この春発売が予定されている話題のミラーレス機、PEN-F、α6300、X-Pro2。
どれも注目度が高く、前評判も良い機種です。またファインダー内蔵モデルかつレンジファインダー風のスタイルといった共通点も多いこの3機種。
検討しておられる方も多いと思いますので、今回はこの3機種を比較してみたいと思います。
■OLYMPUS PEN-Fってどんな機種?
PEN-Fの魅力は、アルミ削り出しのダイヤルやマグネシウム製のトップカバー。そして、コンパクトなボディに凝縮された物理ボタンと物理ダイヤルによるダイレクトな操作感が大きな大きな特徴となっています。
オリンパスでは「時代を超えた美しいデザイン」であると謳っています。
トップとフロントカバーはマグネシウム合金、底面と各ダイヤルはアルミ素材を採用しています。大きさは現行機のPEN-Fよりも僅かに高さがありますが、それほど大きな違いはありません。
PENシリーズとしては初のEVF(OLED/236万ドット)、ファインダー倍率は1.23倍(35mm判換算0.62倍)となっています。新たにダイナミックレンジを拡張することでファインダー像の白飛びや黒つぶれを抑制するOVFシミュレーションモードが搭載されています。
上面にモードダイヤル・露出補正ダイヤル・シャッターボタンが配置され、撮影者から向かって左側上部にはフィルムの巻き戻しクランクを模した電源スイッチが配されています。
背面モニターは3.0型バリアングル液晶。タッチスクリーンが採用され、モニター裏側はシボが付けられて樹脂製素材となっており、モニターを裏返すとフィルムカメラのような背面となります。
特徴的な本体前面にあるクリエイティブダイヤルは、バルナック型ライカからインスピレーションを得たのではないかと思います。
センサーは新型2030万画素Live MOSセンサー。ボディ内5軸手振れ補正もPENシリーズとしては初搭載。更に新機能としてモノクロプロファイルコントロールとカラープロファイルコントロールが搭載されています。
最高シャッター速度は1/8,000秒。静音シャッターも搭載。レリーズタイムラグ0.044秒はミラーレス機としては最速。
動画性能はFHD動画。タイムラプス動画にも対応しています。Wi-Fiと搭載し、バッテリー寿命は約330枚。
つらつら書いてみましたが、スペック的にはOM-D E-M5 Mark IIでも構わないわけで、結局このカメラは「デザインが刺さるかどうか」というカメラと言っても良いと思います。
■SONY α6300ってどんな機種?
α6000の後継モデルとなるα6300の最も大きな特徴は、そのオートフォーカス性能で、世界最速0.05秒を謳う4D FOCUS、AF・AE追随で秒間最速11コマ。更に測距点がまさかの425点像面位相差方式となっていることです。
425点て!
これはレンズ交換式カメラでは当然世界最多となっています。また連写中でも表示が追随し所謂パラパラ漫画にならない表示が可能になり、そのモードでも秒間8コマの連写速度を実現しています。
イメージセンサーは2420万画素APS-Cセンサーを採用していますが、ドットバイドットの4K動画記録にも対応しています。4K動画記録に対応。FHDサイズでは120fpsでのハイスピード動画にも対応しています。
ファインダーはOLED(有機ELトゥルーファインダー)を採用し、リフレッシュレートは120fps。NFC方式のWi-Fi接続も前モデル同様の仕様。
外装がマグネシウムに変わり、NEX-7がマグネシウムだったためα6000が発売された際に出た、「樹脂製ボディではクラスダウンしたようで買い替えづらい」という意見にも応えた形になりました。また同じくNEX-7にあってα6000には非搭載だったために要望の多かった電子水準器も搭載しています。
■FUJIFILM X-Pro2ってどんな機種?
X-Pro2は2012年に初のXシリーズとして発売されたX-Pro1から4年の歳月を経て発売されたフジフイルムのフラッグシップミラーレス機です。
X-Pro2に搭載されるイメージセンサーは2430万画素X-Trans CMOS IIIです。X-Trans CMOSセンサーはフィルムの構造から着想を得たランダム配列のカラーフィルターを採用しており、ローパスレスありながら色モアレを抑制する効果があるのが特徴。
画像処理エンジンも新型の物が採用され、従来機種に搭載されていたEXR プロセッサーIIから、X-Processor Proに変更、定評のある色再現性・階調表現に磨きがかかり、高感度ノイズも低減されています。
またX-Pro1の大きな弱点として現在のミラーレス機と比較して非常に遅かったAF性能を向上させており、像面位相差AFを採用することで最速0.06秒と現代的な基準に一気に引き上げてきました。それに合わせて起動時間や撮影間隔も大幅に短縮されています。
連写性能は秒間約8コマ、最高シャッタースピードは1/8000秒。加えてSDカードスロットもXシリーズで初のデュアルスロットとなり、SDXC(UHS-II対応)/SDHC/SDカードを2枚挿しで使用できます。
マグネシウム合金ボディを引き続き採用し、防塵防滴性能が加わったことも魅力の一つと言えるでしょう。
■外観比較
■PEN-F vs α6300 vs X-Pro2性能比較
PEN-F・α6300・X-Pro2比較表 | |||
機種名 | PEN-F | α6300 | X-Pro2 |
撮像素子 | |||
センサーサイズ | 17.4×13.0mm | 23.5×15.6mm | 23.6×15.6mm |
総画素数 | 約2177万画素 | 約2500万画素 | ー |
有効画素数 | 2030万画素 | 約2420万画素 | 約2430万画素 |
アスペクト比 | 4:3 | 3:2 | 3:2 |
