ペンタックスからエントリー一眼レフK-70が登場しました。競合機である人気モデルEOS Kiss X8iとD5500と比較検討されている方もいることでしょう。
そこで今回はK-70とEOS Kiss X8i・D5500の詳細なスペックを比較しながら、初心者にオススメの一眼レフはどれなのか?について考えてみましょう!
■画質面で優れているのは?
EOS Kiss X8iとD5500をDxOで比較してみましょう。
D5500はエントリーモデルとはいえ、APS-C機では非常に高画質なモデルとなっており、解像力・ダイナミックレンジ・高感度画質などすべての面でEOS Kiss X8iを圧倒しています。
低感度・高感度画質は?
しかしながらK-70はD5500と同等性能のイメージセンサーに加えて、リアル・レゾリューション・システムが加わるため、現時点で低感度性能はリアル・レゾリューション・システムを含めればK-70が最も優れ、その次にD5500といったところでしょうか。
高感度性能はD5500、僅かに劣ってK-70、最後にEOS Kiss X8iとなるでしょう。
■オートフォーカス性能はどうなるのか?
K-70のオートフォーカスは2強に追いついたのか?
オートフォーカス性能に関してはレンズにもよりますが、速度面ではEOS Kiss X8iが最速となっており、スポーツ撮影やお子さんの運動会などにはオススメです。
K-70に関してはアルゴリズムなどを見直すことでオートフォーカスはある程度高速化することは可能ですが、オートフォーカスモジュールは変更されておらず、測距点数も含めてK-70の数少ない泣き所と言えるかも知れません。
速さのEOS Kiss X8i、総合性能のD5500、合わせ技で勝負するK-70
ただし、新たに像面位相差AFとの併用が行われており、加えて新しく発表されたHD PENTAX-DA55-300mm F4.5-6.3 ED PLM WR REは超音波モーターを搭載し劇的な高速化がなされているとのこと。
今後の新レンズラインアップと合わせてオートフォーカス性能はこれまでのペンタックスの常識を覆すのではないかという期待がかかります。
39点(うちクロス測距9点)という1クラス上のオートフォーカスモジュールを搭載したD5500が現時点では一歩リードしていますが、ニコン機の場合キットレンズのオートフォーカスが高速とは言い難く、レンズキットで購入する割合の多いエントリークラスのキャラクターを考えると、総合的には各メーカー一長一短と言えるかも知れません。
■連写性能はどうなるのか?
K-70は意外にもスポーツ向き?
高速連写というとイメージ的には2強(キヤノン・ニコン)の専売特許のようなイメージがありますが、実際のスペックでは各社横並びとなっています。
秒間コマ数に関してはK-70が優れ、連続撮影枚数に関してはRAW・JPEGともに連写が途切れにくいのがD5500、JPEGに関して最も連写が長く続くのがEOS Kiss X8iとなっています。
K-70はRAWでの連続撮影枚数は少ないものの、秒間コマ数は唯一6コマ/秒を達成しています。
■手ブレ補正が強力なのは?
手ブレ補正だけじゃない、SRはK-70の大きな魅力
手ブレ補正に関してはボディ内であらゆるレンズで手ブレ補正効果が得られ、約4.5段分の補正力を持つK-70の独壇場となっています。
またGPS機能と合わせた簡易赤道儀機能アストロトレーサーまで搭載し、リアル・レゾリューション・システム、視野率100%ファインダーなど、ボディ内補正を生かした様々な独創的な機能・スペックを実現しています。
■防塵防滴は?
アウトドアや山登りにも安心して使えるK-70
また防塵防滴に関しては言わずもがな、強力な防塵防滴構造を持つK-70の独壇場です。アウトドアや山登りなどシビアな環境での使用を想定しておられる方には安心してお使い頂けるでしょう。
またキットレンズのsmc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WRが簡易防滴構造になっているのもエントリー一眼レフらしからぬペンタックスならではの拘りと言えるでしょう。
D5500とEOS Kiss X8iに関してはD5500がやや優勢
D5500とEOS Kiss X8iに関しては防塵防滴には対応していませんが、比較的安価なレンズから防塵防滴に配慮したゴムスカートを装備しているニコンがわずかにリードしています。
■GPS・Wi-Fi・タッチパネル液晶は?
星野・星景撮影を身近にするアストロトレーサー
K-70にはアストロトレーサーと呼ばれるGPSとボディ内手ブレ補正SRを利用した機能が搭載されています。簡易的な赤道儀として動作するため、これまでのようにポータブル赤道儀などの追加購入無しに星の撮影が可能です。
また暗所に慣れた目に優しい赤色画面表示機能を搭載しており、天体撮影ではせっかく暗所に順応した目が液晶画面を見ながら設定する際に明るすぎるためまた星が見えなくなるという問題に配慮されています。
現代では当たり前のWi-Fi機能
Wi-Fiに関してはEOS Kiss X8i・D5500・K-70ともに搭載しており、撮影画像をスマートフォンなどに簡単に転送することが可能です。
液晶モニター品質やタッチパネル液晶は?
液晶モニターはEOS Kiss X8iとD5500が104万ドットで同等、K-70も大差ないドット数となっていますが、実物の液晶品質はEOS Kiss X8iが最もナチュラルでドットを感じさせないものになっています。
見栄えはEOS Kiss X8iが優れていますが、D5500には光学ファインダーを覗きながら背面液晶を親指で触れることで測距点選択が可能で、これは上級機の測距点選択専用のセレクターレバーなどよりも快適かつ素早く測距点移動が可能な機能となっており、スポーツ撮影やスナップ撮影に大きな威力を発揮します。
K-70の液晶モニターは実用上問題があるようなものではないものの、液晶モニターに関しては見た目はEOS Kiss X8i、機能性ではD5500が優れていると言えるでしょう。
■ボディデザインや携帯性は?
