SONYフルサイズミラーレス機α7 IIも2014年12月5日の発売から1年半が経とうとしています。α7(2013年11月15日)→α7 II(2014年12月5日)までの発売サイクルは約1年ですから、α7 IIIは2016年中の発売が予想されます。
熊本テクノロジーセンターの被災によりソニーのロードマップには影響が出ていると考えられますが、順当にいけば、α7 IIIが夏、α9が9月のフォトキナでの発表が噂されています。
というわけで今回はα7 II後継機、α7 IIIの予想スペックと、α7 IIとの比較を行ってみたいと思います。
■画質面での進化点
次世代のスタンダードとして
α7シリーズは、上位に高画素バージョンのRシリーズと低画素バージョンのSシリーズをラインアップしています。α7シリーズはスタンダードモデルとして、バランスのとれた画素数を採用しています。
α7R IIIでは7000-8000万画素イメージセンサーが採用されるのではないかと言われており、それに追随してα7 IIIも画素数を引き上げてくるのかは不明です。
α7 IIは有効画素数約2430万画素のフルサイズイメージセンサーを採用しており、このセンサーは多少のバージョン違いはあれども、SONYや他社カメラメーカーでも広く使われてきたイメージセンサーです。
進化し続けるイメージセンサー
DxO Markでも総合で90点を記録しており、画質面では現在でも優れたイメージセンサーではありますが、より高性能なイメージセンサーを搭載したα7R IIなどもあり、α7 IIIにもさらなる進化が待たれるところです。
α7R IIIには7000-8000万画素の更なる高画素センサーが採用されるのではないかとの噂がありますが、繰り上げでα7 IIIにα7R IIの約4240万画素裏面照射型イメージセンサーが採用される可能性もありますが、α7 IIIにはこれまでとは違う新型のイメージセンサーが採用される気がします。
■α7 IIIもα7R III・α7S IIIのような別バージョンが登場する?
α7シリーズには歴代高画素版のRシリーズや高感度特化型のSシリーズがあります。α7 IIIにもα7R IIIやα7S IIIなどの派生モデルは発売されると考えられます。
フルサイズエントリーモデルとしての立ち位置
α7シリーズはRとSの派生モデルがあるとは言え、単なる画素数違いではなく、コンセプトも異なります。スタンダードモデル、高画素モデル、高感度特化型モデルとなるわけですが、実質的にα7R IIはα7 IIの上位互換モデルのようになっているのが現状です。
α7 IIではα7からボディ内手ブレ補正が搭載されたこと、ボディ形状の変更に合わせた操作性の向上が大きなセールスポイントとなりました。
α7 IIIでどのような魅力が加わるのか興味深いところですが、解像力や高感度に特化したモデルがあるのであれば、α7 IIIは現在の最高約5コマ/秒から秒間コマ数を上げて、高速連写モデルの方向に近づいてみるのが面白いように思います。
■オートフォーカス性能やボディ内手ブレ補正はどうなるのか?
SONYが非常に力を入れ、今や一眼レフさえも超えたと言っても過言ではないオートフォーカスはどのような進化を迎えるのでしょうか?
進化し続ける驚異の像面位相差オートフォーカス
SONYはα6300で425点(位相差検出方式)、169点(コントラスト検出方式)という驚異的なオートフォーカスを実現しています。
像面位相差AFはα7 IIの117点から大幅に多点化し、恐らく500点を超えてくると予想されますが、SONYの開発者インタビューによると、像面位相差AFと言えども制御の問題があるため無制限に増やせるわけではないそうです。
APS-Cとフルサイズの面積比で考えると1000点を超えてもおかしくないように思いますが、実際はそこまで増やしてくることはないのではないかと思います。
強化されるボディ内手ブレ補正
またボディ内手ブレ補正に関しては、ライバルメーカーであるオリンパスが、ボディ内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正を同調させる5軸シンクロ手振れ補正によって6段分の驚異的な補正効果を得ています。
SONYもこれに対抗し、α7 IIの最高4.5段分の5軸手ブレ補正から更に強化され、ボディ内、もしくはボディ内+レンズ内手ブレ補正よって、5〜6段分の手ブレ補正を実現してくると考えられます。
■連写性能はどうなるのか?
α7 IIIは高速連写を売りにしてくる?
α7 IIにはα7R IIというほぼ上位互換と言っても良いバージョンがあり、画素数に差がありながらも連写性能に大きな差がないために実質的にα7R IIは価格違いの上位モデルとなっています。
α7 IIIに来るα7R IIIとのキャラクターの違いを与えるのであれば、連写性能など動体撮影に力を入れたモデルにしていくのも良いのではないかと思いますが、α7 IIIはフルサイズエントリーモデルという立場もあり価格は抑える必要があるため、極端な高速連写のようなメカ構造やバッファメモリーなどストレートにコスト価格に反映される高性能化は難しい部分なのかもしれません。
それらをふまえると、α7 IIIはAF追随で最高8〜10コマ/秒程度まで連写性能を引き上げてくるのではないかと予想されます。
■気になる記録メディアは?
