作権の取り扱いなどの問題がある分、「クセがある」といった印象でした。

技能検定の筆記試験は過去問題そのままなので実は楽勝

ただ、写真技能士の技能検定は問題数が25問と少なく、時間も100分もあります。つまり1問につき4分かけられます。

それに対してフォトマスター検定の1級は問題数80問で時間も80分しかないため、スピードも必要になることと、出題の幅が広いため、フォトマスター検定1級の方が難易度は高いかと思います。

何よりも写真技能士の筆記試験問題は過去問題からそのまま出題されます。

日本写真文化協会発刊の冊子「写真文化」に、技能検定の過去問題が掲載されていますから、過去問題が掲載されている号のバックナンバーを過去3年分(3冊)程度取り寄せて勉強すれば楽々と合格することが可能です。

何月号に過去問題が掲載されているかは年度によって微妙に変わるため、日本写真文化協会に問い合わせて過去問題が掲載されているバックナンバーを聞いて購入すると良いでしょう。

いずれにせよ筆記試験に関しては、フォトマスター検定1級を合格出来るような方であれば、写真技能士1級も問題なく合格出来るでしょう。

 

■写真技能士は受ける意味はある?メリットは?


写真技能士を所得する意味はあるのか?

受けた私が言うのもなんですが、メリットがあるかと聞かれると、「写真館以外のカメラマンにはない」と思います。

  • 写真館関係者にしかその存在を知られていないこと
  • 技術や知識の向上という意味においても内容が写真館業務に特化され過ぎていること
  • 受験料金が異常に高いこと(事前講習会も含めると4〜5万程度かかります)
  • そもそも廃止が検討されていること

などがその理由です。

受験者の傾向と写真技能士資格の将来性

受験者も私が受けた時は「私以外の全員」が写真館のカメラマン(受験時に所属写真館を聞かれます)で、最も受験者数が多い東京会場でも、全級合わせて受験者は30名程度でした。

フォトマスター検定の昨年2015年度受験者が全国で5,961名であったことを考えると、その規模にかなりの差があることがお分かり頂けると思います。

また写真技能士の受験者数は年々減少しており、写真技能検定を取り仕切る写真館協会の理事長も、「このままでは廃止の可能性が高い」というお話をされていました(※技能検定は受験者数の少ないものは順次廃止されていくのがルールとなっています)。

写真館で働く人にとっては?

現在写真館のカメラマンで「一生写真館で働いていきたい」または「将来写真館を開業したい」という方であれば、取っておくのも良いでしょう。

また、写真館業界限定ではありますが、ある程度の箔が付きますから、違う写真館に移りたいという場合には有利に働くこともあると思いますし、写真館によっては、技能士を所得していると手当が付く所もあるようです。

 

■写真技能士のこれから


写真技能士検定の問題点

一口にプロカメラマンと言っても、ポートレート・風景・建築・スクール・ブライダル・報道・スポーツ・鉄道・航空・ファッション・ビューティー・コマーシャルなど、撮影ジャンルは様々です。

しかし現状写真技能士の試験内容は、写真館協会が取り仕切っていることもあり、写真館での肖像写真撮影にのみ特化されています。

この事が写真技能士検定の衰退に繋がっている最大の原因であることは間違いないでしょう。

営業写真館のカメラマンではない多くのカメラマンにとって、写真技能士の資格は「知識や技術の証明にならない上、知名度が極端に低い」という問題があります。

このあたりが改善され、より多くのジャンルのプロカメラマンにとって「受験するに値する」「受験してみたい」と思える検定になれば受験者数も増え、価値ある資格となっていくのではないかと期待しています。

写真技能士の将来性

またプロカメラマンとしての活動年数を受験資格に入れるのは意味がないので、受験資格に入れるのはやめるべきとも思います。

年数と実力は違うというのは、プロカメラマンこそ心に留めておくべきことで、「技術や知識は情熱に比例する、年数は関係ない」というのが私の考えです。

ただいずれにせよフォトマスター検定の登場によって、写真技能士検定はその役割をすでに終えているのかも知れません。

 

参考:中央職業能力開発協会
画像:Pro Photo Supply,Widetrade

Reported by 山﨑将方