お盆や年末年始には、家族が集い、みんなで写真を撮る機会があるもの。せっかく撮るなら綺麗に思い出を残したいですよね。
今回はやさしい子供&家族写真の撮り方のコツをご紹介します。
今のうちに習得すれば、年賀状にも使える素敵な1枚が撮れるはず!
■子供の撮り方
まず初めは子供の撮り方です。子供は言うことを聞いてくれるとは限らず、とにかく撮りづらいもの。基本のポイントを押さえて可愛く撮ってあげましょう!
カメラの設定を見直そう
最初からこだわって目にピントを合わせようとしても、動きまわる子供相手ではなかなか上手くいきません。AFは「顔認識」モードがあれば、かなり正確に認識してくれますので迷わず試してみてください。
一眼レフではオートフォーカスの遅いライブビューは使わず、ファインダーで撮りましょう。その際「AF-C」などの、被写体を追随するモードを選択してください。
シャッターを半押ししている間は被写体を追い続けるので、お子さんがすぐ動いてしまってもピンボケ率を減らすことができます。こうして、カメラに頼れる部分は全部カメラに任せてしまいます。
子供の視線に合わせよう
子供の面白い瞬間をとっさに撮ろうとすると、どうしても大人の目線の高さのまま撮ってしまいがち。お子さんを可愛らしく写すコツは、かがんで子供の目線に合わせることです。
それだけで、文字通り上から目線ではなく、親しみを感じさせる画面になります。ハイハイしている赤ちゃんの場合は這いつくばるようにして撮ることになり大変ですが、頑張る価値はあります。
コミュニケーションを工夫しよう
「笑って!」と言って素直に笑ってくれれば楽なのですが、そう単純にはいかないことも多いですよね。そんな時はお子さんと遊んで笑顔を引き出してしまいましょう。
小さなお子さんに絶大な効果を発揮するのが、ママ、パパと「おでこをごっつんこ」したり、「こちょこちょ」くすぐったり。
笑顔になったらすかさずシャッターを切りましょう!
無理に作った笑顔ではなく、本気で笑っている表情が撮れること請け合いです。
そして写真は特別なときだけに限らず、普段からカメラを手元に置いて、いつもの遊んでいる様子も撮ってあげてくださいね。カメラを気にしないでくれるようになったら、真剣な表情もお友達と楽しく遊んでいる様子も写真に収められるでしょう。
お子さんはあっという間に大きくなってしまうもの。今の姿をずっと未来へ残しておくために、ぜひ試してみてください。
■集合写真の撮り方
家族が集まるイベントがあったら、集合写真を撮るチャンス!
今のうちに撮っておけば来年の年賀状にも使えて重宝します。
そこで、いざというときの集合写真の仕上がりをぐっと良くし、みんなが納得する一枚を撮るためのポイントを押さえておきましょう。
画質、画像サイズを設定する
スナップを撮影している最中は画像サイズ「S」や「M」で十分だと思っていても、そのままの設定で集合写真を撮ってしまうと、解像度が足りず人物一人ひとりの顔を大きく見ることができません。
あとで後悔しないようにまず設定を見直し、「最高画質」の「最大画像サイズ」に設定しておきましょう。なお、RAWで撮っておけば最大量の情報が入ったデータですので心配は無用です。
三脚を使う
自分も一緒に写りたい場合、顔のアップなら自撮りでもなんとか撮れますが、自撮りは人数が2人、3人と増えるほど難しくなってきます。ここは無理せず三脚を使いましょう。
その際、カメラ本体でセルフタイマーを設定することはよく行われますが、何枚も撮りたいときはいちいちカメラまで戻るのが大変です。
そこで、無線のリモコンがあると大変便利です。手元まで写すときは隠しながらになりますが、何枚も撮影するときの負担がかなり軽減されます。
背面液晶が稼働するバリアングルのカメラをお使いの場合は、モニターを自分たちのほうに向ければさらに簡単です。
このときついモニターを見てしまいますが、シャッターを押すときはみんながちゃんとレンズに注目するよう気をつけましょう。
また、三脚を使用することで低感度で撮影することが可能になり、薄暗い場所や室内でもノイズを抑えた綺麗な画質を得ることができます。写真を等倍で鑑賞したときも、シャープで美しい仕上がりが楽しめます。
必ずしも全身を入れる必要はない
観光地での記念撮影は、その場所の風景と全身を写すことが多いと思います。もし年賀状に使うつもりの写真でしたら、何気ない背景でもいいので家族みんなの顔を大きく写してみてはいかがでしょうか。
人数が多いと広く撮らないといけないので自然とアップの写真が少なくなるかと思いますが、前後二列に並んで前列の人がしゃがむなど、工夫をしてできるだけ顔を大きく移してみましょう。表情がわかりやすく、インパクトの強くて面白い写真になるはずです。
姿勢を工夫する
小さなお子さんがいるときは、ぜひ大人の方はお子さんの隣にかがんでみてください。みんながお子さんの目線の高さに合わせれば、アットホームな雰囲気満点のカジュアルな写真が撮れますよ。笑顔も自然とこぼれてきます。
また、全身を撮る場合でも単にまっすぐ立っただけでは味気ないので、肩を組んだり、顔をお互いの方へ少し傾けたり、みんなで同じポーズを取ったりと何か工夫してみましょう!