SDXC(UHS-II対応)かXQDか、それが問題
現在α7シリーズでは、α7 II・α7R II・α7S IIと全機種SDXC(UHS-I対応)が採用されていますが、高画素化や動画性能の向上を考慮すると、α7 IIIからは記録メディアのバージョンアップも必要になっていきます。
ボディサイズや記録メディアの価格などを考慮すると、α7 IIIではSDXC(UHS-II対応)の採用が濃厚ではないかと考えられますが、α7R IIIでは6K/30pや4K/120p動画の採用も噂されており、遂にSONYがXQDカードを採用する可能性もあるかも知れません。
■動画性能はどうなる?
動画性能はSONYミラーレス機の大きなセールスポイントですが、α7 IIはα7R IIやα7S IIと違って4K動画が搭載されていません。
α7 IIIでは4K動画が搭載されると予想されますが、4K/30pなのか4K/60pであるかは現時点では不明です。
動画性能に関しては、このあたりが妥当であるように思いますが、そこはユーザーの予想を超えさせたら天下一品のSONYのことですから、更に上の性能を実現してくる可能性も十分にあるでしょう。
■ボディデザインや操作性は?
キープコンセプでありながらより着実な進化を遂げるα7シリーズ
α7シリーズに関しては、NEX-7のようなレンジファインダー型のフルサイズミラーレスを求める声も根強くあるものの、海外では一眼レフのような形状の現在のα7シリーズのデザインが支持されており、またファインダー接眼レンズの大型化も相まって、α7 IIIもα7 IIからキープコンセプトとなる可能性が高いでしょう。
α7からα7 IIになった際は、シャッターボタン位置やグリップ形状、ダイヤルなど細やかな改良が行われ、パッと見の差は小さくともその操作性は大幅に向上したことで高く評価されました。
α7 IIIにおいてもデザインや操作性の小改良は行われると考えられ、要望の多い点としては、測距点選択用のマルチセレクター
■α7 IIIの発表・発売時期・価格は?
気になる価格ですが、α7 II(発売当初:¥184,559)よりも高く、α7R II(発売当初:¥426,590)よりも安いであろうと考えられますが、この幅が広く、恐らくは19〜25万円の間になるのではないかと思います。
α7 IIIは引き続きエントリーフルサイズ機としての役割を担うため、大幅な価格アップは行わないと予想されています。
また正式発表・発売時期ですが、地震の影響もあり、本来の予定よりもズレ込む可能性が高いと考えられますが、遅くとも2016年9月のフォトキナ〜2016年末あたりには発表されると思われます。
■α7 IIの仕様とα7 IIIの仕様比較
α7 II vs α7 III(予想)仕様比較 |
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機種 | α7 II | α7 III |
有効画素数 | 約2430万画素 | 約2820万画素 |
撮像素子 | 約35.8×23.9mm | 約35.9×24.0mm |
画像処理エンジン | BIONZ X | BIONZ X |
記録媒体 | SDXC(UHS-I対応) | SDXC(UHS-II対応) |
ファインダー | 約236万ドット | 約236万ドット |
ファインダー視野率 | 上下/左右とも約100% | 上下/左右とも約100% |
ファインダー倍率 | 約0.71倍 | 約0.78倍 |
アイポイント | 接眼枠から約22mm | 接眼枠から約18.5mm |
シャッタースピード | 1/8000-30秒 | 1/8000-30秒 |
ストロボ同調速度 | 1/250秒 | 1/250秒 |
秒間コマ数(AF追随) | 最高約5コマ/秒 | 最高約10コマ/秒 |
連続撮影枚数(RAW/14ビット) | 約25枚 | 約35枚 |
連続撮影枚数(JPEG/FINE) | 約50枚 | 約50枚 |
常用ISO感度 | ISO100-6400 | ISO100-25600 |
最高ISO感度 | ISO25600 | ISO102400 |
フォーカスポイント | 117点 | 599点 |
コントラスト検出方式 | 25点 | 25点 |
AF検出範囲 | -1~+20EV | -3〜+20EV |
調光センサー | 1200分割ライブビュー分析測光 | 1200分割ライブビュー分析測光 |
動画記録形式 | XAVC S、AVCHD規格 Ver.2.0準拠、MP4 | XAVC S、AVCHD規格 Ver.2.0準拠、MP4 |
動画記録画素数 | 1920×1080:FHD 1280×720:HD |
3840×2160:4K 1920×1080:FHD 1280×720:HD |
フレームレート | FHD:60p/60i/24p HD:120p/60p/30p/24p |
4K:30p/24p FHD:120p/60p/60i/24p HD:240p/60p/30p/24p |
圧縮形式 | XAVC S: MPEG-4 AVC/H.264 AVCHD: MPEG-4 AVC/H.264 MP4: MPEG-4 AVC/H.264 |
XAVC S: MPEG-4 AVC/H.264 AVCHD: MPEG-4 AVC/H.264 MP4: MPEG-4 AVC/H.264 |
モニター種別 | 3.0型TFT液晶モニター | 3.0型TFT液晶モニター |
モニター解像度 | 約122万ドット | 約122万ドット |
タッチパネル | なし | あり |
GPS | なし | なし |
Wi-Fi | あり | あり |
バッテリー寿命 | ファインダー使用時:約270枚 液晶モニター使用時:約350枚 |
ファインダー使用時:約280枚 液晶モニター使用時:約370枚 |
大きさ | 約126.9×95.7×59.7mm | 約126.9×95.7×60.3mm |
重量 | 約556g(ボディのみ) 約599g(CIPA準拠) |
約582g(ボディのみ) 約625g(CIPA準拠) |
Reported by 正隆