フジフイルムのフラッグシップミラーレス機であるFUJIFILM X-T2の登場が近づいていますが、前モデルとなるX-T1と比較してX-T2はどのような進化を遂げたのでしょうか?その予想スペックを比較してみましょう。
買い得のX-T1か?最新のX-T2か?オススメはどちらなのか!?
■X-T2の画質面での進化
高画素化と新型画像処理エンジン
後発のX-Pro2では約2430万画素の新型APS-Cセンサーと画像処理エンジンX Processor Proを採用しています。X-T2にもこのイメージセンサーと画像処理エンジンが使われる可能性が高いでしょう。
現状のAPS-Cイメージセンサーと画像処理エンジンの組み合わせでは、このX-Pro2の組み合わせは他メーカーのAPS-Cイメージセンサーを採用したモデルと比較しても非常に優れたパフォーマンスを示しています。
■オートフォーカスと連写はどうなる?
最速のXマウントミラーレス機
X-Pro2では、測距点をX-Pro1の49点から77点まで拡大されており、全画面の約40%を高速・高精度な像面位相差エリアとすることで、動体撮影時の合焦率が飛躍的に向上しています。
その上でフォーカスレバーを搭載することで、測距点選択を従来より高速に行えるようになっています。
X-T2でもX-T1から測距点選択が増えていると予想されますが、SONYのα6300では425点の像面位相差AFセンサーと169点のコントラストAFを画面のほぼ全域に配置するという驚異的なオートフォーカスを実現しているため、X-T2でX-Pro2以上の像面位相差AFを実現してくるのかは興味深い部分です。
■X-T2の動画性能は?
4K動画は採用される?
X-T2ではフジフイルムで初めての4K動画記録に対応してくると言われています。
フジフイルムユーザーは恐らくペンタックスと並んで全メーカーで最も動画撮影に関心の薄いユーザー層であるという気がしますが、他社メーカーから今後発売されているモデルのほとんどが4K動画に対応してくであろうことは確実で、X-T2もフジフイルムのフラッグシップモデルとして4K動画を採用してくる可能性が濃厚です。
画像処理エンジンのスペックから見ても、4K/60pの搭載は難しく、X-T2に4K動画が搭載されるとしても4K/30pである可能性が高いでしょう。
■記録メディアは?
不満の少ないUHS-IIデュアルスロット
X-T1は他社に先んじてUHS-IIに対応してきたことで知られており、4K動画やさらなる高速連写を採用していくことを考えると、記録メディアはSDXC(UHS-II対応)が引き続き採用されると考えられます。
またX-Pro2と同じく、デュアルスロットとなる可能性が濃厚と言えるでしょう。XQDやCFastはより高速な書き込みが可能ですが、ボディサイズなどを考えると採用してくる可能性は低いと考えられます。
■X-T2のデザイン面での変更点
ただのキープコンセプトではない、改良の加えられたクラシカルデザイン
X-T2では、ボディ背面にフォーカスセレクターレバーが追加されており、より素早い測距点選択が可能で、従来フジフイルムがあまり重視してこなかった動体撮影にも配慮された造りになっているのが伺えます。
超望遠レンズである(XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR)や2倍テレコンバーター(XF2X TC WR)などのラインアップがされたこともあり、野鳥撮影や屋外スポーツ撮影などにもXシリーズを使って欲しいという意志を感じます。
撮る喜びのX-Pro2と先進性のX-T2
フジフイルムにはもう一つのフラッグシップ機として、X-Pro2がありますが、X-Pro2は光学ファインダーを搭載した撮影を楽しむコンセプトですが、X-T2はどちらかと言うとフジフイルムの先端技術を搭載した先進性を追求するモデルと言えるでしょう。
細かい部分ではシャッターボタン周りにあった動画撮影ボタンがモードダイヤルに移設されていたりといった変更がされています。このように様々な部分で細かく変更されていますが、全体的なシルエットなど基本的なデザインはキープコンセプトで、クラシック一眼レフのような佇まいであるのは同じです。
またX-Pro2というもう一つのフラッグシップ機が存在し、以前のX-Pro1とX-T1では発売時期が大きく異なったために、X-T1が上位互換に近い部分がありましたが、X-Pro2とX-T2では発売時期がそれほど変わらないためにコンセプトの違う2つのフラッグシップ機として両立させていくことが考えられます。