クリップオンストロボを使う
屋外で十分な明るさがある場合は良いのですが、逆光だったり、屋内でも暗い場所で写真を撮りたいこともあると思います。
そういうときはホットシューにつける、手軽なクリップオンストロボを使ってみてください。見違えるほど明るくきれいに写ります。
また、十分な日光があるときでもストロボを発光させることで顔の影を飛ばすことができます。
屋内で撮影する場合、ストロボを天井に向けて発光させる「天井バウンス」というテクニックも試してみてください。天井が高すぎなければ、跳ね返った光が柔らかく人物を包み込んで、直射した時より自然な光で撮影できますよ。
思いっきり笑う
最後に大切なのは、とにかく思いっきり笑うこと。「笑って」と言って広角を上げた程度の笑顔ではぜんぜん足りません。幸せな雰囲気を伝える家族写真は、みんなが歯を見せて心から笑っている写真です。
カメラを向けて改まった雰囲気になってしまうと難しいので、遊んでいるつもりで冗談を言いながら、いろいろ楽しんで撮ってくださいね。
■ポートレートの基本
次は人物一人にフューチャーした、ポートレート撮影の基本をご紹介します。
特別な機材を使わなくても実践できるポイントがたくさんありますので、いつも何気なく家族や友人を撮っている方も、この機会にコツを押さえてワンランク上の人物写真を撮ってみませんか?
人物のどの範囲をフレーミングするか決める
一般的にポートレートといって思い浮かべるイメージは、胸から上を写したバストアップや、腰から上を写したウエストショットと呼ばれるものでしょう。
それ以外にも、頭からつま先まで全身を写したフルショットや、背景まで含めて作品としたロングショットと呼ばれる撮り方があります。
今のシチュエーションではどの範囲を切り取るのがベストか考えてから、落ち着いてフレーミングしてみましょう。
背景を選ぶ
背景はよく場所を選ぶのがポイントです。背景をしっかり写すときほど、余計な物や通行人が写り込まないよう注意をするといいでしょう。
どうしても写ってしまう時は自分がしゃがんだり、または椅子の上などに乗って俯瞰するなど、アングルを変えると成功するかもしれません。
背景を写す=絞ってシャープにという概念にとらわれず、例えばタワーや神社仏閣など、シルエットが特徴的なものはある程度ボカしてもちゃんと場所を伝えることができますので、開放で撮って雰囲気のあるポートレートに仕上げてみてくださいね。
背景をたっぷりぼかすには、F値を開放(小さな数字)に。
その際背景は、キラキラした日の当たった緑や、鮮やかな花や看板が遠景にあると、人物が引き立って綺麗に見えますよ。
太陽の位置に気をつける
人物撮影=逆光に注意というイメージがありますが、必ずしもそうではありません。順光で日差しが強いときはまぶしくて表情が強張ってしまうことも。
そんな時、半逆光を選ぶとほどよく人物が浮かび上がり、顔の影も和らいでほど良いライティングになります。
また、思い切り逆光でも髪の毛の輪郭がキラキラと輝き、プラス補正することで表情も写せるので、雰囲気の良いポートレートに仕上がることがあります。
特に夕暮れ時の暖かい光で実践するとうまくいくことが多いので、ぜひ試してみてくださいね。
身だしなみを整える
当たり前のようで忘れがちなのが、きっちり身だしなみを整えることです。撮影前はもちろん、撮影中も動いているうちに少しずつ乱れてしまうものなので、こまめに直してあげましょう。
特に女性の場合、前髪の乱れやネックレスの位置がズレているととても目立ってしまうので注意します。
男性の場合もネクタイの位置やスーツのシワなど、目立っておかしい部分がないか気をつけながら撮影します。お子さんの場合、ソックスがずり下がっていることが多いので注意です!