分かりやすいKiss X8i、とにかく軽いD5500、慣れると使いやすいK-70
ボディデザインに関しては慣れや好みで大きく評価が別れるため簡単に優劣をつけることは出来ませんが、出来るだけボタンやダイヤルを減らすシンプルな外観で初心者にも取っ付きやすく配慮されているEOS Kiss X8iに対し、K-70はエントリーモデルでありながら2ダイヤルを搭載し、ペンタックス独自のグリーンボタンや右側に操作系を寄せて片手でのオペレーションを可能にした操作系など、慣れるほどに使いやすい操作性を実現しています。
D5500はそれら2機種と比較すると中庸で際立った個性はありませんが、EOS Kiss X8iやK-70と比較した場合、明らかに軽く薄く作られており、新素材による軽量化の恩恵を感じることが可能なボディとなっています。
■EOS Kiss X8iとD5500とK-70のスペック比較
EOS Kiss X8i vs D5500 vs K-70の仕様比較 | |||
機種名 | |||
EOS Kiss X8i | D5500 | K-70 | |
有効画素数 | |||
約2420万画素 | 約2416万画素 | 約2400万画素 | |
撮像素子サイズ | |||
22.3×14.9mm | 23.5×15.6mm | 23.5mm×15.6mm | |
画像処理エンジン | |||
DIGIC 6 | EXPEED 4 | PRIME M II | |
記録媒体 | |||
SDXC(UHS-I対応) | SDXC(UHS-I対応) | SDXC(UHS-I対応) | |
ファインダー視野率 | |||
約95% | 約95% | 約100% | |
ファインダー倍率 | |||
約0.82倍 | 約0.82倍 | 約0.95倍 | |
アイポイント | |||
約19mm | 約17mm | 約20.5mm | |
シャッタースピード | |||
1/4000-30秒 | 1/4000-30秒 | 1/6000-30秒 | |
ストロボ同調最高シャッタースピード | |||
1/200秒 | 1/200秒 | 1/180秒 | |
秒間コマ数 | |||
最高約5コマ/秒 | 最高約5コマ/秒 | 最高約6コマ/秒 | |
連続撮影枚数(14ビットRAW) | |||
約7枚/RAW | 約10枚/RAW | 約10枚/RAW | |
連続撮影枚数(JPEG/FINE) | |||
約130枚/JPEG | 約100枚/JPEG | 約40枚/JPEG | |
常用ISO感度 | |||
ISO100-6400 | ISO100-25600 | ISO100-102400 | |
最高ISO感度 | |||
ISO25600 | ISO25600 | ISO102400 | |
オートフォーカス測距点数 | |||
19点 | 39点 | 11点 | |
クロスタイプセンサー | |||
19点 | 9点 | 9点 | |
F8対応測距点 | |||
0点 | 0点 | 0点 | |
AF検出範囲 | |||
-0.5~+18EV | -1~+19EV | -3〜+18EV | |
測光センサー | |||
63分割測光 | 2016分割測光 | 開放77分割測光 | |
動画記録形式 | |||
MOV | MOV | MOV | |
動画解像度 | |||
FHD:1920×1080 HD:1280×720 |
FHD:1920×1080 HD:1280×720 |
FHD:1920×1080 HD:1280×720 |
|
動画圧縮形式 | |||
H.264/MPEG-4 | H.264/MPEG-4 | H.264/MPEG-4 | |
液晶モニター種別 | |||
3.0型TFT液晶 | 3.2型TFT液晶 | 3.0型TFT液晶 | |
液晶モニター解像度 | |||
約104万ドット | 約104万ドット | 約92.1万ドット | |
タッチパネル | |||
あり | あり | あり | |
Wi-Fi | |||
あり | あり | あり | |
Bluetooth | |||
なし | なし | なし | |
GPS | |||
なし | なし | あり | |
バッテリー | |||
約440枚 | 約820枚 | 410枚 | |
外形寸法 | |||
131.9×100.7×77.8mm | 124×97×70mm | 125.5×93.0×74.0mm | |
質量 | |||
510g(ボディ) 555g(CIPA準拠) |
420g(ボディ) 470g(CIPA準拠) |
628g(ボディ) 688g(CIPA準拠) |
■結局どれがオススメなのか?
PENTAX K-70 ☆☆☆☆☆
レンズラインアップやアクセサリーなどシステム的には弱点もありますが、本体のみのスペックに注目して比較した場合、K-70は他社中級機に匹敵するほどの性能を有しています。
その高いコストパフォーマンスは2強(ニコン・キヤノン)を圧倒しており、ブランドに拘らないのであれば、エントリークラス一眼レフの中で突出した性能を有しています。
Nikon D5500 ☆☆☆☆
機能性、画質、携帯性を高次元でバランスさせたD5500を2位としました。
1クラス上のオートフォーカス、低感度・高感度ともに良好な画質、加えて持ち運びを苦にさせない重さと圧倒的なバッテリー持ちが魅力です。
膨大なレンズとアクセサリーのラインアップも含め、初心者にもベテランのサブ機にも使えるさまざまな魅力を備えた1台と言えるでしょう。
Canon EOS Kiss X8i ☆☆☆
快速オートフォーカスが魅力のEOS Kiss X8iですが、機能面で直接比較すると他2機種と比較して見劣りするのは否めず、また画質面でも自社開発のイメージセンサーが逆に足を引っ張ってしまっています。
しかしながらレンズ・アクセサリーの充実度はサードパーティーも含めると非常に充実しており、ブランド力とシステムとしての完成度はEOSシリーズの大きな魅力と言えるでしょう。
Reported by 正隆