RAW | 12bit RAW | 14bit RAW | 14bit RAW |
記録メディア | |||
記録メディア | SDXC(UHS-II) | SDXC(UHS-I) メモリースティック PRO-HG Duo |
SDXC(UHS-II/Slot1のみ) |
スロット数 | 1 | 1 | 2 |
露出制御 | |||
ISO感度 | 静止画撮影時:ISO80〜25600 | 静止画撮影時:ISO100〜51200 動画撮影時:ISO100〜25600 |
静止画撮影時:ISO100〜51200 |
測光方式 | 324分割測光 | 1200分割測光 | 256分割測光 |
シャッター | |||
シャッタースピード | 1/8000〜30秒、Blub | 1/4000〜30秒、Blub | 1/8000〜30秒、Blub |
ストロボ同調速度 | 1/250秒 | 1/160秒 | 1/250秒 |
電子先幕シャッター | 搭載 | 搭載 | 搭載 |
サイレントシャッター | 搭載 | 搭載 | 搭載 |
ドライブ | |||
連続撮影速度 (AF/AE追随時) |
最高約5コマ/秒 | 最高約11コマ/秒 | 最高約8コマ/秒 |
連続撮影可能枚数 (AF/AE追随時) |
JPEG:無制限 RAW:250枚 |
JPEG:47枚 RAW:21枚 |
JPEG:83枚 RAW:33枚 |
オートフォーカス | |||
フォーカス形式 | コントラスト検出方式 | 像面位相差検出方式 コントラスト検出方式 |
像面位相差検出方式 コントラスト検出方式 |
フォーカスポイント | 81点 | 425点(像面位相差AF) 169点(コントラストAF) |
77点 |
フォーカス検出 | 不明 | -1〜20EV | 不明 |
ファインダー | |||
ファインダー方式 | 電子式ビューファインダー | 電子式ビューファインダー | ハイブリッドファインダー |
ファインダー倍率 | 約1.23倍 | 約1.07倍(35mm判換算:約0.70倍) | 約0.60倍(35mm判換算) |
ファインダー視野率 | 約100% | 約100% | OVF:約92% EVF:約100% |
アイポイント | 最終光学面から約20mm | 最終光学面から約23mm 接眼枠から約21.4mm |
最終光学面から約16mm |
手振れ補正 | |||
手振れ補正方式 | ボディ内 | レンズ内 | レンズ内 |
動画 | |||
動画記録 | FHD/30P/77Mbps | 4K/30P/100Mbps FHD/120P / 100 Mbps |
FHD/60P |
動画形式 | MOV | AVCHD規格 Ver.2.0準拠 | MOV |
圧縮形式 | MPEG-4AVC/H.264 | AVCHD: MPEG-4 AVC/H.264 MP4: MPEG-4 AVC/H.264 |
MPEG-4AVC/H.264 |
Wi-Fi | |||
Wi-Fi | 搭載(QRコード対応) | 搭載(NFC対応) | 搭載 |
液晶モニター | |||
液晶画面 | 3.0型液晶 | 3.0型ワイド液晶 | 3.0型液晶 |
総ドット数 | 1,040,000ドット | 921,600ドット | 1,620,000ドット |
可動式液晶 | 2軸可動式バリアングル液晶 | 可動式チルト液晶 上:90°/下:45° |
固定式液晶 |
タッチパネル | 搭載 | 非搭載 | 非搭載 |
防塵防滴性能 | |||
防塵防滴 | なし | あり | あり |
電源 | |||
バッテリー型番 | BLN-1 | NP-FW50 | NP-W126 |
静止画撮影可能枚数 | 約330枚 | ファインダー使用時:約350枚 液晶モニター使用時:約400枚 |
EVF時:約250枚 OVF時:約350枚 |
動画撮影可能時間 | 80分 | ファインダー使用時:約60分 液晶モニター使用時:約60分 |
不明 |
サイズ | |||
外形寸法 | 124.8×72.1×37.3mm | 120×66.9×48.8mm | 140.5×82.8×45.9mm |
質量 | 約373g:本体のみ 約427 g:バッテリー,メディア込み |
約361g:本体のみ 約404g:バッテリー,メディア込み |
約445g:本体のみ 約495g:バッテリー,メディア込み |
■結局どれが買いなの?
さて、PEN-F・α6300・X-Pro2と比較していきましたが、三者三様に特徴があるものの、全体的に見ると特定機種が圧倒的に勝るというほどの大きな差は見つけられませんでした。また重視するポイントはユーザーによって異なるため、単純に優劣を付けるのは難しい部分があります。
しかしながら価格帯を考えると、X-Pro2は光学ファインダーを搭載しているとはいえ割高感は否めず、α6300が最も性能的なコストパフォーマンスに優れ、PEN-Fは高級感のある外装でありながらX-Pro2とα6300の中間の価格帯ということでバランスが良い機種と言えます。
それぞれの特徴をまとめると、
- PEN-F:魅力的な外装/ボディ内手振れ補正/バッファメモリー
- α6300:ミラーレス最高のオートフォーカス性能/動画性能/防塵防滴
- X-Pro2:唯一のハイブリッドファインダー/高精細な液晶画面/防塵防滴対応
などが挙げられます。最後にオススメユーザーを挙げるとすれば、
- PEN-F:デザインに惚れた方。または凝縮感のあるカメラを使いこなす喜びを感じたい方
- α6300:ミラーレス機最高峰のオートフォーカス性能で静止画動画ともに撮影してみたい方
- X-Pro2:とにかく光学ファインダー命という方。またはほど良くボリュームがあるカメラが好きな方
となります。