ホワイトバランスに注意する
人間の目は、特に肌色に対して敏感です。例えば電球色の照明のもとで撮影して、人物が思いっきりオレンジがかってしまった経験はありませんか?
少しだけ電球色の色味を残すのは雰囲気を出す意味でも良いのですが、ホワイトバランスを正しく設定して極端な「色かぶり」に気を付けて撮影してみましょう。
raw現像する場合でも、大きすぎる色かぶりを補正するには限界がありますので、現場でできるだけ自然な色合い(または表現したい色合い)に近づけておくといいですね。
目にピントを合わせる
ポートレートでは、人物のカメラに近い方の目にピントをあわせるのが基本です。カメラから見て奥の目にピントがあっていると、手前がボケて不自然な印象を与えてしまいます。
測距点を選択せず、オートや顔認識で撮影してしまうと、被写界深度が浅い場合(あまり絞ってないとき)手前の目にピントが合わず、違和感が出てしまう場合があります。
ぜひAFモードはシングルポイントなど測距点を自分で選択するモードにし、カメラから見て手前の目に丁寧にピントを合わせましょう。人物がカメラと水平なとき(真正面から撮るとき)は、左右どちらの目に合わせても同じです。
注意したいのは、2人以上の人物を同時にフレーミングする場合ですが、ある程度絞ってどちらの人物も被写界深度内に入るようにしましょう。
2人いるのに片方の人物の目がボケていると残念な写真になってしまいます。
広角レンズと望遠レンズを使い分ける
人物を見たままに近く写し取るには、35mm判換算で70~90mm程度だと極端なパースがつかず自然な見た目の写真になります。
広角で被写体に寄るとパースが強調され、カメラから近いものはより大きく、遠いものはより小さく見えるので、自然な見た目にしたい場合はNGですが、わざと人物の顔を大きく写してデフォルメした表現をしたり、また下からあおって足を長く・顔を小さく見せることができます。
また、望遠レンズでは「圧縮効果」といって距離が縮まって見える効果があるので、例えば花畑を背景にした時に、花と花の距離を縮めて密集感を出すことができます。使い方によっては目で見る以上にインパクトを与える演出が可能なのです。
広角と望遠は固定観念にとらわれず、表現の一つとして利用してみましょう。
手ブレ・被写体ブレに気をつけよう
薄暗いところなどでシャッタースピードが落ちてしまうと、手ブレの危険が高まります。これを防ぐにはISO感度を低い感度で固定してしまうのではなく、オートに設定しましょう。
そうすれば絞り優先やオートでも、感度が適度な値まで自動で上がってくれるので、手ブレを防ぎやすくなります。
また、露光中に人物が動いてしまいブレの原因になる「被写体ブレ」を防ぐには、シャッター優先モードで早めのシャッタースピード(動きの少ないシーンなら1/125程度。
1/400程度なら人物の動きは大体止めることができます)にするか、ISO感度の設定の中の「最低シャッタースピード」を設定します。例えば「1/125」に設定すればそれよりも長いシャッタースピードに自動で落ちることはなくなり、被写体ブレ防止に役立ちます。
■ちょっぴり上級テクニック
キャッチライトを入れる
キャッチライト(アイキャッチ)は瞳に入る白い輝きです。近くに白いものがあれば入るので偶然にできることもありますが、レフ板を置くなどして意識的に入れてみましょう。
レフ板がないときは、光源(屋内なら照明、屋外なら太陽)のほうに顔を向けると、同じようにキャッチライトを入れることができます。ぐっと活き活きとしたポートレートになりますよ!