X-T2ではある意味でフジフイルムらしくない多機能性を目指すことが出来るため、硬派さよりも先進性を重視すると考えられ、液晶モニターにもX-T1では採用されなかったタッチパネルや可動式液晶モニターが採用される可能性が考えられます。
■X-T2のスペック面での進化
X-T1 vs X-T2(予想)仕様比較 | ||
機種 | X-T1 | X-T2(予想) |
有効画素数 | 約1630万画素 | 約2430万画素 |
撮像素子 | 約23.6mm×15.6mm | 23.6mm×15.6mm |
画像処理エンジン | EXR Processor II | X Processor Pro |
記録媒体 | SDXC(UHS-II対応) | SDXC(UHS-II対応)デュアルスロット |
ファインダー視野率 | 上下/左右とも約100% | 上下/左右とも約100% |
ファインダー倍率 | 約0.77倍(35mm判換算) | 約0.77倍(35mm判換算) |
ファインダー解像度 | 約236万ドット | 約236万ドット |
アイポイント | 約23mm | 約23mm |
シャッタースピード | 1/4000~30秒 | 1/8000〜30秒 |
ストロボ同調速度 | 1/180秒 | 1/250秒 |
秒間コマ数(AF追随) | 最高約8.0コマ/秒 | 最高約12.0コマ/秒 |
連続撮影枚数(RAW/14ビット) | ー | 33枚 |
連続撮影枚数(JPEG/FINE) | 約47コマ | 約83枚 |
常用ISO感度 | ISO200~6400 | ISO200~25600 |
最高ISO感度 | ISO51200 | ISO102400 |
フォーカスポイント | 77エリア | 77エリア |
クロスタイプセンサー | 0点 | 0点 |
F8対応測距点 | 0点(コントラストAFのみ) | 0点(コントラストAFのみ) |
調光センサー | TTL256分割測光センサー | TTL256分割測光センサー |
動画記録形式 | MOV | MOV |
動画記録画素数 | 1920×1080:FHD 1280×720:HD |
3840×2160:4K 1920×1080:FHD 1280×720:HD |
フレームレート | 60p/50p/30p/25p/24p:FHD 60p/50p/30p/35p/24p:HD |
30p/25p/24p:4K 60p/50p/30p/25p/24p:FHD 60p/50p/30p/35p/24p:HD |
圧縮形式 | H.264/MPEG-4 | H.264/MPEG-4 |
モニター種別 | 3.0型TFT液晶モニター | 3.0型TFT液晶モニター |
モニター解像度 | 約104万ドット | 約162万ドット |
タッチパネル | なし | あり |
Wi-Fi | あり | あり |
GPS | あり | あり |
バッテリー寿命 | 約350枚 | 約350枚 |
大きさ | 129.0 × 89.8 × 46.7mm | 129.0 × 89.8 × 46.7mm |
重量 | 約390g(ボディのみ) 約440g(CIPA準拠) |
約400g(ボディのみ) 約450g(CIPA準拠) |
■値頃感のX-T1、先進性のX-T2、もう一つのフラッグシップX-Pro2、結局どちらが買いなのか?
値頃感のあるX-T1と最新スペックのX-T2ですが、フジフイルムはXマウント立ち上げから単焦点レンズや広角レンズに力を入れてきました。
しかし最近ではXF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRのような超望遠レンズやテレコンバーター XF2X TC WRもラインアップしており、スポーツや野鳥・航空機といったジャンルにも対応出来るようにしてきました。
こうしたいわゆる動きものを重視するのであればやはりX-T2でしょう。またそうしたものには興味がなく、望遠撮影をほとんどしないといった場合にはX-Pro2が使って楽しいモデルと言えるかも知れません。
X-T1はX-T2やX-Pro2と比較するとスペックでは負けますが、単体で見ればその性能は現在でも十分に通用する実力を持っており、買い得感を考えると十分に魅力のある機種と言えるでしょう。
Reported by 正隆