美瑛の「哲学の木」ついに撤去される…所有者が決断

写真愛好家に人気だった、美瑛の「哲学の木」が、所有者によって撤去されました。

哲学の木

所有者は観光客のマナーの悪さに困惑しており、数年前からは木に赤い✕印を付け撮影禁止にしていたそうですが、ついに今回の決断に至ったとのこと。やはり原因は押し寄せるカメラマンのせいなのでしょうか?



■哲学の木、撤去される


畑や牧草地が広がる北海道美瑛町で、「哲学の木」として親しまれていた大きなポプラの木が24日、倒されました。

この木は私有地の畑の中に立っていましたが、木の老化に加えて無断で入り込むなどのマナー悪い観光客に悩まされており、所有者の農家が決断したそうです。

広くなだらかな畑の中に一本だけ立ち、何かを考えているかのように斜めに傾くその姿から「哲学の木」と名付けられましたが、音楽グループ「ゆず」の映像作品に使われたり、有名写真家が作品を発表するなどで知名度が上がるにつれ、上記の問題も深刻なものとなってきました。

所有者の農家は数年前から「切り倒そうか悩んでいた」ようですが、その度に写真愛好家や地元の観光協会の声に板挟みになっていたのかもしれません。

関係者に寄ると、老木となって枝が落ちたり倒れたりする危険があり、その際に農作物の被害が考えられたことと、観光客らに畑を荒らされる被害がなくならないことが背景にあるといいます。

所有地には立ち入り禁止などの看板で注意を促し、木の幹に✕印をつけて撮影禁止にし、町の観光スポットのリストからも外してもらったといいます。ネット上の声によると、注意をしても無視したり、畑の踏み荒らし、ゴミのポイ捨てなどの行為が少なくなかったとのことです。

ちなみに、ニュースサイトでは「切り倒された」という表現が多く見られますが、実際に立ち会った人物のネット上の情報によると、たいへん弱って寿命を全うしようとしていたため「倒された」そうです。

■愛された木の最後


あまりにも有名でインパクトのある木なので、まるで公共のオブジェのように都合よく考えがちです。しかし本来は所有者のある農家の物である以上、無断での立ち入りなどは許されることではありません。

美瑛には他にも、「クリスマスツリーの木」などの有名な木があります。木の老化は仕方ないとしても、観光客やカメラマンのマナーの悪さによって撤去されるというような悲しい事態を迎えることのないようにしたいものです。

参考:朝日新聞
画像:写真素材ぱくたそ

Reported by ひらはらあい