・第二十八回 ポートレートの基本<4>
手の位置や動きで印象を変える
例えば、全身の写真で両手を胸の上に持ってくれば、目線が上に行きスタイルを良く見せることができます。頬にそっと手を当てれば、輪郭が隠れて小顔効果も。
また、片手を腰に当てたり、シャツの襟を掴んでみたりメガネなどの小物を触ると動きを出すことができます。ポーズがマンネリに陥ってしまう方は「何かを触らせる」ことを意識して、ポーズのバリエーションを増やしてみましょう!
頭や肩を少し切ってみる
いつも頭のてっぺんや左右の腕を全てフレーミングするのではなく、たまにはあえて少しだけ切ってみましょう。文字通り人物が画面にはみ出すインパクトのあるポートレートになります。また、腕を少し切るのは女性を細く見せる効果もあります。
前ボケを入れてみる
身近に緑や花があったら人物をその後ろに立たせ、前ボケとして効果的に使ってみましょう。ピントは人物に合わせ絞りを開放にすることで、人物より手前にある緑や花をふわっとぼかすことができ、人物を引き立てるアクセントになります。
コツはぼかしたいものにだけ近づき、ピントを合わせる人物とは距離を取ることです。
この方法は他にも応用が利きます。例えば手すりに身を乗り出す人物を横から撮影してカメラに近い方の手すりをぼかして印象的に仕上げるなど、色々なもので試してくださいね。
■簡単シンプルライティング
「ストロボを使うと、のっぺりしたつまらない写真になってしまう」と思っていませんか?それは何の工夫もなく、ただ直射しているせいかもしれません。また、自然光でも工夫次第で光をコントロールすることができます。
家族写真の撮り方、最後は簡単なライティングの工夫をお伝えします。
レフ板を使ってみよう
レフ板といえば白くて丸いものを想像されるかもしれませんが、いろいろな色と形があります。
普通の白レフで人物の影を持ち上げたりキャッチライトを入れるのはもちろん、「透過レフ」と呼ばれる光を透過するレフ板を使い、強すぎる直射日光を透かして和らげることもできます。あると便利なレフ板、ぜひ試してみてください。
クリップオンストロボの使い方
カメラ内臓のストロボではなく、ホットシューにつけるクリップオンストロボ(スピードライト)が1台あるだけで、ライティングの幅が広がります。
例えば屋内なら、ストロボを真上に向けて天井に光を跳ね返す「天井バウンス」は、プロカメラマンもブライダル撮影などで使用するとても手軽で効果的な方法です。天井で光が拡散するので、ストロボを直射するよりも柔らかい光になり、人物も優しい表情に撮影できますよ。
屋外で撮影する場合は、レフ板にバウンスさせることで同じような効果が得られます。
この場合、レフ板の位置によって光の当たり方が変わります。人物の手前、左右どちらかの斜めから跳ね返すようにするといいでしょう。
夜景と人物をキレイに撮る方法
夜景やイルミネーションと人物を写したいとき、人物にストロボを当てただけでは背景は暗く落ち込んでしまいます。夜景と人物をキレイに撮るには、カメラで「スローシンクロ」というストロボの発光方法を選びます。
操作は機種によりますが、雷のマークのストロボ発光モードをダイヤルなどで動かし、「SLOW」という表示が出ればOKです。こちらは内蔵ストロボでも可能ですよ。
これで夜景のきれいなスポットに行っても安心ですね!
■家族はいちばん身近な被写体
これであなたも立派な家族写真カメラマン。素敵な一枚が撮れたら、プリントしてお部屋に飾っても素敵ですね!
今回の記事は、どんどんプリントで連載しているブログ記事を加筆・修正したものです。最新の連載はぜひどんどんプリントの公式ブログでチェックしてくださいね。
Reported by ひらはらあい